真っ暗な林道を車で登り詰め、誰も居ない太平山(秋田県)二手ノ又登山口の駐車場へと駐車した。
静まり返った夜空には、沢山の星が輝き、東の空には月が昇っている。
暫くすると夜が明け、「もっとも気軽に登れる初心者コース」と謳われている二手ノ又登山口から入山するが、泥に近い土を落ち葉が覆ったいきなりの急登に唖然とする。
初心者コース!?(;゚Д゚)
今日は、初心者コースということで、一般的な長靴での山行だが、予想外のヌルヌルと滑る急登に悩まされつつ、朝焼けに染まる市街地を右手に眺めながら尾根へと登り詰め、分岐から女人堂へと向かう。
そして女人堂を過ぎると積雪は少しずつ増え始め、前岳を過ぎる頃には山道は雪で覆われ、暫くして滑りやすい急登を登り詰めると美しい鳥海山が見える中岳へと到着した。
どうやら今日は、目的地の奥岳の山頂から素晴らしい景色が期待できそうだ。
朝の清々しい景色を少しの間眺めてから、奥岳へと向かう山道へと下るが、程なくして足跡は急に少なくなる。
始めての縦走路なので、積雪があるこの時期はやや不安であったが、一つだけ続くトレースはハッキリしており、山の奥へ奥へと続いている。
少し安堵してトレースを辿るが、足跡をよく見ると裸足のような…。
人の足跡にしては形状がおかしいし、アイゼンの爪が前にしかついていないようにも見える…。
どうやら先行者は、4足アイゼンの黒い人のようだ。(*´ー`*)♪
普段からこの山道を歩き、山を知り尽くした黒いガイドさんなら、積雪により殆ど道がわからないこの状態でも、きっと奥岳へと続く山道を案内してくれる筈。
出会いたくはないが、そのまま案内していただくこととした。
トレースを辿り暫く進むと、行く手のトレースは、傾斜角50°程の斜面を延々とトラバースしており、場所によっては50cm程の積雪となる斜面は、トレースが無ければここが山道であることを殆ど認識できない。
何度も谷側の足を滑らせ、滑落しそうになるが、灌木や笹に掴まりながらどんどん進むと、突然黒いガイドさんのトレースは、斜面の上の濃い藪の中へと向かって行く。
積雪期の知らない山域でガイド無しでの山行はやや心細いが、気にせずに何となく登山道のような場所をそのまま直進すると斜面の勾配は増し、もはやピッケル無しでは滑落の可能性がある危険なトラバースとなるが、相変わらず灌木や笹を掴みつつ先へと進むと、暫くして笹藪を刈り払いしたような山道らしき場所へと繋がり、程なくして黒いガイドさんのトレースも現れ、先へと続いている。
成る程…流石山を知り尽くした方だけに、危険な場所を予め稜線へと巻いたようだ。
妙に感心しながら、また黒いガイドさんのトレースを暫く辿ると、剣岳の野田コースとの合流地点へと到着し、ガイドさんのトレースは、いつの間にか消滅していた。
ここからは雪も少なくなり、山道はハッキリしている為、迷うこと無く順調に進み、宝蔵岳を過ぎ、やや凍結した弟子還のクサリ場をハラハラしながら登り詰め、程無くして奥岳山頂へと無事に到着した。
山頂からは、期待した通りの360°の美しい景色が広がっており、秋田県内外の主峰が一望できる。
素晴らしい景色を前に、この場に偶然居合わせた方と共に持参したおむすびを頬張りつつ、山好き同士のいつもの和やかな山話しが始まる。
始めての縦走で、黒いガイドさんのトレースを頼りに4時間程かけてここまで辿り着いたことをお話しすると、帰りは一緒に旭又登山口に下りて、自分の車で送ってくれるとの有難いお言葉をいただいたが、日暮れまでにはまだ時間があるし、最後まで自分が計画した山行を自分の力で終わらせたいと思い、感謝しつつ御断りさせていただいた。
また、この日は数人の秋田市在住の登山者と快くお話しさせていただいたが、秋田市の方々が大切にされている特別な山なのだという事を改めて認識することとなり、手作りの標識一つにしても、この山域を守る方々の心意気を感じ、感謝の念が込み上げる。
秋田県、太平山奥岳。
地域の方々に愛され、1000m級の山の頂きにして、これ程眺望が優れる景色を堪能できる場所は、なかなか他に存在しないのではないだろうか?
aoirousagiさんおはようございます。
掲載の足跡写真を拝見して、
誰もいない山道を歩いていることを想像すると、よく最強ガイド様に追尾していったな、と感心します。
黒いガイド様にご挨拶するような事が無くて良かったですね。
コメントありがとうございます(^-^)/
奥岳の山頂にて出会った登山者のお話しですと、この山域は熊の巣のような場所だそうで、頻繁に熊達の姿を見る事ができるのだそうです。
(*´ー`*)
ご存知かと思いますが、秋田は熊が多い地域の一つで、私も何度か遭遇していますが、5m程の距離にいてもチラッとこちらを見るだけで、全く相手にしてくれないことがありました。
熊にも色々な心境や性格があるようですね。
(^-^)
今回は、全く知らない積雪期の山域で、延々とトラバースが続く急斜面にある筈の山道も雪に覆われていましたので、黒いガイドさんの登場で、大変助かりました(^-^)
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