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最初の方(第一部)は、読み進むのに苦痛でした。場所などをA高原だとかB沢だとか匿名化していることが原因だと思われます。やはり具体的な場所とか季節がわかってこそ愉しめるのが山(や旅)を主題としたの本なのでしょう。
中盤はそういった欠陥がなくなったので、通常の山の本(紀行文)のように楽しく読めました。少々老成しすぎの印象はぬぐえませんが、それでも山行のスタイルやその変遷には共感できる部分が多かったので、最初の方でめげて投げ出したりすることなく読み進んでよかったなぁ、と感じたものです。
ところが、最終章がまたまた苦痛。研究者が初めて論文を書くときの欠点のようなものが出てしまっていて、気合が空回りしている印象でした。この著者は山と渓谷社で13年間編集に携わっていたということで、最近の山登りのスタイルの変化と商業誌のビジネスの側面とを考察するのが狙いなのでしょう。ところが、ちょっと気合いが入りすぎで、空回りしているようでした。この最後の論文調のところと、それと著者略歴とは、分量も必要以上に長いですし、ちょっと自意識過剰のように思われました。自費出版の本だったら、ご本人の述懐がだらだら続くのも理解できるのですが・・・
ちょっと辛口の書評になってしまいましたが、共感できる点も多かったので、自分の欠点を見たような気も正直している、ということでご容赦ください。
共感できた一番のポイント: ある瞬間の視覚的映像が、人が山歩きに興味を示すきっかけとなっている、というところ。私の場合、中学三年生の夏休みの尾瀬で見上げた空だと断言できます。
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