高天原から水晶岳・鷲羽岳へ 快晴そして雷雨
- GPS
- 80:00
- 距離
- 50.5km
- 登り
- 3,975m
- 下り
- 3,965m
コースタイム
- 山行
- 7:10
- 休憩
- 1:25
- 合計
- 8:35
- 山行
- 6:25
- 休憩
- 0:40
- 合計
- 7:05
- 山行
- 8:05
- 休憩
- 1:40
- 合計
- 9:45
- 山行
- 8:25
- 休憩
- 1:25
- 合計
- 9:50
天候 | 1日目 くもり朝方小雨 2日目 くもり夕方一時雨 3日目 くもりのち晴れ 4日目 快晴のち雷雨 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2016年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
・わさび平小屋までの途中の橋 橋桁に歪みがあるけど、何かあっても責任は負わないよと言うような表記があります。往路ではなんか揺れた気が、、、 ・高天原温泉〜温泉沢ノ頭 沢沿いはマーキングがしっかり付いています。渡渉ポイントは本流5回とのことでしたが、8回でした。流れの状況で判断してください。 樹林帯がれ場はかなり急峻です。ヘルメットを被ることをお勧めします。 |
写真
感想
どうも自分は新穂高からの登山とは相性があまり良くないらしい。
8年前は登りで前パテて同行の友人に荷物を持ってもらうという失態をしでかした。さらにそれより前には、双六の天場で隣接するテントの酔っ払いが騒がしく、文句を言った山行の締めは、笠ヶ岳の天場でデジカメをなくすという、悲しい事態に。さらにさらに、4年前には新穂高から上がった山行で大けがをする始末。
そんな相性の良くない新穂高からの登山では、初っ端から締めまでイベント多きものとなった。
7月29日(金曜日)
・新穂高から双六小屋(テント泊)へ
前日の19時に新穂高の無料の第三駐車場に到着すると、すでに満車の看板が。今日はまだ木曜日だというのにツイてない。気落ちしつつも中に入ってみると、幸い空いている所があった。ヨカッタと思い駐車して仮眠した翌日は、出発時間に目覚めるという体たらく。
1時間近く遅れての出発は、わさび平小屋まではいい感じだったのに、そこから先はどうも脚が重い。うーん、6月初めの八ヶ岳以来、運動不足の日々だったとは言え、重すぎる。天候があまり良くなく、とても蒸し暑いのも影響しているのかもしれないが、なんか嫌な予感。
その予感は鏡平山荘から先、顕著に現れてきた。太ももの筋力に力強さが感じられない。加えて股関節に違和感を感じるようになった。脚が上がらず、歩幅が狭く遅い。たまらず普段はあまり使わないストックを動員して歩くが、相変わらず遅い。こまめにエネルギーと水分を補給をしているためか前に進む気力はあるのだが、体の調子は上がらない。周辺には高山植物がカラフルに咲き乱れているが、残念ながらそれでは体調を上げることはできなかった。どうにかこうにか双六の天場に到着することができた。時刻は13時50分。普通の足なら予定どおり三俣山荘の天場まで足をのばせる時間だが、この足ではムリはできない。テントを張って食事を終え、入念にストレッチして明日の復活に期待する。
7月30日(土曜日)
・双六小屋から三俣山荘まで
夜半にパラパラ降っていた雨は、5時頃から本降りの様子になってきた。早くに出発するはずだったが、少し様子を見ることにした。すると、6時半過ぎには止み出したので、カッパを着て7時過ぎに出発。双六岳と三俣蓮華岳はパスすることにした。歩き出すと雨は降らなさそうな模様だったので三俣の分岐でカッパは脱ぐことにした。
・三俣山荘から黒部川源流を経て岩苔乗越まで
足の状態は昨日よりはましな感じだけれども、足の付け根が痛い。完璧な運動不足で今日も登りはつらそうだ。三俣山荘でしっかり休憩をとって、黒部源流部に下る。元々は鷲羽、水晶を経由して、高天原を目指すつもりだったが、鷲羽はすっかり雲の中だし、足の調子もよろしくないので直接高天原を目指すことにした。ところが、源流部経由のルートなら幾分楽かと思ったが、甘くはなかった。黒部源流部までの下りはまあまあのペースだったのに、岩苔乗越までの登りは辛かった。コースタイムの1.5倍ほどをかけて、ヒイヒイゼエゼエの登りになってしまった。
・岩苔乗越から高天原まで そして高天原温泉
この道もよろしくなかった。樹林帯に入ると、湿気かひどく、道もグズグズのところが多く、痛い股関節を我慢しながら慎重に下る。
ここは曲がりくねった道のため視界も効かず、ケモノと遭遇しやしないかとドキドキさせられた。こんな奥ならいないかなと勝手に思い込むことにして歩いたが、山荘で聞くところによると、10日ほど前に遭遇した方があったということなので、ビビりな身としては知らぬが仏で歩いてこられてヨカッタ。
高天原山荘までは下りだったこともあり、コースタイムよりは40分ほど早く着くことができた。山荘はストーブで濡れた衣類を乾かすことが出来、大変助かった。
往復40分かけて温泉につかり、山荘で酔っ払って、ご飯をモリモリいただいて、心地よく床についた。
7月31日(日曜日)
・高天原から温泉沢ノ頭まで
眠りが浅く、夜中何度も目が覚めて寝てをしているうちに朝が来た。それでも8時間以上は横になれたので、疲労感は残っていない。外に出て空を見上げると、青空が少しは見えるが、くもり空といった方が正しい天気だ。それでも悪化する気配は感じられないので、雲ノ平経由で三俣のテント場を目指すか、あるいは温泉沢ルートをとるか前日悩んだが、温泉沢ルート選んだ。足の痛みとこと体力では不安が大きいが、天気がよくなれば水晶岳、鷲羽岳は踏んでいきたい。昔々にどちらも登ったきりで、しかも鷲羽岳は濃い霧での登頂だったため、今度は気持ちのいい登頂をしたい。
高天原温泉の沢筋から上がっていくのだが、マーキングはしっかりしている。しかし渡渉点と思われるところになっても、渡るポイントがわからない。マーキングが対岸に変わっているところの周辺を探してみるが、飛び渡るような場所も見当たらない。しばらく探してなんとか渡れそうな場所を見つけ無事渡れたが、失敗するとエライ目にあいそうな場所ばかりだった。また途中で二俣のところを右俣に行くはずが、涸れ沢のような左俣に見える方にマーキングがあり、半信半疑ながらもそちらに行くと、結果的にはまた本流に合流するような場所もあった。渡渉は4、5回と聞いていたが、今回は本流だけで計8回渡ることになった。その時々で状況が変わってくるのかもしれない。
右俣へは少し広くなった河原で唐突に分岐があった。右俣は流れが少なかった。ここまでで一時間弱を要した。それからは大きな渡渉もなく、3〜400mほど進むと、ようやく遠くに滝が見える分岐点に到着。温泉から1時間強。ここには沢幅にロープが張られ、それ以上上に行かないようになっていて、上流に向かって左手に尾根筋に上がるためのロープが垂れ下がっているのが目印になる。
小休止の後、いよいよ急登に取りかかる。ロープを頼りに5メートルほど崖をよじ登り、樹林帯を進む。ここは昨日歩いた岩苔乗越から高天原までの林道をさらに急にしたような登りで、いきなり苦しい。ただ20分も登ると、右手が開けたハイマツ帯になるので、登りはキツイがジメジメ感がなくなり、気分的にはよくなった。足はあいかわらずだがここまできたらもう進むしかない。
急登を喘ぎ喘ぎ進むと小ピークが見えてくるが、「もう少しで温泉沢ノ頭だ!」と、騙されてはいけない。こうしたピークがこのあと何度も出てくる。極め付きは、地図では右側の尾根との合流点が終了点に見える(注:あくまでも1:25000でですが、、、)ため、「きっとあそこでこのキツい登りは終わる!」と気を緩めると、しっかり主稜線の高さまで登高が続くので、心が折れてしまう。
二度ほど心を折りながらも無事温泉沢ノ頭に着いた。高低差約800メートル、コースタイム3.5時間のところを、休憩込みで概ね時間通りに登ることができた。足の痛みは変わらないけれど、なんとなく慣れてきた感じ。やるじゃん自分。
ここからは赤牛岳へと続く稜線がほぼ目の高さで北へ延びている。その右奥には黒部湖が黒い山体に挟まれて雲の色を映している。
・温泉沢ノ頭から水晶小屋まで
達成感に浸っていたいが、まだ先がある。南側は雲の量が多くなっている。まずは水晶岳を目指そう。が、ここまでの登高に続いて水晶岳までのアップダウンの連続はなかなかキツかった。それは水晶岳での写真の顔が物語っている。完全にへばっているヤツ。三俣山荘まで行かれるだろうか。水晶小屋に泊まっちゃおうか。そんな誘惑を振り払い、水晶小屋の前で朝に用意しておいたパックの五目ご飯をかき込み、鷲羽岳へ向けて歩き出す。
・水晶小屋から三俣山荘まで
鷲羽岳までは一見途中のワリモ岳のアップダウンと見た目長い行程だが、これまでと比べれば淡々と歩くことができる。先ほどから鷲羽岳の上空の雲の行方が気になる。厚く黒っぽい雲が時おり山頂にもかかってくる。今回も雲の中の登頂ではちょっと悲しい。さらに悪いことに雷鳴が一度、小さくも重低音で響くのが聞こえた。うーんまずい、早く鷲羽岳を超えていかねば。
幸い鷲羽岳は雲に覆われることなく、風もない穏やかな山頂を踏むことができた。ただ、先ほどの雷鳴が心配なため、早々に下山する。前半は岩稜帯のつづら折り、後半はザレ場のつづら折り、いずれも急な勾配を下るため、高度差が一気になくなってきた。それにしても肩に荷が食い込んできてイタい。去年の縦走の際はこんなに痛くなかったのに、、やはり鍛え直さないと、、、
三俣山荘に着く頃には、先ほどまでの天気とは打って変わって青空が広がってきた。鷲羽岳の上も晴れている。槍ヶ岳は雲に隠れていたのが雲が取れて穂先が見えてきた。北鎌尾根から続く槍穂高の壁はあまりに巨大で堂々としている。ここからの眺めもいいもんだなあ。
夕方、テントを出て山荘の食堂で開かれていた高山病の講習会に出席した。ためになる講習はさることながら、2階にあるこの食堂からは綺麗な夕やけが雲の合間から少し見えた。晴れていれば槍穂高も望める素敵な場所だった。さらに中に入ると、スパイシーないい香りが、、、宿泊ではないけれど初めて立ち寄ったこの山荘に、今度泊まってみたいと思った。夜テントに戻る頃には、辺り一面を霧が包んでいた。テントの近くは水の流れがあり、心地よい音を聞きながら眠りにつくことができた。
8月1日(月曜日)
・三俣山荘から三俣蓮華岳まで
テントから出ると、雲ひとつない青空が広がっていた。急いで山荘前に行くと、筆でサッと薄く引いたような朝焼けと槍穂高が目の前に飛び込んできた。左に目をやると、鷲羽岳が黒々とそびえ立っている。水晶小屋に泊まっていたら、なかなかすごい夜明けを迎えられたかもしれないけれど、テント場としては最高の場所に最高のタイミングで泊まることができたと思う。
テント場の隣人と他愛のない話に興じ、テント場を後にする。本来であれば、このまま真っ直ぐ双六小屋に向かう予定だったが、やはり三俣蓮華岳と双六岳を登っておこう。そう考えて歩き出したが、足の痛みがまた気になりだした。迂回ルートで少し立ち止まって考えたが、やっぱり行こう。下から見ると、かなり高く感じる三俣蓮華岳も、ゆっくりと淡々と歩を進めることで登頂することができた。ここは約20年ぶり。いい眺めだけれど、槍穂高が雲に隠れてしまったのが残念ではある。
・三俣蓮華岳から双六岳まで
少しゆっくりしてしまったが、まだ天気がいい。次は双六岳だ。そう思いながらも双六小屋への分岐点では少し雲が上空に出てきた双六岳を見上げながらしばらく考えてしまった。それでも考えている時間がもったいない。行こう。軽いアップダウンだが終盤に来て堪えてくる。ここでも高山植物が咲き乱れている。気分はいい。でも肩がイタイ。ナサケナイ。
山頂では団体さんが来たため早々に退散。それでも来てよかった。青空のもと、広く快適な稜線歩きを楽しめた。
・双六岳から新穂高まで
双六小屋前で早すぎるけれど昼食をとり、下山を開始する。来た時はどんよりとしたガスの中にぼんやりと見えた双六小屋が、今日は青空を背景にしている。ここで去るのはもったいない気がするけれど、下山しなければ。穂高側に出ると、雲に隠れていた槍がわずかに顔を出してくれた。
いつもそうだが、弓折乗越までも結構長く、アップダウンに苦しんだ。ザックが肩に食い込んでくる。もうそろそろだったかなと思うと、次の小ピークがあり、なかなかたどり着かない。情けないが今の実力。仕方がない。
鏡平小屋前で小休止後、すぐに出発。先ほどから空模様が怪しくなってきた。今朝はいい天気だったが、時計の気圧計は悪天候になる気配を大きく示していたのだ。なるべく早く下ろう。足を滑らさないよう細心の注意を払って、それでもテンポよく下っていく。
今回はコースタイムより遅れることが多かったが、秩父沢まではいいペースで下ることができた。ところが、その後すぐに大粒の雨が一気に落ちてきた。雷鳴も響いている。木の陰で急いでカッパを着たがだいぶ濡れてしまった。これからは早く下るよりも、より安全に下るため、それまでの半分程度のペースで下ることにする。途中で落雷が心配になり、樹林帯で退避していたが、雷鳴が落ち着いてきたのを見計らって歩きだす。頭を低くして、開放的なところではさらに低く、そして極力早く、通り過ぎるよう、でもスリップは絶対にしないように心がけた。雷は屋久島で、スリップはザイテングラードで経験している。
ゆっくりゆっくり下山を進めて、ようやく林道に出た。肩がとても痛く、靴の中も濡れてしまった。わさび平小屋前では肩から荷重を外し、一休みしてすぐに出発。ここからも長かった。靴の中が濡れたことで、足指も痛み出した。こんな時は早く着いて欲しいのに、なかなかたどり着けないゴール地点。雨が上がり、ようやく着いた駐車場では、荷物を広げて片付けをして、ついでに外で着替えまで済ましてしまった。
人心地つけて、車を走らせ、平湯のひらゆの森でひとっ風呂。ここは内風呂の風情がいいなあ。さらに車を走らせて、松本市内でお目当てのカレー屋さんに行ったら、なぜか一時間前に閉店。それでも別の店で食べたかったカツカレー大を軽く食して、帰路に着いたのでした。
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