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Yamareco

記録ID: 920112
全員に公開
無雪期ピークハント/縦走
甲斐駒・北岳

鋸岳〜「反省の記」〜

2016年07月10日(日) [日帰り]
 - 拍手
体力度
7
1〜2泊以上が適当
GPS
18:17
距離
25.3km
登り
2,584m
下り
2,628m
歩くペース
標準
1.01.1
ヤマレコの計画機能「らくルート」の標準コースタイムを「1.0」としたときの倍率です。

コースタイム

日帰り
山行
15:59
休憩
2:23
合計
18:22
0:52
122
2:54
3:22
191
6:33
6:48
18
7:06
7:14
7
7:21
7:44
235
11:39
11:58
29
12:27
12:51
192
16:03
16:12
30
16:42
16:59
133
19:12
19:12
2
19:14
ゴール地点
第1高点から第2j高点まで、大ギャップにて墜落した際のGPS
ログが乱れて、本来の座標を示していません。
天候 ☀時々☁
過去天気図(気象庁) 2016年07月の天気図
アクセス
利用交通機関:
自家用車
戸台登山口駐車場(河原)
コース状況/
危険箇所等
前日の大量の雨。
徒渉ポイントが見つからず、濡れ覚悟で渡りました。
角兵衛沢、熊ノ穴沢ともにガレ場は浮石のみで安定しているところはなく、
さらに雨で濡れてスリッピーとくれば、落石に注意しながら、かつ足運びも
慎重にならざるを得ませんでした。
ただ、左、右と薄い踏み跡がありここを見つければ比較的楽に登下降で
きます。
第1高点到着!
2016年07月10日 07:12撮影 by  COOLPIX S33, NIKON
4
7/10 7:12
第1高点到着!
撮影機器:

感想

昨日の7月19日、10日ぶりに退院して、この記録を書い
ています。
この山行で重症を負い、入院してました。

今思い出すと
「どうして?」「なぜ?」
自問自答の繰り返しですが、起きてしまったことは現実
だし、そこに至るまでの必然もあったように思います。

今後の登山活動を考えさせる出来事でした。
お恥ずかしい話ですが、自戒を込めて記します。

「反省の記」*******************************

◆山行計画

1:00戸台登山口→角兵衛沢→鋸岳→甲斐駒ケ岳→
北沢峠→(バス)→戸台大橋→戸台登山口
*オプションとして、甲斐駒ケ岳へ9:30までに到着し
た場合は、仙丈ケ岳ピストンも加える。


◆戸台登山口→角兵衛沢取り付き

いつもにように前日深夜起きで出発。
登山口には予定より早く到着。心配した天気は星空も
見えて、サイコーのナイトハイク日和。

戸台川沿いの道は積雪期の仙丈ケ岳日帰りピストン以
来で、なんとなく道の雰囲気は覚えてるつもりでした
が、3つ目?の突堤を左側から越える階段ポイントが
藪藪で見つからず、右往左往。。。
やっと見つけて、川に降りるも、昨日の降雨で結構増
水してる、いやぁ〜な感じ。

案の定、右岸へスイッチする浅瀬の渡渉ポイントがな
かなか見つからず、沈覚悟で飛び石へジャンプ!

その後しばらく右側を歩いて往くも、いつの間にか角
兵衛沢取り付きへの渡渉ポイントを過ぎてたらしく、
戻ってみるもやはり浅瀬が無く、
「濁流ゴー、ゴー」
「これじゃ渡れない〜(T_T)」と見渡したら、細い丸
太が一本架かってた。
慎重に渡って何とか対岸へ。
「良かったぁ〜」(^_^)

そして、取り付きまではピンクテープの目印があった
ので、迷わず往く。


◆角兵衛沢取り付き→鋸岳(第1高点)直下コル

最初は急登の樹林帯の中をひたすらジグザグと登り上
げ。目印も踏み跡もあって、順調に往ってるところで、
突然足を乗せた岩が滑り、谷側へ頭から突っ込む!!

「やばいっ!」

と思って両手を前に突いて岩からダイブせずに済んだ
けど、あと一歩前に転がってたら、かなり下まで転落
するところ。

ちょっと左膝上を痛打してしまったので、休憩して気
持ちを落ち着ける。。。


そして、空が白じんできた頃、ようやくレコで見てい
たガレ場に到着!

「ここかぁ〜」って感じ!
確かにガレ石の大きさも揃ってなくて、まともに登ろ
うとすると上からどんどん崩れてくる。。。
「まさに蟻地獄のようなガレ場」

ただ、入山している人がいるってことは、
「どこかに踏み跡があるんじゃない?」
ってことで、左右を見渡すと薄いながら左端にそれら
しきもの発見!

ただ、それもしばらくするとガレに合流して判らなく
なり今度は右端に発見!!これは結構上まで続いてて、
楽できました。

日差しが明るくなった頃、とうとうコルに到着!
振り返ると南ア北部から中アの山々まで良い眺め〜^^

「来た甲斐があったね〜^^」

こんな良い天気なのに出遭った登山者ゼロ!
結局、後にも先にも誰にも遭いませんでした。


◆鋸岳(第1高点)→(墜落・負傷現場)→第2高点

コルからは直ぐに第1高点へ登り上げ、最高の達成感
を味わう\(^o^)/

予定より時間がかかってしまったので、次へ進む。
小ギャップの鎖場、そしてレコで見た「鹿の窓」に到
着!ここで、窓を通り抜けて、垂壁の結構長い鎖場を
降りる。

「ん?こんなに降りてしまって良いの?」
なぜかこのとき降りてしまったこと自体がルートミス
ではないかと思ってしまい、
「いや、元に戻ろう!」
ってことで、鎖場を登り返して元の「鹿の窓」へ。

もし、鎖場を降りたところで見渡して、踏み後とか目
印を探していたら、こんなことには。。。
この時点は想いもしなかった。。。


もうそうなると稜線沿いで往けるルートを探すことに
なり、細尾根を辿った先には、断崖絶壁の大ギャップ
が待ち受けてました。

断崖絶壁を降りれば、第2高点へのトラバース道が見
える。そして、こちらの絶壁には残置ロープが下まで
着いている。

いつもなら
「残置ロープで降るところなんてルートじゃないっ
て!」
思うところなのに、この時だけは
「ここ降れれば直ぐ第2高点へ往ける!」
って思ってしまった。

そして、残置ロープを両手で掴んで「するするっ」と
降り始めた瞬間、
「ロープがたくさんの水を吸って、滑って掴み難い!」

それでも中間地点までゆっくり降りて、足を崖に架け
て、さらに下へ降り始めた瞬間、ゴムのように伸びる
ロープに一瞬崖から足が外れてしまい、宙ぶらりんの
状態で掴むロープは無情にも「するするっ」っと手か
ら。。。

「あっ!」

「どかっ!」(墜落)

どれ位時間がたっただろうか。
次に目を開けた瞬間、眩しい光?サングラスは?
墜落した状況が思い出せない。
「どうして、ここに?」
(今でも覚えてないけど、おそらく大ギャップの間の
ガレた所に墜落したのかな。)

とにかく今の身体の状態を確認しないと、
頭はくらくらするけど意識ははっきりしてる。
ただ、顎紐の緩んだヘルメットを外すと、内装は血だ
らけ。
頭をくまなく触るが傷はあっても出血し続けてる所は
無し。
左腕肘下から大量の出血で、痛みもここが一番酷い!
あとは左わき腹の痛み。でも我慢できる程度。
両足とも擦り傷以外なんとも無し。

とにかく出血多量はヤバイので、応急処置で大判の絆
創膏を傷口にあてて塞ぎ、包帯で固定。

さて、ここからどうするか?
「救難要請するか?それとも自力下山?」
幸い両足ともなんとも無く歩けるので、自力下山する
ことに。

ルートは?
「そう言えばレコで熊ノ穴沢を降りるルートがあった
なぁ。。。」
「このルートが最短!」

地図とGPSで位置を確認。
ただ、その前に第2高点へ登って、中ノ川乗越まで降
らないと行けない。


◆第2高点→中ノ川乗越→熊ノ穴沢

絶対に下山するっていう気持ちでアドレナリン大量放
出されていたんでしょうか、痛みは麻痺して、第2高
点を登り、乗越まで下って、やっと熊ノ穴沢へ。

ここで待ち受けていたのは角兵衛沢よりも酷いガレ場。

この身体で降るには厳しい。。。
これ以上転倒しないよう、ほんと慎重に、気を使いな
がら、ゆっくり降りる。
疲労もあってか、次第に頸から肩にかけてコリのよう
な痛みに襲われて、ザックを降ろし休憩。
また背負って10分位歩いては休憩の繰り返し。


◆熊ノ穴沢→角兵衛沢取り付き→戸台登山口

突堤を越える度に「もう少しだぁ。」
と自分で自分を励ましながら、日没前に何とか登山口
へ到着!

長い1日が終わったと言いたいところですが、ここか
らが大変でした。

車に乗り込んで、登山口からどこにも寄らず、伊那I
Cに入って長野まで休憩無しでぶっ飛ばす!
途中何度も居眠りしそうで恐かった(>_<)

で、自宅にも寄らずそのまま病院の救急窓口へ行き、

「救急お願いします。」
(このとき初めて自分の姿を鏡で見てびっくり!!
頭から腰まで血だらけでした!!!)

と言った後は、医師、看護士の方がたくさん来て、
あっという間に担架に乗せられ、CT、レントゲン、
局所麻酔に傷の洗浄、数針縫って点滴等々。
眠りについたのは午前0時を回ってたような。。。

救命医療で有名な病院だけに迅速な対応をしてい
ただきました。(感謝!)


そして、入院10日目にして裂傷も抜糸し、高CK血
症等も標準値まで下降したため、無事退院できるこ
とととなりました。


*:;;;:*:;;;:**:;;;:*:;;;:**:;;;:*:;;;:**:;;;:*:;;;:*

振り返ると、大ギャップでのルートミスに加えて、
残置ロープ使用と、回避できるポイントはいくつか
あったのにもかかわらず出来なかったことは、慎重
さに欠けていた最近の山行に通ずるものがあると感
じています。

身体の回復、特に骨折と左腕の挫滅が回復するまで、
しばらく山行はお休みします。
最低でも3ヶ月か。。。

今年の夏山はこれで終了ですが、また雪の降る頃ま
でには復活して、楽しいレコをアップしたいと思い
ます。

*:;;;:*:;;;:**:;;;:*:;;;:**:;;;:*:;;;:**:;;;:*:;;;:*

(9/6)追記
心配した腱板損傷は無くて、しばらくは理学療法に
よるリハビリで回復具合をみることになりました。
ありがたいことに、医者からは山もトレッキング程
度ならOKもでました。(^_^)

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コメント

言葉がありません
batayhanさんでもこのようなことがあるのですね。
ごゆっくり回復に努め全快されることを祈念しております。

改めて気を引き締める次第です。
実は、9月にヤマレコで知り合った人と釜無川源流から鋸山に登り、三ツ頭から八丁尾根を下る計画を立てていた処です。
改めて厳しさを知りました。13時間の予定でしたが、再考しなければいけないかもしれません。
「鹿の窓」、北沢峠へのバスの中から見たあの光景が目に焼き付いていますが、あそこに行けるかどうか。

改めて全快をお祈りいたします。
2016/7/23 20:07
Re: 言葉がありません
お見舞いの言葉、ありがとうございます。
これは自分の事前調査不足と慎重さを欠いた行動に尽きますので、正しいルートを行けば問題無かったと思います。
回復したら、またいつか同じルートを行ってみたいと思っています。が、今は周りの方に迷惑を掛けてしまったのでそんなこととても言えませんけど。。。
2016/7/23 21:50
プロフィール画像
ニッ にっこり シュン エッ!? ん? フフッ げらげら むぅ べー はー しくしく カーッ ふんふん ウィンク これだっ! 車 カメラ 鉛筆 消しゴム ビール 若葉マーク 音符 ハートマーク 電球/アイデア 星 パソコン メール 電話 晴れ 曇り時々晴れ 曇り 雨 雪 温泉 木 花 山 おにぎり 汗 電車 お酒 急ぐ 富士山 ピース/チョキ パンチ happy01 angry despair sad wobbly think confident coldsweats01 coldsweats02 pout gawk lovely bleah wink happy02 bearing catface crying weep delicious smile shock up down shine flair annoy sleepy sign01 sweat01 sweat02 dash note notes spa kissmark heart01 heart02 heart03 heart04 bomb punch good rock scissors paper ear eye sun cloud rain snow thunder typhoon sprinkle wave night dog cat chick penguin fish horse pig aries taurus gemini cancer leo virgo libra scorpius sagittarius capricornus aquarius pisces heart spade diamond club pc mobilephone mail phoneto mailto faxto telephone loveletter memo xmas clover tulip apple bud maple cherryblossom id key sharp one two three four five six seven eight nine zero copyright tm r-mark dollar yen free search new ok secret danger upwardright downwardleft downwardright upwardleft signaler toilet restaurant wheelchair house building postoffice hospital bank atm hotel school fuji 24hours gasstation parking empty full smoking nosmoking run baseball golf tennis soccer ski basketball motorsports cafe bar beer fastfood boutique hairsalon karaoke movie music art drama ticket camera bag book ribbon present birthday cake wine bread riceball japanesetea bottle noodle tv cd foot shoe t-shirt rouge ring crown bell slate clock newmoon moon1 moon2 moon3 train subway bullettrain car rvcar bus ship airplane bicycle yacht

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