著者は、1940年兵庫県生まれのドイツ文学者だそうです。副題からわかるように著者が辻まことの大ファンであったことが想像に難くありません。この本は、16編から構成されていますが、もともと月刊誌「みすず」に連載されていたのは18回だそうで、2回分を削った上で、配列を正したりしたことがあとがきに記載されています。
当然、辻まことの作品からの引用も多いのですが、「五枚の写真」という節では、その名の通り、辻まことの若いころの写真が紹介されています。父親に連れられてパリに行く直前の親類壮行会集合写真(14歳)、西湖のほとりに建つツブラ小屋での仲間との青春時代(20歳)、金鉱探しに明け暮れていた山師姿(26歳)、中国でロバにまたがった二等兵の軍服姿(30歳)、そして、ウクレレを解体・組み立てているやや老け顔(42歳)、です。それぞれ辻まことファンには貴重な写真でしょう。
また、最後の節「すぎゆくアダモ」の一番最後の部分にも、ちょっとドキッとしました。「辻まことの命日は十二月十九日。その意志により父親辻潤の墓には葬らなかった。」(意志は遺志の意?)
著者は、あとがきの最後の段落で次のように述べています:「私にはいちばん書きたかった本がやっとできた。」 こんなことを言わしめる辻まこと氏、やっぱり大した人ですよね。
nomoshinさん こんばんは、bergheilです。
辻まこと氏は私の大好きな作家の一人ですが、池内紀氏も、山のエッセイなどを書かれていて、好きな作家の一人です。池内氏は、F.カフカの「変身」なども翻訳されているので、私はむしろカフカの翻訳家としての印象が強いです。
残念ながら「見知らぬオトカム」は未読ですが、紹介していただいたので、今度読んでみようと思います。
池内氏の著作は、「ひとつとなりの山」(光文社新書)、「ひとり旅は楽し」(中公新書)、「森の紳士録」(岩波新書)などがあり、いずれも味わいのあるエッセイです。
池内紀氏について、まったく存じ上げませんでして、この本をたまたま見つけただけでした。そういう方なのですね。
今度、ご紹介頂いた本、たとえば「ひとつとなりの山」あたり、を読んでみたいと思います。
いつもながら、貴重なアドバイス、感謝です。
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