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山に行くよりも、やらなければならないことをしなければと重荷になっていました。というのも、我々の教授はその当時バリバリで、しかもキリスト者で、内村鑑三の系譜につながる方でした。
MaxWeberの研究者としても知られていました。きわめて純粋に学者でした。
その厳しい一面だけしか見ていませんので、とても敷居が高かったのです。
私にとっては結婚式に出席いただいて、祝辞を頂戴したのですが、なんと40分もしゃべられて、披露宴はとんでもないことになったのですが、それも我々を心から心配してのことでした。
ただ、先生が期待したほどの学業の実績も上げられず、不祥の弟子に終わり、それが重荷になっていました。学才がないのは語学力の至らなさであきらめ、最初の挫折感を味わいました。また別の理由で結婚を急ぎ、学問への道に自ら見切りをつけたなど、先生にはお話もせずに、お別れしたという思いが強く残っていたので、先生に会うのはとても勇気のいることでした。
思い悩むより、まず動けと、自分を叱咤して、今日出かけました。
最初に訪ねた住所は違う名前の家で、何を間違えたのかと思いましたが、お昼時なので、腹ごしらえして、再度、家を探しました。住宅表示があって、そこに該当する家が一軒あったので、そこを探して行きました。
途中で、電話を入れたのですがお留守の用だったので、その家を見つけた時にはいらっしゃらないと思いまして、外からお住まいの写真を撮ってから、帰ろうと車に乗った時に、一台の車が来ました。そしてその家の駐車場に入ろうとしているのが分かりました。車を見るとお二人乗っておられて、女性が運転しており助手席に男性がいました。
直感的に先生のお顔であるとわかりました。踊るような思いで車の外に出て、お二人が出てこられるのを待ちました。
ああ、何ということでしょう。先生は今年89歳になられます。昔の鋭い顔つきも穏やかになっていました。それでも眼光はまだしっかりされています。
「先生、覚えておられますか?」
「覚えてるよ、今何しているんだい?」
「まだ仕事をしてますが、チベットの子供の支援のボランティアを行ってます」と、思わず返事した。
俗な話をうかつにできないな、と思えたからだ。
5月10日に新しい本が出るので、それ以降にお会いするということにして、お別れした。
私の人生の中で、この先生との出会いは大きい。出なければウェーバーと出会えなかったし、キリスト教に触れることもなく、思想史的視野もなく、世界を見る目を持つことができなかったであろう。今日までの自分、いや死ぬまでの自分を支える思考を形成したのは、まさにこの青春時代であったからだ。
その恩師に対して、不義理をしているという思いが、この歳になって重くのしかかっていたのだ。
でもそれが取れた。私にはそう感じられた。お会いしに出かけてきてよかった。今まで鬱々としていた思いが晴れた。
5月に再び仲間と一緒に先生とお会いして、特別授業を聞くことになるだろう。みなそう思っている。
いや、ほんとにうれしい。山の頂上を踏んだ時よりもうれしい。人としての峠を一つ越えられそうだ。それがうれしい。
人生は山道を歩くがごとしとうけれど、登り切らないんでしょうね。
写真は先生ご夫妻と、鎌倉のご自宅です。
長年思っていたことが叶えられて良かったですね
人生いろんな人の影響を受けますが基本になったんですね、生きているうちに会えてよかったと思います。お礼が言えて良かった、長いスピーチは後になれば思い出ですがその時は大変です、お酒の前ならもっとですねー
マックスウェーバーって聞いたことがあるけど、全く無知ですみません。
山に行くより野に良いこともあるということでしょうか
たまたま手にとった「職業としての学問」をきっかけに
Max Weberを知り、上記の言葉の意味を知りたくてドイツ語の勉強を始めました
当時不定詞、定動詞という概念がなくてmacheを辞書で探しても見つからず、辞書の落丁かと勘違いして、
古本屋巡りして辞書を調べまくるとか、しなくていい苦労をしました
で、「ああこれドイツ語を一から勉強しないといけないんだ」という次第です
2年くらい一人で基礎文法を学んだあと、ドイツ語から離れて
今となってはほぼ忘れてしまったことですが、ただそれがいいものだったということはこれからも忘れないと思います
q0u0pさま
そうですか、ドイツ語ね、難しかったですね。でもその悪戦苦闘ぶりが山登りににてるのかもしれませんね。
昔、味わったことを無意味にするのも有意義にするのも自分の心持一つですものね。
お互いにMax Weberという大学者は、我々の人生を別のところへ導いてきたんでしょうね。
知らなきゃ、もっとのんきに来たものを・・・
でも人生って楽しい
恩師がお元気でいてくださって、感謝を言えるなんて、自分が無事に生きて来られてよかった
コメントありがとうございます。うれしいです。
yumeさん、
つくづく思うよ。人生って楽しいね。僕はがぜん人生は楽しいと思えてきた。
それに、癌や脳出血を乗り越えて、のんきに山歩きしてる自分が、生きてるからこそ、恩師にも会えるんですよ。生きていてよかったと思います。もちろん先生がご健在でいてくれたからこそですが。
これってね、自分がお世話になった方々への感謝の気持ちと誠意のあり方だと思うのね。
私がこうして真面目に物事を考えたり、行動したりするのも、若い時の経験の積み重ねですよね。
そういう自分がいとおしいです。
僕はこれでいつ山をやめても人生に悔いを残すことがないような気がします。山で出会った人たちを大事に思う気持ちは持ち続けるでしょう。
山をやめても、妻と二人で違う道を歩くでしょう。みなさん、お世話になりました・・・
なんて、まだ書かないよ
こんな書き方すると、この世の終わりみたいになるけど、もういつ途切れてもいいように、毎日過ごします。
そういって、いつまでも生きて、山歩いているでしょうね
私は<強い>のだ。
ところでYumeさん<つよい>と書いて何て読むかご存知ですか?
これ<したたか>って読むんですって!どうだ
ほんとうは<しなやかに>生きたいんだけど、もうこうなったら<したたかに>行くしかないよね
連休は、いいおじいちゃんしてください、にゃろめ!
ああ、くやしいいいい
http://profile.ameba.jp/hagure1945/
これ私のブログ。最近はヤマレコの日記と連動してますが・・
こんにちはhagure1945様
89歳の先生に65歳の教え子ですか???
一緒に何度も山行させていただいていても
そういえばhagure様がどういった人生を歩んでいたのかあまりわかっていませんでした。
この年齢で、文学的な話は膨らむは、
動画はすぐにアップするは、
過去を振り返れば山岳家だは、
未知の領域が多すぎですね。
まぁ、あまり知りすぎると尻込みしてしまいますので、
山好きのおじさんということでくくっておきます。
これからも含蓄あるお話聞かせてください。
ははは・・
上げ底の人生送ってますからね、山好きのジイジイでいたいですねぇ〜
すんません、もうすぐ67歳になるんですよ、いい歳でしょう・・
でも目標は、楽しいいいおじいさんになること。
みんなの話をにこにこ聞けるおじいさんになりたいんだけど
お友達って大事ですからね、山連れてってくださいね
私よりも少し上の世代以下に欠けていると思うもの・・・教養
この十数年、hagure1945様以上の年代の方と接していると痛感させられます。
今の若者たちに、同じような出会いのチャンスがあるのかどうか?
私事ですが、"ソフィーの世界"に挑戦して全く歯が立たなかった二十歳の頃を思い出しました。
私自身は、その頃と余り変わっていないのですが
「つよい」=「したたか」or「しなやか」?
なるほどね〜
人間無い物ねだりなんですね〜 男が女を女が男をいいなーって思ったりするように( ^)o(^ )(綾小路君麻呂説)
孫もいればいたで大変なんですよ、近くにいる孫が来ればパソコンは取られて帰るまで使えません、小3年ですが小1年の勉強をしています、親で無いのでまあ責任が無いのが良いところですが・・・
この間行った奈良の恩人兄弟も3人づつ子供がいるらしいけど結婚したのは1人だけらしく、兄の方は女ばっかり、弟の方は男だけ、兄の長女は亡くなったそうです。
中々親の思う様にはいかないらしいです。
私は4年半程の良い思い出しか残っていませんが、ずっと暮らしてきた恩人もまた繁栄と倒産を経験して、苦楽があり今の続いている様です。
うちもしかりです、欲はきりがないので難しいです。
今は山と巡り合えて、山友が出来て今はすごく「ごきげん」な日々をすごしています。
少しづつレベルアップして再来年の冬赤岳に行けたらいいなーと思ってます
生きているうちは元気で死ぬ時はコロッと逝きたい
これもまた「欲」でしょうか ね〜
1955さま
最近はね、文学が軽くなってるんですよ。売れればいいということでね。文章も口語調で、1ページの字数が少ない。
軽重浮薄な時代だから、めんどうなこと考えないようになってるからね。
私なんぞは、屁理屈を考える訓練させられたかね、こうなった
でも学友の連中と顔をそろえたら、みなウェーバーから逃れられないでいましたね。青春時代に受けたものは強烈だったんですね・・・
私も昔とかわってない・・・なぁ〜
ユメさま、
山ともいいですね〜
なぬ、冬の赤岳ですと
効き捨てならないことをおっしゃる
今年の夏にぜひAoさんとお上りください。Aoさまのお庭ですから。
欲をかくのが一番いけない
まだ大病してないんだから、楽しんでください。
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