白馬三山縦走−親子でお花畑と鑓温泉を満喫!−
- GPS
- 31:45
- 距離
- 22.7km
- 登り
- 2,087m
- 下り
- 2,663m
コースタイム
- 山行
- 5:52
- 休憩
- 0:42
- 合計
- 6:34
- 山行
- 8:31
- 休憩
- 2:02
- 合計
- 10:33
天候 | 19日:雨→快晴→ガス→雨 20日:ガス→快晴→曇 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2015年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
ケーブルカー(ロープウェイ/リフト)
■駐車場:八方第2駐車場(無料) 白馬八方バスターミナル真向い。日帰り温泉「八方の湯」駐車場。バス乗車および下山後の入浴に便利。次に近いのは第5駐車場。 ■バス:アルピコ交通栂池線 ・白馬八方バスターミナル→栂池高原 大人520円、小人260円 ・夏季ダイヤの始発6:05 ※ほぼ同時刻に猿倉行きのバスあり。猿倉行きのバスは白馬駅の乗車客で既に満席状態。一方で、栂池高原行きのバスはガラガラ。 ■栂池パノラマウェイ ・栂池ゴンドラ&栂池ロープウェイ 片道:大人1,920円 小学生1,050円 ■相乗りタクシー ・猿倉→八方第2駐車場 1台3,200円(他のお客さんと相乗りできれば割り勘できる) |
コース状況/ 危険箇所等 |
○登山ポスト 栂池ロープウェイ栂池高原駅手前に「栂池登山相談所」あり。相談所の方から「登山計画を提出しましたか?」と聞かれる。 ※事前にネットで提出しておくと手間がかからなくて良い。 ○山行計画 白馬岳登頂の最短コースは大雪渓を通るコースであるが落石の危険などを考えて栂池自然園からのコースとした。ロープウェイ利用であり、白馬岳登頂は体力的には楽。登頂後は白馬山荘もしくは白馬岳頂上小屋に宿泊。2日目は白馬岳方面から三山縦走、白馬鑓温泉コースをくだり、白馬鑓温泉小屋でもう1泊し、3日目は猿倉への下山を計画。 ただし、白馬鑓温泉コースの難易度、コース状況は開通間もなく良くわからなかったため、山荘で確認をしてから最終決定することとした。 ○コース状況 ※主に子連れ登山の観点から ◆栂池自然園駅〜天狗原 危険個所なし。 ◆天狗原〜白馬乗鞍岳 数十メートルの雪の斜面の直登あり(27年7月19日現在)。登山者が多いためステップができており、一歩一歩進めばノーアイゼンでも問題なく登ることができた。 ただ、斜度は結構あり、軽アイゼンまたはチェーンスパイクを履かせた方が良いかどうか迷うところ。子供の経験に合わせて判断した方が良い。 ◆白馬乗鞍岳〜白馬大池 危険個所なし。 ◆白馬大池〜小蓮華岳 危険個所なし。 ◆小蓮華岳〜白馬岳 片側が切れ落ちた斜面もあるが登山道は整備されており問題ない。 ◆白馬岳〜白馬山荘 危険個所なし。 ◆白馬岳〜杓子岳 岩場の稜線歩きはあるが登山道は整備されており基本的には問題ない。杓子岳山頂を経由する場合は、ザレた斜面を登るので落石等には注意。稜線は片側が切れ落ちている。 ◆杓子岳〜白馬鑓ヶ岳 登山道整備されているが急登もあり、落石等には注意する。 ◆白馬鑓ヶ岳〜鑓温泉分岐 危険個所なし。 ◆鑓温泉分岐〜大出原 危険個所なし。一部雪渓が残りトラバース気味に下る。斜度なくノーアイゼンでOK。 ◆大出原〜白馬鑓温泉 鎖場多数あり。ぱっと見た感じではそれほど難しくなさそうに見えるものの、岩が大変滑りやすく、なおかつ、沢の徒渉も加わりさらに滑りやすくなってしまっており、子供連れはかなり慎重に降りる必要がある。親もストックは必ずザックに取り付け、両手両足が使える状態でくだらなければならない。 白馬鑓温泉前に雪渓のトラバースあり。念のため子供は軽アイゼンかチェーンスパイク装着が無難。 ◆白馬鑓温泉〜小日向のコル ・鑓温泉直下から長い雪渓の下り。念のため子供には軽アイゼンかチェーンスパイク装着した方が良い。 ・長い雪渓が終わるとトラバースしながら崩落斜面の側を何度か横切らなくてはならない。雪渓や斜面に落石の後が多数あり、上部を見ながら進む必要がある。 ◆小日向のコル〜猿倉荘 危険個所なし。 |
その他周辺情報 | ■白馬山荘 1泊2食 大人9,500円 小学生7,000円 ※朝食は弁当に変更可能。弁当の内容はパン2個、ソーセージ、チーズ、ジュースなど。 ■白馬鑓温泉小屋 1泊2食 大人9,500円 小学生7,000円 入浴料 大人500円 小学生以下300円 ■温泉 白馬温泉八方の湯:入浴料金 大人800円、小人400円 ・平成26年12月オープンの入浴施設。 ・帰りのタクシーでお勧めの温泉を聞いたところ新しいからと勧められた。 ・新しくて綺麗、食事もできるが、あまり広くないので混雑時は避けた方が良いかも。 |
写真
感想
【山行計画】
長男が夏休みの自由研究のテーマに「山の研究」とかなり大雑把なテーマを掲げていた。おそらく、今年もどうせ山登りに連れていかれるんだろうと思って「山」にしたのだと思うが、具体的に何を調べるのか相談して「高山植物」にしようと決まった。
そうすると、高山植物(花)で有名な百名山といえば、「白山」か「白馬岳」だろうということで天気予報とにらめっこした結果、海の日の三連休の2日目、3日目が天気が良さそうな「白馬岳」に決定。
三連休の中日ということで普通なら山荘がかなり混雑するが、初日は台風の影響で登る人が少ないだろうと思われることから、超混雑ということはないのでは?と考え、電話にて白馬山荘を宿泊予約。前日に電話で混雑状況を確認すると「今日、かなり天気が悪かったので、それほど混まないと思います」とのこと。
折角、山荘で泊まるのであれば白馬岳登頂だけでは面白くないので、三山縦走と鑓温泉をセットに計画を立てる。前日の雨で大雪渓は落石のリスクが高くなっているだろうこと、長い雪渓歩きに長男の集中力が持つかわからないこと、できるだけ高山植物が見たい(写真に撮りたい)ことなどを考えて、栂池から登ることとした。
【アクセス】
前日の土曜日は長男が夕方・水泳、夜・テニスのダブル練習日。テニスの練習が終わるのが夜の9時。それから風呂に入らせて出発は夜の10時。家からは高山から安房峠(トンネル)を越えて長野入りして白馬に向かうこととした。
出発から30分、車の調子がおかしい。アクセルを踏んでも踏んでもエンジンの回転があがらず、スピードも出ない。警告灯もついている。出発して30分で計画断念か!?とかなり落ち込むが、いったん冷静にエンジンを切って、再始動してみると通常に走行できる。ほっとして走り続けたが、到着するまでまた調子が悪くなったらどうしようとドキドキしながら白馬へと向かった。そのおかげで眠気も起きなかったのは不幸中の幸いか。いつもどおり長男はぐっすり。どこでも寝れるってすごい才能だ。午前2時過ぎに白馬八方第2駐車場へ到着し、車中泊とした。
【登山記録】
●1日目
明け方5時過ぎ、雨音で目が覚める。もう明るくなっているがどんよりとした雲がかかり、雨がポツポツと降っている。天気予報では曇り、午後から天候回復とのことだったはず。雨も明け方だけかな、と淡い期待を持ちつつ、長男を起こして準備を始める。周りで車中泊をしていた人たちも徐々に準備をし始めている。
上下レインウェアを着て、ザックにはザックカバーを装着する。長男のレインウェアは以前のものが小さくなったので先週購入したばかり。早速使うことになるとは・・・。
駐車場の向かいにあるバスターミナルでバスの券を購入すると、既に20名ぐらいの登山客が列を作っている。最後尾に並ぶ。
6時、白馬駅発猿倉行のバスが到着。バスはほぼ満車。係りの人が「猿倉行の方手をあげてください」と言うと、行列の9割の人が手を上げる。しかし、バスには数名が乗れたのみで、ほかの方は次便へ回される。”みんな大雪渓コースで登るんだな。昨日までの雨、今日も雨で落石も怖いのに凄いなぁ”と思う。
6時5分に白馬駅発栂池高原行のバスが到着。ガラガラだ!このバスターミナルから乗る人も数人である。悠々とバスに乗り込むことができた。
今年の2月に栂池高原・八方尾根にスキー旅行に来ており、見覚えのある景色を眺めながらのバスに揺られる。栂池高原駅にて降りて、ゴンドラ駅へと向かう。栂池高原の駐車場には準備をしている登山者も多かった。雨は相変わらずしとしとと降っている。
ゴンドラ駅手前にある登山相談所の方が「登山計画書は出されましたか?」と登山者に呼びかけている。相談所の前は計画書を記入している登山者で混雑していた。長男は「計画書出さなくていいの?」と不安そうに話しかけてきたので、「ちゃんとネットで提出してあるから大丈夫だよ」と話をする。
ゴンドラは混むことなく、親子2人で6名定員の1つのゴンドラを貸切。20分間の遊覧飛行。2月に滑ったスキー場のコースを眺めながらどんどん高度を上げていく。
ゴンドラとロープウェイを乗り継いで栂池自然園駅へと到着。駅では準備をしている登山者が多くいた。トイレを済ませ、林道を通って登山道入口に到着。準備運動中の団体登山者を横目に登山を開始。
雨も降り、ガスで視界もなく、登山口から天狗原まではテクテクと歩く。ただ、逆に暑くなく順調に歩くことができた。雨は降ったりやんだりを繰り返している。長男は雨もそれほど気になら無い様子で親子で他愛もない話をしながら登っていく。
天狗原に来ると登山道は木道に変わり辺りは開けて湿原が広がっている。正面には白馬乗鞍が見える。斜面には雪が残っており、カメラをズームすると雪の斜面を登っている登山者が見える。結構な斜度がありそう。チェーンスパイクで大丈夫かな不安を覚えながら先へ進んだ。
登山道付近には一気に色々な種類の高山植物の花が咲き乱れている。長男の自由研究のため、できる限り花を撮影しながら歩く。
白馬乗鞍の雪の斜面に取りつく。多くの登山者がアイゼンを装着する準備をしている。ただ、斜面自体は急であるものの、ステップはしっかりしており、ノーアイゼンで登っても問題ないと判断し、そのまま斜面に取りつく。案の定、長男も問題なく登ることができた。
雪の斜面を登りきると広くて平らな白馬乗鞍岳の頂上部に出る。頂上には道標とケルンがある。ここで子連れの親子に初めて出会った。
白馬乗鞍岳頂上から歩くと、ほどなく白馬大池が見える。思ったよりも大きな池であった。白馬大池に沿って白馬大池山荘を目指して歩いていると、突然に空が明るくなる。ほんの数分で雲はなくなり、真っ青な快晴の青空が広がった。
山荘前にはそこそこの人数の登山者が休憩中であったが、空いているベンチがあったので少し休憩をし、水分とエネルギーを補給する。ベンチ横にはお花畑が広がっている。さすがは高山植物の宝庫だなと写真撮影。
進む方向には小蓮華へと続く山並みを見ることができる。北アルプス最北の稜線をこれから歩くこととなるのだ。気分も高まる。
山荘前を出発し、お花を観賞しながら登る。色々な種類のお花が咲き乱れておりなかなかペースはあがらない。下山する登山者も多く、挨拶を交わしてゆっくりと進んでいく。振り返れば緑の山並みに白馬大池が美しく佇んでいる。景色を堪能しながら登る。
白馬大池からは船越ノ頭は遥か遠くに見えたが、それほどきつい登りもなく到着。「やっと船越○一郎の頭に到着したね!」と話すと長男はぶっと吹き出した。冗談の意味をどれだけ理解しているかは不明だが、本日1番の笑いであった。
船越ノ頭で少し休憩とした。空は快晴で少し暑くなってきたことから、父はレインウェアの上を脱ぐ。長男は暑くないとのことであったので、そのまま登山を再開する。
しかし、小蓮華までの稜線上には風が吹いており、寒いぐらい。長男は「お父さんがカッパ脱いだとたんだね。失敗したね」と話す。確かに・・・。
小蓮華岳までの稜線歩きはお花畑あり、日本海側の景色ありとアルプスを堪能することができる。途中、日本海沿いの街並みまで眺めることが出来た。ただ、信州側はガスで覆われており眺望はなかった。
小蓮華に到着すると、一気に白馬岳までの縦走路があらわれる・・・はずだったが、ガスで残念ながら白馬岳の姿は見えなかった。ここからは稜線上をお花を愛でながらのんびりと歩くこととした。ガスで眺望はないが、登山道は整備されており歩きやすい。
白馬岳山頂もやはりガス、記念撮影を早々にすまして、今夜の宿・白馬山荘に向かう。
山荘の受付には人がごった返しており、順番待ちで宿泊の手続きを取った。前日に電話予約していたのが良かったのか窓際の特等席をゲット。布団も一人一枚、我々親子の隣の布団は空席とゆったりと過ごす事ができる。
荷物の整理を行った後、さっそくスカイレストランに移動。自分は豚骨ラーメンと生ビール、長男はカレーを注文。外はガスで真っ白のため展望は楽しめなかったが、3000m近い場所にして、これだけの味と生ビールが楽しめるのは幸せだ。
その後、のんびりと過ごして親子で仮眠する。目が覚めると外は激しい雨。早めに到着してよかったと実感する。
夕食は17時からとのことであったが、17時には混むだろうと思い、17時半ぐらいに出かけていく。山荘の受付前を通ると、風雨の中、この時間に到着して宿泊手続きをする人が沢山いらっしゃった。皆、凍えてしんどそうな顔。頑張って登っていらっしゃったんだろうな。食堂へ向かうと、こちらも大渋滞。30分ほど行列待ちをして夕食をモリモリ食べて明日に備える。メインはハンバーグ。調理場を見るとスタッフの方が忙しく動き回っている。まるで戦場のようだ。これだけの人数分の料理を準備するのはさぞ大変なことであろう。
食後は談話スペースに移動する。長男がおもむろに取り出して読んだ本は「千円札は拾うな!」。小学校5年生が読む本ではないと思うが必死に読んでいる。後でどういう本だったの?と聞くと「落ちている千円札を拾う人は出世しないって話。それから、残業をたくさんする人よりも仕事は短時間で集中してやる人の方が成果があがってお金にも困らないんだって」との回答。「なるほどなぁ。ところで落ちている千円札は交番に届けなくてもいいの?」と質問すると「やっぱり交番に届けないとなぁ。出世するよりも正しいことをしないと・・・」。息子よ、きっと、たとえ話だからそこまで真剣に考えなくても良いと思うぞ。
夕食後は部屋に戻って寝る準備して、明日の天気予報をチェック。明け方まで雨が残るが次第に天候は回復するとのこと。ただし、午後は雷雨の可能性も、ということで早立ちをして三山を縦走。お昼に鑓温泉し、できればそのまま下山するというプランとした。また、次の日以降も天気が続くとの予報であったので、下山後は南アルプスに移動することも決定。
●2日目
日の出は4時40分ごろとのことで、3時半ごろに起きる。まだ、周りは寝ている方が多い。一旦、外に出てみると一面ガスで覆われており、風も強い。ご来光は期待できないかなと思いつつも戻って出発の準備をする。
準備をし始めると徐々に周りの方も起き始める。レインウェアを着て4時半出発。まずは昨日も登った白馬岳山頂へ向かう。ガスで真っ白、風が強くて時折突風も吹くが、歩けないほどではない。既にご来光を諦めて下ってきている人もいるが登る人も大勢。頂上手前では団体の後ろにつきゆっくりと登る。20分足らずで頂上に到着。やはり真っ白な山頂は団体さんで大賑わい。団体さんの記念撮影が始まる。ガイドさんらしき人が「ハイ、チーズ」の代わりに「いいテンキー!」と元気な掛け声。真っ白で風も吹く状況とのギャップが面白くて、あちこちから笑いが起きる。そうだ、どんな天気でも登れるのであればいい天気!
山頂では記念撮影をしてすぐに降りる。山荘までもどって山荘の受付小屋のストーブの前で暖を取りながら朝食弁当のパンやソーセージなどを食べる。すると、長男が一緒に暖をとっていた朝食待ちのおじさま方に話しかけられる。「次はどんな山に登るの?」と聞かれ、長男が「折立から薬師、鷲羽、水晶、雲ノ平あたり」と答えると、おじさま方は口々に「いいね!」「良いコースだね!」「高天原に行って温泉に入ると最高だよ!」と仰っていただいた。
おじさまの一人が長男に「お姉ちゃんは妹はいるの?」と聞かれる。ん?お姉ちゃん?女の子と間違われている?ということで、帽子を取って坊主頭を見せて「いや、男なんです」と説明。「これは失礼しました!優しい顔立ちだったので女の子かと・・・」。大笑い。赤のレインウェアに赤のザックじゃぁ、女の子に間違われてもおかしくないかも。
おじさま方も今日は鑓温泉に向かうとのことで「じゃぁお昼頃にまた逢おうね」と食堂に向かっていかれた。
ストーブ前には登山相談所の方がいらっしゃったので、鑓温泉コースについて尋ねてみる。相談所の方によると「鑓温泉コースの難易度は大雪渓と同じぐらい。危険個所もある。コースも長く、今日中に降りようと思うとゆっくりと温泉に浸かる時間もないかも。」とのこと。「様子を見て、時間的に難しければ無理せずに鑓温泉で1泊します」と話をして再出発する。
真っ白な景色の中、白馬山荘前から下っていくとほどなくして白馬岳頂上宿舎の建物とテント場が見えてくる。縦走路はテント場を見下ろしながら続いているが、テント場裏の斜面には高山植物が一面に咲き誇っていた。まさに花の百名山だ。
三山のうちの2番目、杓子岳へと縦走路を進んでいく。真っ白なガスと強風は相変わらずであるが登山道は整備されており、歩くのは困難ではない。ほどなくして少しガスが薄まると、左手に長く深い谷が見えてきた。白馬岳と杓子岳の間の谷、大雪渓である。すでに下山開始をしている人たちの姿も見える。延々と続く雪渓歩きは楽しくもあり、落石の怖さもある。いずれ挑戦しよう。
白馬岳と杓子岳の鞍部までくると日本海側には晴れ間もみられる。ガスの切れ間では北アルプス北部の嫋やかで緑輝く山並みを眺めることができる。剱岳は見ることができなかったが、毛勝三山、富山の街、日本海まで眺めることができる。そして遥か遠くに浮かんでいる白山まで見ることができた。
ようやく見えた眺望に気分を良くし、いよいよ杓子岳への登りである。ザレた登山道を登っていく。思いのほかの急登で、ジグザグに登りながら山頂を目指す。長男のペースも少し落ちる。10歩程度登っては立ち止まりの繰り返し。登っていると太陽の光が差し込みブロッケン現象が。親子二人並んで自分たちのブロッケンを記念撮影。稜線に出ると後方眼下には白馬岳への縦走路が良く見える。ただ、白馬岳頂上付近は日本海側からの風にの乗ったガスがかかっており、なかなかすっきりと見ることができなかった。
白馬山荘から1時間半かかって杓子岳山頂にたどり着く。山頂はやはりガスで眺望は見られない。少し休んでから三山の最後、白馬鑓ヶ岳へと向かう。杓子岳の稜線は登山道の道幅はそれなりにあるが、信州側はスパッと切れ落ちている。風も吹いているので少し注意して歩いた。
杓子岳を下っていくと、目指す鑓ヶ岳方面のガスが晴れてきた。鑓ヶ岳のグレーの山肌に登山道がジグザグに走っているのが見える。威圧感のある大きくて格好の良い山だ。杓子岳と鑓ヶ岳の鞍部までくだって縦走最後の登りに入る。
杓子岳から見た灰色の岩肌の印象とは違い、登山道脇には緑も多く、ここも多くの高山植物が咲き誇っていた。お花畑に何度も立ち止まりながら登っていく。
昨日の白馬岳とは違って、この縦走路はすれ違う登山者も少なく、親子二人、静かな山行を楽しむ。時折、長男は「鑓ヶ岳、遠いなー」と言いながらも、息をきらすことなく登っていく。
杓子岳から1時間ほどで白馬鑓ヶ岳に登頂。またもや山頂付近はガス。行動食を食べながら少し粘ってみるが晴れそうなのに晴れない。今日は徐々に天気は回復傾向とのことだが、できれば今日中に猿倉まで降りたいので泣く泣く下山を開始する。
唐松岳へと続く縦走路と鑓温泉への分岐付近に来ると、かなり青空が見えてくる。富山方面のガスも晴れてきたので、ひょっとして剱岳が見えるかもと考え、少し縦走路の先まで足を延ばしてみる。残念ながら剱岳は見れなかったものの富山方面の美しい山並みは見ることが出来た。
白馬鑓温泉への分岐まで戻って大出原まで下っていく。大出原から見上げる鑓ヶ岳のスケールの大きいこと。そして、ここにも沢山のお花畑。するとみるみる鑓ヶ岳の山頂のガスが晴れて青空が広がった。もう少し、山頂で粘ればよかったかなとの思いも生まれたが、青空に聳える鑓ヶ岳とお花畑が美しくて絵になって感動。今回の山行のハイライトは白馬岳ではなく、この鑓ヶ岳直下の雲上の楽園と言って良いだろう。
大出原から鑓温泉までが鎖場の難所となる。ここから難所、ストックはしまってザックに取り付けるように、との看板の指示に従ってストックをしまう。岩場にさしかかるとガスが下からあがってきて眺望はなくなる。
岩場の下りは見た目にはそれほど危険には見えないが、いざ、下り始めてみると岩がつるつると滑りやすく、思ったよりも危険であった。しかも、雪解け水が岩場を流れ滝となっており、濡れた箇所もあってさらに滑りやすい。両手をしっかりと使って慎重に降りていく。これまで長男は50以上の山に登ってきたが、ひょっとすると今までで一番の危険個所かもしれない。場所によっては足を置く場所を指示しながらくだっていった。この岩場にも綺麗な花が咲いており、緊張した心を時折癒してくれる。
岩場が終わってさらにくだっていくと雪渓があらわれる。雪渓前に休憩中の登山者がいたので挨拶をすると、雪渓のすぐ向こうが鑓温泉とのこと。ガスが少し薄くなると確かに小屋の建物がすぐ間近に見えた。
雪渓はそれほど斜度はないがややトラバース気味に降りる必要があるため、長男にはチェーンスパイクを装着させて降りる。難なく雪渓を終えて、少し下ると鑓温泉に到着した。
この鑓温泉は雑誌やテレビなので何度も紹介されているのを見たことがある。憧れ、というほどではないが、来てみたかった場所の一つだ。時間は11時。まだ十分時間がある。小屋の受付で入浴料を支払い、混浴露天風呂へと向かう。先客は若い男性1名だけ。我々が入って来たのを見て遠慮してくださったのか、あがってくださる。男性が「こんな絶景で温泉入ったら、風呂上りにビール飲まないわけにはいきませんよね」と仰った。「そうですよね!」激しく同意。
雲上の混浴露天を親子で貸し切って暫くお湯につかる。標高2,100m。最短でも4時間は歩かないと来ることのできない、まさに秘湯である。眼下に広がる景色はガスのため最高とまでは言えなかったが、時折のぞかせる信州の山並みに心癒された。
入浴を終えて小屋の食堂で昼食とする。自分はうどんと缶ビール、長男はピラフとコーラを注文。まずはビールとコーラで乾杯。長男は書棚にある本を手にとって読み始める。深田久弥の「日本百名山」の文庫本であった。家にあるのにここでわざわざ読むの?と聞くと「折角だから登ったばかりの白馬岳のページを読みたいから」とのこと。
うどんとピラフで腹こしらえをして、さぁ最後の下りだ。
まずは鑓温泉から雪渓の下り。念のため長男にはチェーンスパイクを履かせる。ルートは雪渓の途中から左に折れ、斜面をトラバースすることとなる。このトラバースルートには落石が多くて思いのほか距離もあるので、今回一番の緊張を強いられる場面となった。雪渓上には夥しい落石の跡。長男を先に歩かせ、上部からの落石がないか注意を払いながら進んだ。トラバースを過ぎて歩いたルートを振り返ると、まさに落石の巣窟である。ちょうど、落石のガラガラという音が鳴り響いていた。小日向のコルを過ぎると樹林帯の登山道へと変わる。見晴らしの良い場所に出ると右手に八方尾根のが見える。左手に見える山並みは栂池あたりだろうか。急な坂を九十九折に降りていくとしばらく長くだらだらとした下りとなる。樹林帯で眺望はないが、それほど暑くもなく良いペースでくだってゆく。大雪渓方面への分岐となる林道に出ると少しほっとする。ほどなくして猿倉荘に到着。バスが出たばかりだったので次のバスを待たずにタクシーを利用して八方第2駐車場へ。
タクシーの運転手さんによると、昨日、天気予報を信じて猿倉までバスで来たお客さんが雨のために登らずに引き返す人が多かったとのこと。今日は子供でも白馬から唐松の縦走は可能ですかね、と聞くと、「不帰(かえらず)があるからねぇ。でもお父さんがついていれば大丈夫でしょ」。うーん、今度は大雪渓を登ってから唐松、五竜の縦走に挑戦しようかな。
八方第2駐車場まで送ってもらいマイカーに積んでおいた入浴セットを持って、駐車場横の八方の湯へ。新しくて綺麗な温泉であったが混雑していてゆったりとは入れなかった。露天から白馬三山が見えるはずであるが、やはり山腹から上はガスに覆われていて見ることはできなかった。
【感想】
夏休み前半親子登山第一弾は北アルプスへ!
長男の夏休みの自由研究が「高山植物の研究」となったことから、お花が咲き乱れる白馬岳に登ることとしました。
ただ、登るだけでは面白くないので、白馬三山縦走と最後に白馬鑓温泉を組み合わせて周回コースとしました。
残念ながら白馬岳自体はガスのために眺めることはできませんでしたが、それ以上に北アルプスの稜線、雪渓歩き、お花畑の鑑賞、そして最後には秘湯中の秘湯・白馬鑓温泉の入浴と大満足の山行となりました!
お花については、写真だけ取りましたので、これから長男と一緒に勉強します!
なお、当初2泊予定でしたが、案外早く歩けたので1泊に短縮し、翌日は南アルプスは北岳へと遠征いたしました。
百名山:44座目、長男(小5)42座目
栂池からは雨模様でしたが、この雨が気持ちいいくらいで丁度良かったです。そして樹林帯をぬけるとそこには天狗平という山上の楽園がありました。山は前に。花は下に。凄いところだと思いました。大池に行くと「晴れたっ」と言う風に今回初の晴れが現れました。そして「船越さん失礼します!(笑)」とばっかりに船越の頭をこえ、小蓮華が。その小蓮華を過ぎればお待ちかねの白馬岳へ…。しばらく登って、景色は無いけど達成感のある山頂到着。2900m級はいくのが久しぶりだったのでさらに達成感が増しました。ガスの中、山荘まで降りました。山荘は大きくて、スキー場のようなレストランがあるとは聞いていたもののまったくそのとおりで、びっくりしました。レストランでの牛丼は最高でした。夜はハンバーグでおいしかったです。寝るとなるとイビキが聞こえてきて、山らしいなあと思いました。
翌日、かぜとガスがあって寒かったですが、ご来光あるかなあと山頂へ。団体さんが
「いいてんき」の合図で撮影していました。元気がいいなと思いました。
山荘でおじさんに女の子と間違われて、やはり他の方と山で話すと面白い雰囲気になったりしていいなと毎回思います。そして、強風ガスの中出発しました。やはり寒いです。ときおり、景色がみえました。大雪渓の雪が見え、下界は30℃記録の日もあるのに、山は涼しくていいなと思いました。さて、二山目の杓子岳は下から見ると大きくて、アルプスの特徴があるなあと思いました。かなりの急登でしたが、無事に到着しました。最終ピークの鑓ヶ岳も大きいと感じました。1時間ぐらいで登頂したとき何も見えなかったものの。三山登った!という達成感がありました。鑓温泉まででの鎖場は、滑りやすくなっていましたが、慎重に行って温泉へ到着しました。こんな山で風呂に入れるなんて贅沢だなあと思います。山なのになんで温泉が湧いているかが不思議になりました。そしてサッパリすると、雪渓が。沢が。危険なところでしたが、けがもなく行けて良かったです。下って猿倉に着きました。
白馬岳は、花が豊富で、とくに崖に咲いているのは力強く根をはっていて、かんどうしました。さらに大きな山荘や花・風呂と他にはあまりない組み合わせで、満足しました!
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