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2021年04月13日 19:14未分類全体に公開

大館市〜鳳凰山・無雪期

2021,04,12
緑に包まれた山々を眺めつつ大館市の市街地を離れ、樹海ラインを西へと車を走らせる。
右手に現れたホテルの角を曲がり、雪解け水が流れる林道を南へと暫く進むと、左手にややくたびれた鳳凰山登山口と記された看板が現れ、車を停車させた。
太陽の光が眩しい穏やかな雰囲気が漂う登山口では、チョロチョロと心地好い沢の水の音が響き、辺りには蕗の薹の花が疎らに咲いている。
入山の準備を終え、10時50分、鳳凰山へと登山を開始し、先日の滑落時に痛めた左膝をかばいつつ丁寧な足運びを心掛け、杉の切り株が脇に並ぶ緩い傾斜の山道をゆっくりとした歩調で歩き続ける。
膝が治るまでは暫く登山は控えるつもりだったが、やはりこの天気ではいても立ってもいられず、いつかは登りたいと思っていた鳳凰山へと春の雰囲気を味わいに向かうこととしたが、流石にこの足では長距離は無理なので、今回は距離が短く、なんとか辿り着けそうな茂内コースとした。
久しぶりの山の土の感触を足の裏で感じつつ若葉が芽吹く山道に更に歩みを進めると、少しして辺りは背の高い杉林となり、キラキラと輝く木漏れ日を浴びながら高度を上げて行く。
ふと、背中のナップサックに取り付けた熊避け用のキーンというベルの音が、なんだか無粋に思えたので音を消した。
そして静かな山道を暫く歩き続けると、つづら折りとなった山道の曲がり角に先行する登山者が一人しゃがんでおり、手の平程の大きさの石を積み重ねて造られた小さなお社らしきものを前に、何やら恭しく埃を払っているように見える。
近付いて挨拶を交わし、これは何ですか?と尋ねると、その方曰く、週に数回鳳凰山に登るそうで、この石を積み重ねられた両手に納まる程の小さなお社らしきものは、何かが奉られているのではなく、自分で勝手に造ったものだそうだ。
危うくつられて手を合わせ、笑い話しにされるところだった…。
他の山の山道脇でもそれらしいものを見掛け、何となく有難いような気がするが、それらも誰かが何気なく造ったものも少なからずあるのだろう…などと思い、なんだか可笑しくなる。
折角なので、その方と共に大文字焼きの話し等を交えながら、山話しに花を咲かせつつ山道を進んだ。
そして暫く話した後、今度は私が山道を先行することになり、別れ際に近道を教えていただいた。
成る程、山道を外れ、踏みあとが続く杉林の中を進むと、つづら折りの山道をショートカットすることができた。
やはり地元の方には声をかけてみるものだなぁ…などと思いながら更に進むと、突然辺りを覆っていた木々が途切れて視界が開け、その先にはそよ風に揺れる草地が広がる斜面をトラバースするように山道が続いている。
青い空に白い雲、眼下には様々な建物が並ぶ大館市街地と共に、ニプロハチ公ドームの白い屋根が小さく見える。
高台からの美しい光景を前に、無理しても来て良かった…そんな思いが込み上げる。
恐らくは、ここが大文字焼きの文字の部分なのだろう。
先程出会った地元の方のお話しでは、残念ながら今年も自粛することになるのでは…との事。
いつの日か、大の字に火が灯された光景をこの目で眺めてみたいものだ。
暗闇の中、山の斜面に浮かび上がる巨大な大の字は、鳳凰の名のごとく、さぞかしきらびやかで感動的なものだろう。
そんなことを思いながら更に進むと、大文字駒形分岐点に到着した。
左に曲がると、やや急な上り坂が真っ直ぐ続いている。
どうやらこの坂を登りきれば、山頂のようだが、この足で登りきれるだろうか…。
少し心配だが、滑りやすい山道でスリップをして更に膝を痛めないように、足裏の感触を確かめつつ、フラットフィッティングを心掛けながらゆっくりとした歩調で進むと、9合目の看板が現れた。
あともう少し…。
左膝の痛みを気にしつつ更に登ると、下山してくる登山者に、すれ違い様に「おっ、余裕だね」と声をかけられ、苦笑いを浮かべつつ、それから少しして11時36分、山頂に到着し、そこに集う数人の登山者との挨拶を交わした。
登頂した目線の先には、未だ真っ白に雪化粧をした八甲田山の美しい連なりが見える。
居合わせた方に、ここから見える周囲の山々の説明を伺うが、いつもなら岩木山も見えるそうだが、今日は残念ながら見えないとの事。
少し残念だが、真っ白な周囲の主峰達にぐるりと囲まれた景色はなかなかのものだ。
そして雑談の後、空いたベンチに腰掛け、景色を眺めつつ昼食にすることとした。
持参したナップサックから鮭のおむすびを取り出して口に頬張り、水筒の熱いお茶で喉を潤す。
冬季はおむすびが凍結してしまう為に持参できなかったので、今日、久しぶりに苦労の末、山頂で味わう鮭のおむすびの味は格別だ。

標高520.4m、大館市のシンボルである鳳凰山。
記述によれば、この鳳凰山の名前は山梨県の鳳凰連山に由来するとの事であり、また、山肌に大の字を掲げたその姿は鳳凰の名に相応しく、どっしりとした存在感のある山だ。
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