北穂高岳東稜 バリエーション山行入門


- GPS
- 56:00
- 距離
- 30.3km
- 登り
- 1,911m
- 下り
- 1,895m
コースタイム
【10/9(日)】7:30起床→テント内で待機→10:45出発→12:00南稜・東稜分岐点→13:00ゴジラの背→14:30北穂小屋テラス(休憩)→北穂山頂→14:50下山開始→16:40涸沢ヒュッテ(幕営)
【10/10(月・祝)】5:30起床→7:30パノラマコースにて下山開始→8:35屏風のコル→10:15奥又白谷分岐→11:15徳澤園→12:10明神館→13:00上高地バスターミナル→13:45タクシーにてオオネズコ駐車場へ→14:10平湯温泉→15:10平湯温泉出発帰神
天候 | 8日:曇り→雨 9日:雨→曇り→晴れ 10日:晴れ |
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過去天気図(気象庁) | 2016年10月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
タクシー 自家用車
|
写真
感想
【10/7(金)】今回、三連休の山の天気予報が悩ましく、判断が難しかったと思われますが、前日21:30に決行メールにある程度の悪天と防風・防寒対策に気をつけて荷物のパッキングを整える。
【10/8(土)】金曜夜出発時も、前泊地でも雨に降られず、予報がよい方向で外れてくれることを祈りつつ上高地へ向かう。出発から徳澤園までは雨風もほぼない状態で快適に歩ける。横尾で休憩していると、隣のファミリーグループが、今日は荒天予報で上まで行っても危険なためここで撤退! と話しするのを小耳に挟みながら、覚悟して横尾の橋を渡る。
しばらく歩くといよいよ雨も本降りになり本谷橋を過ぎると自分の足元だけに集中してひたすら冷たい雨に耐えながらヒュッテを目指す。ヒュッテに到着の頃には風も強まり出し、小降りになるタイミングでテントを設営。強風に備え岩影に場所を決めて、フライが飛ばされないようしっかりと張り網をはる。こんな悪天候でテントを張る物好きなんて私らくらいだろうと見渡すと、案外張られていて「山好きさんて、変態やな」と感心しつつ温かいテントに入り晩御飯の準備。
メニューは熱々のボリュームたっぷりの牛丼。空腹の冷えた体に染み渡る! 時間はたっぷりあるのだけれど、翌日の北穂登頂が可能かどうかはギリギリの判断となることでしっかりと体を休めるために18:00までに就寝。夜中、強風と豪雨の音、湿気たシェラフの冷たさで何度も目覚める。使い捨てカイロを数枚持ってきていて正解。朝には濡れたシェラフ、しけった服も乾いていて、人間の体温のぬくもりってすごい!と実感。
【10/9(日)】翌朝、ゆっくり目の起床であったが、起きるなり、SLの、「うわーっ!!」という雄叫びに全員ビックリするが、なんと、SLのサーモレストが水にプカプカ。テント内にかなりの水が入っていることが発覚。四隅に水が溜まっており、タオルで吸いとるも追い付かず空きペットボトルで汲み出す。大袈裟でなく、おそらく10リットル以上分を汲み出したはず。
そして、さらにテント内に入れておいたUさんの靴が水没。一気にテンションが下がると共にずぶ濡れの靴でバリエーションルートは危険なため、もはや下山か?!がここでSLの新聞紙とバーナーで乾かす作戦が功を奏し、しけってはいるものの何とか履けるとのことでホッとする。
北穂をめざすかどうかの最終判断は10:00。直前まで、小雨が降ったりやんだり。太陽はいまだに現れず。10:00ぴったり。ヒュッテで天気予報も確認すると昼からは晴れ予報。雨雲は南へと流れている。ならば決行! とCLの判断でそこからは気持ちを切り替えてアタック準備。装備を身につけ、ヘルメットをかぶると気持ちがきゅっと引き締まる。見上げると北穂に向かう道筋に沢が現れている。
もし、分岐を越えて沢が渡れないなど危険と判断すれば、南陵ルートからの一般登山に切り替えも視野に入れてスタート。思いの外、順調に進め、分岐点のルートファインディングが肝と思われたがここも先行者がいたこともありすんなり進む。ただし、東稜のザレガレの斜面は一時も油断ならず、滑る、落石がある、危険地帯。ゆっくり慎重に登り詰め、ようやく稜線へ。ここから北穂の小屋も見えてきて一気にテンションが上がる。
浮き石に注意しながら進むと、突然目の前に広がるゴジラの背!ゴツゴツのキレ立ったその稜線の威風堂々とした姿と高度感にワクワクがマックス。CLがここでフィックスを張ろうかと提案するも、足場はしっかりしていることと、誰もそこを怖いと思わなかった強さで慎重にロープなしで進む。その終了点は15メートルに満たないくらいの懸垂下降で降りる。懸垂の手順を復習してきたはずなのに、いざ本番となるともたつき、先輩方のチェックで無事懸垂下降を本番で体験。これは何度も反復しないと、と反省。
その後も北穂小屋が見えながらガレザレ、浮き石の急登に喘ぎながらもテラスへ。全員の無事登頂を祝うかのように、テラスからは見事な槍が岳、奥穂、前穂、すべての山容が鮮やかに目の前に広がり感無量。ギリギリの判断をしてくれたCLに感謝。
下山後のビールの美味しかったことはいうまでもない。晩御飯のカレーもお腹一杯いただき、反省会もまた楽しい。翌日の下山ルートについては絶好のお天気でたってからチャンスがあればと狙っていたUさんからの提案でパノラマコースでの下山で徳澤園のソフトクリームを食べよう!で決まり。早々に就寝し翌日に備える。
【10/10(月・祝)】月曜日は朝から文句なしのモルゲンロードを臨み、初めてのパノラマコースに期待が高まる。破線ルートであり、鎖、ロープのガレ場ありの注意通り、かなりの急登、細い道を慎重に進む。一時間ほどで稜線へと出た瞬間、右手に富士山を始め南アルプスの山並み、左手には槍ヶ岳を始め奥穂、北穂、の稜線が。昨日歩いた東稜も見え、まさにパノラマ。素晴らしい眺望に息を呑む。遥か眼下には目指す梓川の流れが煌めいている。
さぁ、あとは「徳澤園のソフトクリームを目指し一気に下ろう!」だが、パノラマコースの破線ルートは伊達でなく、なかなかの手強さで、滑る岩場を下ったり木の根っこを越えたりとアップダウンを繰り返し、ようやく新村橋を渡る。
念願のソフトクリームも食べ、青空の下本当に楽しい二泊三日の山行を噛み締めながら上高地バスターミナル到着。余裕の下山となりました。
今回、本当に難しい天候判断を的確にしてくださったCL、SLに感謝です。昨年、修了山行に行けなかった私に、「これがあなたの修了山行ですよ!」といわれたときには本当に嬉しかったです。食事担当のUさん、二日間のご飯、牛丼もカレーもラーメンも雑炊も、本当に美味しかったです。(FUK)
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