|
|
|
登山届記帳所から舗装された緩やかな下り坂を暫く下ると、白神岳登山口駐車場脇にある休憩所が見えてきた。
駐車場には車両や人陰は無く、辺りは静まり返っている。
休憩所前の階段を上り、沢山の貼り紙がされた引き戸を開け掃除が行き届いた建物の中へと入ると、二日前にデポした靴がポツンとベンチの上に置かれている。
ザックをベンチに下ろし、やっと重さから解放された肩を回し、この旅で400ml程だけ残ったペットボトルの水と原形をとどめない程に潰れたクリームパンで、腹ごしらえを済ませた。
さて、冒険の旅は終わったが、これからこの旅のスタート地点である白神ライン岩崎ゲートまで愛車を引き取りに戻らなければならない。
簡単な着替えを済ませた後、必要最低限の荷物を入れたアタックザックを背負い、休憩所を後にした。
まだ明るい林道を五能線白神岳登山口駅へとゆっくりとした足取りで向かう。
いつもなら、車で一瞬で通りすぎる景色の中をゆっくりと歩いているのがなんだか不思議な気分だ。
林道を抜け、国道を横切り少し懐かしい昭和の香りが漂う集落の中を進むと、地元の方らしい女性が向こうからやってくるのがみえる。
すれ違いざまにお互いに「どうも」と挨拶を交わす。
白神岳登山口駅がある集落なので、一見して、怪しげな人間ではなく、登山者だとわかったのかもしれない。
それから少しして駅の待合室に到着した。
よく掃除が行き届いた小綺麗な室内の壁には、時刻表やら、不審者発見時の連絡先やら、地元の子供が描いた絵などがところ狭しと貼られており、近くの民家からはテレビの音が聞こえてくる。
17時42分発の列車が到着するにはまだ早いので、椅子に腰掛けながら久しぶりに満足できる電波の状態になったスマホをいじっていると、あっという間に出発の時間が近づいたので、誰もいないホームへと上がると、間も無くガタンゴトンと音を響かせ二両編成の車両がやって来た。
貸し切りの列車に乗り込み、ぼんやりと窓から見える海を眺めていると、三つ目の駅の陸奥岩崎駅へと到着した。
既に日は傾き、辺りには夜が迫っている。
街並みを離れ、急ぎ足で6km先の白神ライン岩崎ゲートに向かうべく歩みを進めると、右手の方角には雲に覆われた山々の姿が見える。
きっと白神岳山頂もあの後ずっと雲に覆われているのだろう。
人気の無い静な林道をやや暫く歩き続けると、いつの間にか辺りは暗くなり、ヘッドライトを点灯しての歩行となった。
GPSで確認すると、愛車が待つゲートまでは後数百メートルで到着するようだ。
思えばこの旅は、未体験の事ばかりだった。
雪山縦走、雪壁の登攀、雪山のツェルト泊、稜線上での雷、雪庇の踏み抜き…。
自分は雪山の強者達に少しは近づけただろうか…。
季節はもう4月も半ば、今年も新たな無雪期登山の幕が開けようとしている。
さて、今年はどんな冒険が待っているのだろうか…また、どんな素晴らしい景色に出会えるだろうか…もう今から楽しみだ(^-^)/
はじめましてaoirousagiさん。
素敵な山行お疲れ様でした。
読んでてワクワクが止まらない。
あ〜白神の山域にいっきた〜い
はじめましてiga3さん。
今回の登山計画を立てる際、Googleにて色々と検索しましたが、この時期にこのルートを通る数少ない記録の一つがヤマレコにありましたので、拝見させていただきましたが、あのレコはiga3さんの2017,03,31のレコだったのですね…(^-^)
あのレコを今回の山行の参考にさせていただきました。
iga3さんには感謝しております。
コメントを編集
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する