内容は、1967年に行われたデナリ峰(北米の最高峰、アラスカの俗名マッキンレー)冬季初登の物語です。寄せ集め的な総勢8名の国際隊です。1名(テレイともパーティを組んだことのあるフランス人登攀家)は入山後まもなく、クレパスに落ちてあっけなく死亡してしまいます。苦悩の後、7人で登山を続行。なんとか3人が登頂に成功するも、下山時に悪天候につかまって、狭い雪洞で1週間を(他の夏季の登山隊が残したガソリンや食料が見つかるという幸運のおかげで)生き延び、最後は無事下山するというドラマ(他のメンバーはほとんど諦めて下部キャンプまで退却していました)。登頂した3人に著者は含まれていませんが、登頂した一人のアーサー・デイビッドソンが、「Minus 148°: The Winter Ascent of Mt. McKinley(零下百四十八度:マッキンレー峰厳冬期登頂)」という題名の本を1969年に出版していて、これを資料として利用することの許可を得ていたので、アーサーの視点での記載も含まれているため、全体像が網羅されています。また、鮮明なカラー写真が豊富にあり、用具はそれなりに古い(1960年代)はずなのでしょうが、なぜか古さをあまり感じさせません。立派なイグルー(外見と内部)も登場します。
寄せ集めの国際隊ならではのメリット・デメリットも描かれていますし、最後の第3部では、登頂から30年近くを経て、それぞれのメンバーと再会する著者のフォローアップ(ふりかえり)がしみじみとしています。
著者は、この本を脱稿した約2ヶ月後、刊行を目前にしたタイミングで急逝されたということは驚きでもあり、惜しい人を若くして失ったものだと思います。今まで、著者の名前は知らなかったのですが、たまたま、山と渓谷誌の連載「On The Edge」(2015年2月号)で触れられていたのも偶然のタイミングでした。
【読了日:2015年2月25日】
nomoshinさん、はじめまして。
私も図書館で見かけて読みました。子供(当時4歳)の絵本を探しに児童文学のコーナーに行った時に見かけて思わず借りてしまいました。おっしゃるように内容も十分大人向けだと感じたので。
冬のデナリという極限状態での登山や、奇跡的とも言える下山にドキドキしながら一気に読んでしまいました。
あんな環境の中にも人間は入って行けるんですね。ホントに驚きです。一昔前なので装備は今よりもかなり脆弱でしょうし・・ でもエベレスト初登頂時も写真を見ると英国紳士?っていうような格好をしてたりしますよね。
コメントありがとうございました。
おっしゃる通りですよね。私も想像するだけしかできませんが、アラスカ州の冬なんて、日照時間もごくわずかでしょうし、アーサー・デイビッドソンの著書のタイトルが「零下百四十八度」(これは、気温が-50℃で、風速50m/sの時の体感温度だそうです)であるように、とても生物が生きていけるような環境ではないですよね。
でも、そのアラスカに魅せられた人たちとして、植村直己氏や星野道夫氏などがいたと思うと、自分も是非一度訪問してみたいと思っています。
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