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酸ヶ湯温泉の駐車場からは、これから目指す真っ白に雪化粧をして朝日を浴びる大岳が美しい姿を見せている。
積雪期の八甲田は初めてだが、登山口からは、先行者のトレースがハッキリと続いており、取り敢えずトレースを辿ることとした。
よく見ると、どうやら今日は3番手だろうか?
朝日を浴びてキラキラと輝く雪面をスノーシューで軽快に進み、暫くしてトレースが続いて行く谷間から外れ、東側の尾根へと登り、そのまま仙人岱避難小屋の西側にあるP1338を目指した。
ぬかるむ急登が続くが、スノーモンスターの集団の隙間を縫うように登り詰め、P1338に到着。
あれが大岳だろうか?北側にはドーンと構える大きな山が見える。
青空の下、辺りは殆ど風もなく、清々しい景色が広がっており、そこで少しの間景色を楽しんだ後、次はそこから東側にある仙人岱避難小屋を目指した。
足跡一つ無い雪の上に自分だけのトレースが続き、なんとも絵になる風景に一人悦に入りつつ歩みを進めると、少し先を横切って行く人影が見える。
どうやら硫黄岳に向かう方のようだ。
トレースを横切り、小さな森林帯を抜けると避難小屋に到着するが、人気もなく静まり返っている。
前日のものだろうか?ポールが並ぶ脇には僅かなトレースが確認できる。
雪に刺さったポールを辿り、そのまま北側へと進むと、今度はハッキリとしたトレースとぶつかり、そのまま少しの間トレースを辿るが、自分が目指すルートとは違うようなので、トレースが無い大岳山頂へと直進し、一気に勾配を増す地点へと向かう。
しかし、目の前の斜面に取り付くには勾配が急だったので、そこから反時計回りに取り付き場所を探してみると、あまりハッキリしないが、やや傾斜が緩い谷を見つけ、ここから取り付くこととした。
のっぺりとした急勾配はぬかるむ為、スノーシューのスパイクの効きが悪く一歩進むと半歩滑り落ちる。
そんな事を繰り返しつつ斜面を詰めて行き、地形図を確かめ山頂へと直登するルートをとった。
山頂に近づくに伴い寒さが増し、同時に斜面の固さも増して幾らかスパイクの利きが良くなると共にペースも上がり、暫くして噴火口へと辿り着いた。
真っ白な噴火口とその先に見える小岳の姿が美しい。
そして、そこから見える大岳山頂までの僅かな距離を詰め、誰も居ない山頂に10:50に到着した。
山頂からは、360°のパノラマが広がっており、眩しい日差しが降り注ぐ青空の下、間近に見える起伏に富んだ地形には、様々な形のピークや谷間、平地が存在し、斜面はクリスマスツリーの様な樹氷に飾られ、あたかも巨大なデコレーションケーキのようだ。
また、遠くの水色の空の下には周辺の主峰が雲の上にポッカリと姿を現し、幻想的な雰囲気を醸し出している。
まるで宝箱の中の箱庭を覗き込んだかの様な美しい景色を前に山頂にて一人佇む。
こんな感動的な景色を大岳山頂から独り占めとは…なんと贅沢なことだろうか…。
暫く素晴らしい景色を楽しんだ後、下山することとしたが、折角の雪山なので、往路を辿らずに、山頂から直線的に駐車場を目指す事とした。
急な斜面を南西へと進路をとるが、表面だけ薄く凍結した雪は、踏みつけると中がサラサラで、スノーシューのスパイクが利かずに、歩くと言うより雪と共に滑り落ちる様にして下るが、時折スピードが出すぎるので、わざと転んで短くしたトレッキングポールで滑落停止すること数回。
なかなかスリリングな下降となったが、程なくして森林の中へと入った。
朝よりも気温が上がったせいだろうか?膝下程度のラッセルとなり、スボズボと斜面を暫く下り続けるが、思わぬラッセルと日差しの強さに疲労を感じた為、適当な斜面にて早めの昼食にした。
今日の昼食はパンとソーセージ、それに菓子類だが、青空の下、風もなくこんな長閑な風景の中で食事できるのなら、熱々のカップラーメンにすればよかった…と後悔する。
食事中、ふと南側を眺めると目の前には何だろうか?真っ白に雪化粧した形の良い尾根が続いた先にピークが見える。
きっと名のある山だろう…その形の良い尾根に、つい登りたいという衝動に駆られ、調べてみると櫛ヶ峯という山らしい事がわかり、いつかチャレンジしてみようと思う。
ゆったりとした昼食を済ませた後、更に森林帯の尾根を下るが、尾根を一本間違ったらしく、予定より早く踏み固められたトレースとぶつかった。
もう少しの間トレースが無い景色を楽しみたかったが、仕方なくトレースを辿り、少しして無事に駐車場へと到着し、今日の山行を終えた。
今日の山行は、八甲田の一部を歩いたに過ぎないが、想像以上の美しい景色に大満足な一日となった。
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