年齢的なものが大きいとは思うのですが、今の自分にとてもよく合った本でこころに触れるものが多くありました。
「権兵衛峠」という一編は、そもそもこの権兵衛峠(中央分水嶺上にあって日本百名峠の一つ)に最近親しみを持っているというばかりでなく、その中での著者の主張にはとても共鳴しました。曰く「満ち足りた山というものは、いつの山登りにでもあるものでは決してなく、自分の心から行きたいと思った山へ行ったとき」、そして「さすれば、このごろは行きたい山があったとしても、ほんとに行きたいのか、―心の中でよく考えてみる時間が、まず、ぼくには必要となっている」と続きます。
その他、「稚き日の山」とか、吉野満彦氏とペアを組んでコーカサスのリアリゥエル山に登頂したときの「老いぼれと彼」とか、印象的でした。
まえがきも著者らしいものでして、「―だが、私には死と会う約束がある」というある詩からの一節を引用して終わっています。
図書館から借りた本でしたが、手元に置いておきたい一冊でした。
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