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つい先日も新世界の見知らぬ古本屋に立ち寄った。
一時間ばかりも背表紙を眺めながら数冊の本を手にしていた。
その中の一冊・・
これは、関西大倉高等学校山岳部の本で非売品である。
内容は、17歳で赤岳竜頭峰で逝った竹島徹君の追悼文集である。また、彼を助けようとして逝った19歳の桜本昌也君の文集も発刊されているのだが、非売品だけにわたしは目にしては居ない。
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この追悼集に筆を下ろした人
薬師寺官長 高田 好胤
山岳関係 6名
学校関係 28名
幼少期関係 11名
母の友人 22名
親戚関係 9名
家族より 3名
新聞記事 掲載6誌
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事故発生日時 昭和57年4月4日 午前11時30分ごろ
事故発生場所 長野県八ヶ岳連峰赤岳竜頭峰付近及び立場沢本谷
春山合宿参加者 顧問CL 安藤正治 三年生 石橋、左近、北村、竹島、二年 生、浅田、嶋谷、 OB 朝日、早川、高井、桜本
4月2日 14時 行者小屋到着
4月3日 悪天のため停滞
4月4日 6時 起床 7時 朝食 8時 装備点検
10時40分 赤岳到着。パーティの体調良好。
11時 赤岳頂上より縦走予定の横岳・硫黄岳がガスのため登って来た道を下山することに決定
11時10分 アイゼン点検 竜頭峰で写真撮影
11時30分 竹島君が滑落
11時35分 早川・左近の両名が行者小屋に急行、
高井が北村・石橋・嶋谷・浅田を引率して下山、
顧問の安藤、OBの桜本、朝日の三名が立場沢に下降
11時50分 竹島君を発見（死亡）
11時55分 安藤が注意喚起するも朝日のみが返事、
桜本君が滑落（死亡）
同時刻 早川、左近、行者小屋到着
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登山実施形態 高校部活
リーダー 顧問教論
参加者の心構え 登山訓練
事前説明訓練 不十分
リーダーの心構え 昨年もその前々から危険箇所の認識なし
天気図の作成 なし
山岳保険の加入 なし
登山計画の届出 なし
当時の登山状況 前月に同じ八ヶ岳にて3月21日に12人の遭難死亡事故発生につき高校生の入山は無謀である
気象状況 気温4.7℃風向西北西、風力11.1ｍ午前9時薄曇り
午後晴れ（4月4日諏訪湖測候所記録）
ザイル 不携行
事故地点前のリーダー 注意喚起せず
リーダーの認識 あそこでなぜ事故が起こったのだろう
事故発生目撃者 なし
事故発生後のリーダー 二次遭難の配慮なく救助に赴く
悲劇への軌跡
� ‥仍碍弉莉颪眦仍灰�ードも一度も提出したことがない
�◆＿討糧�ヶ岳に一度も登っていない
�� 一度アイゼンをつけただけの新二年生がいるのにザイルなしで全員が山頂 へ行った
�ぁ 峽盈�」なのにザイルも持っていない
�ァ〇�前のトレーニングをまったくしていない
�Α‥卦た沺ζ豹涎盈�もしたことがない
�А，海了街圓發い弔發箸�りに一切記録なし
�─ヽ惺擦盪崖拮瑤鬚發舛覆�ら山岳保険の存在すら知らなかった
行動の軌跡
4月1日に夜行列車で大阪駅を出た一行11人は美濃戸口から入山して2日午後に行者小屋に幕営。3日は雨のち雪だったので動かず。4日は曇りだったが全員で赤岳に出発。
文三郎道から中岳・赤岳の鞍部に出て夏道とおりに赤岳へ。
頂上に近づくと一般ルートは左に折れて鎖の岩場を登るのだが、一行はそのまま竜頭峰や権現岳へのルートを進んで（トラバースあり）一般ルートより少し大回りして頂上に立つ。10時40分、かなりの濃いガスの中だった。
事故は下山をはじめてまもなく起こった
同じルートを下ってトラバース中、一般ルート合流50ｍほど手前で11人のうち前から7番目にいた竹島徹君が転倒して雪の急斜面を滑落し立場川本谷の断崖へと消えた。これをみてOBの桜本君はただちに急斜面を本谷へくだり、リーダーの山岳部長とOBの朝日君もこれより右のゆるやかな斜面を回って下った。
約400ｍほど下ですでに死亡している竹島君を発見。ところがその直後に桜本君が「声ひとつたてずにまるで一個の物体のように」落下してきて竹島君の横で停止。これもすでに絶命していた、
大阪白樺山岳会元会員 山野明美氏の指摘
ピッケルやアイゼンの使い方をまったく知らぬ10人を、自分自身そんな技術を使えぬ「山岳部顧問」の先生がリーダーとして雪の赤岳登頂へ連れていった。滑落防止のザイルなど最初から用意がないので誰か滑落しても見ているしかなく、要するに「滑ったら絶望」の状態だった
顧問の登山歴
日大山岳部一年のときに「山行を重ねる」とあったが、OBの全名簿に名前なし
調べると最初の夏山合宿も新人歓迎山行にも加わっていなかった。
校長立会いで調査すると「すぐにぬけてますので」という
で、先鋭的な社会人山岳会「東京緑山会」に二年のときに入会して四年生までいたという。
緑山会の調査では「入会後、会の計画山行に三回ほど参加、他は個人山行を数回という程度。在籍期間は約一年で基礎訓練も不十分、当会員の実力認定では六級、のちに五級になったかもしれません。あのころは創立記念山行が多くありましたが、参加は皆無でした」
この会の六級は最低級である。
高校体育連盟の登山部門では「加入してますが会合とか全国大会とかには参加しておりません」とのことだった。
前述の山野明美氏は追悼文の中で書いた
「今回の事故の元凶は、リーダーも含め学校当局の責任であると断言したい」
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母さん！ありがとう！
山の素晴らしさを教えてくれて
ぼく、足をはずした時に初めて見たんだ。
なんと神々しい赤岳を。
空を、雪を、谷を、岩を・・
うっとり見とれていたよ
それまでは、
足場に神経を凝らし
ザックの重みが肩に食い込み
ただ一生懸命歩いていたんだ
なのにその一瞬
山が両手を拡げてくれたんだ
今まで知らなかった姿で
僕を抱えてくれたんだ。
そしたら、母さんの笑顔もみえたんだよ
二人で歩いた山道も浮かんできたよ
ぼく幸せだったよ！
ぼくの愛した山を母さんが愛してくれていたことが
ぼくの山登りの心をわってくれていたんだ
だからこそ ぼくは 悔しい！
それだからこそ 悔しいんだ！
山を愛する者が山で死んで幸せなものか！
本望なものか！
命をかけて山登りなんかしてやしない！
ただ 山を愛しているだけなんだ
町中と同じだけ危険があるだけなんだ。
それなのに人は云う。
山は危ない よく行かせるね よく行くね
地球上、同じ量だけ、どこまでも
危険があるというのに
だから山で死にたくなかったんだ。
悔しいよ！
だから母さん、大声で叱ってくれよ、
涙を海になる程 流してくれよ。
ぼくのために
それからあの大好きな母さんの
笑顔を見せておくれ
妹のためにも、
山を愛したものは山で死にたくはない
みんなそう叫んでいるんだ
でもね 母さん
同じ死の眠りにつくのなら
やっぱり山でよかったよ！
だって、この世の最後の映像は、
八ヶ岳の峰々と空と雪と谷と・・！
けがれなく美しいぼくと同じ
神々しい山々と
そして母さんの笑顔
今は山の精霊と山に眠る仲間たちと
あの映像の中で静かに眠り続けるよ
年老いた母さんが僕のそばに来て
思いっきり甘えられる日まで
その日まで安らかに眠っているよ
そして忘れないで欲しい
僕の最後の呼吸は
澄み切った神々しい山の
大気だったことを・・
（1982年4月5日 山野 明美 ）
冬山のシーズンイン・・
己に自戒を求めて文章にしてみました。
でわでわ
あとがき
竹島徹君に登山の手ほどきをしたのは、母親だった。高校山岳部入部も母親は賛成したが、父親は反対している。
山野明美さんは、母親の山友である。
読めば読むほどに、あきれかえるようなずさんな山行に怒りを覚える気分ですね。
昔はこんなもの（危機管理）だったのか、とも言えますが、現在でも大差ない部分もあるような気がします。
「夏の八ヶ岳に一度も登っていない」。
ヤマレコでも、厳冬期の赤岳に登りながらあり得ないような道迷いをされている方々をお見かけします。その方々は「初めての八ヶ岳」だと。つまり夏に登ったことがないのにぶっつけ本番で冬の八ヶ岳に来ているのですね。
以前私の日記に書いたこともありますが「まずは夏場に事前偵察。」というのは遠方からお出でになる方々には難しいことでしょうか。
百歩譲って、本人にとって「山で死ぬのは本望」であっても、残された家族・友人などの悲しみを思えば、山は「無事に下山してこそ」。だと痛感します。
pasocomさん、こんにちわ
なにげに手にした一冊の本でしたが・・思わず怒りがこみ上げてきました。
厳冬期にチャレンジするなら夏道探索は常識だと思いますが・・
山を教える者の責任は重大です
低山の訓練なくして厳冬期に入山するなど無謀としかいいようがないですね
ともあれ、自分の戒めにしてこそ亡くなられた方が浮かばれるというものだと感じてます。
用心に用心を重ねて雪を歩きたいですね
でわでわ
古い遭難記録史も読み返して訓戒としたいです
良い詩ですね。
僕が槍ヶ岳に登った時に某大学の登山部20名近くと一緒になり山頂への鎖場を登ったのですが、装備は貧弱（ハイキングプラスα程度）、ヘルメットもなし。
しかも登りながら「うぉー！」「スゲェ！すげー」「おーい！XX！わはははは！」などなど。うるさい。
こっちは落石の心配をして登っているのに、突然奇声をあげられ気が気じゃありませんでした。
モチロン付き添いの先生も数人いましたが、学生と同じように上気してしまって指導なんて望むべくもなく
ヘルメットはもちろんの事、あれだけ騒ぐと言うことは落石があることも、それを自分が起こす可能性がある事も考えていない、指導もされてないと言うことでしょう。
恐らくちゃんとした「登山部」などではないとは思いたいのですが、それにしても何か事故が起こるまで改善されることはないと思うと恐いですね。
こんちわ〜アルピさん。
飛び猫の帰りによった古本屋でした（＾＾；
一人の人間に関わっている方々の多さに、今更ながら驚きます。
山での事故だけは避けたいものだと痛感しながら読みました。
何事も基本が大事ですね。
若さゆえの暴走をしっかりと手綱を締める老練の山男も数が少なくなったのかもしれないです。
机上訓練で、こういった遭難の追悼文を読むことも大事だと思います
それよりも！・・コラボ企画しようよ！
みんなで雪山ハイクできればいいんだけどね
できれば夏山で行った木曾駒を上がってみない？？
いいぞう〜マイナス15℃の世界！
でわでわ
こんばんは。
この当時の（今もだと思いますが）高校の山岳部というものは、冬山登山というのが正式な部活として認められていなかったはずです。
私も高校時代に色々冬山に行きましたが、高校山岳部の正式な活動としてではなく、自由参加であり、もちろん顧問は参加せず、OBが責任者となって連れて行ってもらいました。その意味では、あくまで自己責任でした。（事故が起きたらOBが責任を問われる事になるとは思いますが）
関西大倉高校のこの登山で、どういういきさつで経験の少ない顧問がCLで参加することになったのか、なぜ八ヶ岳になったか、、、すでに何十年も前の話なのでわかりませんが、そのあたりの詳しい事情もしりたいですねぇ。
山の事故と言うのはどんなにベテランでも起こりえることですし、逆に素人であっても条件や運がよければ無事に帰ってこれるものです。
自分も自戒して気をつけたいものです。
クロスさん、まいど！！
この高校では、数年にわたり冬季に赤岳に登頂していたようです。
（それだけ学校の管理がずさんだったのかもしれないですね）
母親の友人である山野さんの悔いは、亡くなった徹君と話をしていたこと
歩荷訓練がたいへんでしょ？
？したことないよ
読図も勉強した？
読図ってなに？
天気図は？
そんなの書くの？
あのときに・・という思いが山野さんを苦しめたようです。
わたしは、昭和40年の中学時代に、山岳部の親友と山を歩いてました。（金剛山や葛城山ですが
その彼が山ではいつも地図とコンパスを得意そうに出しては見ていたのを覚えてます。
高校になっても六甲によく誘われました（なぜか気が合うのですがわたしは吹奏楽部
せんだっての同窓会で、彼が「ヤマハのギター教室に通ってる」そうで「おれ・・山に夢中だよ」って・・
山の事故だけは、気をつけたいものですね
でわでわ
わたしなど、運だけで今まで山から生きて還してもらってます・・（＾＾；
uedayasuji さま
今宵初日なのに早い帰宅
身体の調子はさいこー
前から感じていたこと。
これからもどれだけの人が山を楽しむのでしょうか
なら、自動車免許と同じく基本は全員が習得すべきではないかと。
小学校・中学校・高校の必須科目としてもいいくらいかも。登山学。
ありとあらゆる様々な学問の要素が無限と思えるように入ってからんでるジャマイカ
芋殿、ご機嫌麗しそうでなりよりです。
自転車の免許も難しい世の中だけにねぇ〜
わたしもそうですが、本当に山の怖さを知ると、他人さまを同行するという責任に押しつぶされそうになります。
単独行のみが自由に歩ける形になるのは、いたしかたないですね。
120％安全な季節に安心できるルートで人がそれなりに居る山（苦笑
今年の五月に、甥っ子ケンタロ君を連れていった「御嶽山」もそんな選択肢でした
それでも・・あの災害です
妹に散々、お叱りを受けました（マジです
絶対安全なんてないですね
学校では「耐寒訓練」とかで山に登らせてもらいましたがねぇ〜
＞学問の要素が無限と思えるように入ってからんでる・・
まさしく、おっしゃるとおりですね
登山人口・・今の団塊の世代がピークのように思いますね
ゆとり世代は、厳しい山行には耐えられるのでしょうか（爆笑
でわでわ
33年前のあの日の記憶。あの日大学入学に備え自宅にいました。読売新聞朝刊に八ヶ岳遭難の記事がありました。私も高校時代山岳部。大阪の高校生が赤岳で滑落し遭難との記事であった。読み進むうちに急に熱いものがこみ上げてきた。いてもたってもいられずザックに装備を詰め、電車にとびのった。中央線茅野駅に着き警察署に事故の状況を確認した。本日午前中に霊柩車で大阪へ帰ったとのこと。友人として櫻本昌也、残念でならない。大学入学目前で死んでしまうなんて。
帰路の電車の中で夕暮れの八ヶ岳連峰が霞んで見えた。涙が止まらなかった。
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