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2021年05月04日 23:00未分類全体に公開

単独行〜真瀬岳・早春

2021,05,03
中ノ又林道を進むと、真瀬岳登山口の4.5km程手前でワイヤーが張られ、車両通行止めとなっていた為、仕方なく車を停め、ここから歩くこととした。
空にはどんよりとした雲が太陽の日差しを遮り、今にも雨が降りだしそうだ。
6時35分、レインウエアの上だけを着用し、登山口へと続く林道を歩き始めた。
右手には、中ノ又沢が流れており、ザーッという音を耳にしながら平坦な林道を北東の方角へと歩き続ける。
視界に雪は無く、対岸の切り立った崖には、新芽の緑に色づいた木々や、ピンク色のヤマザクラ、そして時折現れる小さな滝がうっすらとした靄の中に見え、幻想的な雰囲気を醸し出している。
暫く歩き続けると、一時間程で登山口へと到着した。
山道入り口の看板には、通行禁止と記されており、更に歩道の管理はされていないことと、入林は自己責任と記されている。
早速、目の前の数メートル幅の浅い沢を渡り、杉林の中へと続く山道へと歩みを進めた。
少しすると、真瀬岳への山道を示す標柱があり、ここを左折するようだが、その先には道は無く、取り敢えず案内の通り左折して直進すると、沢が現れ対岸へと渡った。
泥濘を少し進むと、また山道を示す標柱があるが、やはりその先にも山道らしきものは無い。
なるほど、近年の登山記録が殆ど無く、登頂はかなり困難との事は事前に情報を得ていたが、どうやら山道を歩く一般的な登山は期待できないようだ。
地形図を確認し、先ずは少し先にある、かつて山道があったらしい小さな沢の脇を登った。
沢の脇を登りきると、斜面の上へとつづら折りに続く藪化した作業道らしき場所へと出たが、構わず藪の中を直登する。
何度か作業道を横切ると、目の前には急斜面が広がっている。
相変わらず山道らしきものは無く、目線の先の藪の中には意図の不明なピンク色のテープが見えるが、地形図を確認し、テープをあてにせず右手より始まる尾根を直登する事とし、藪こぎにより全身がずぶ濡れになることが予想される為、ここで上下共にレインウエアを着用した。
草木が生い茂る雑木林を両手で掻き分けながら登ると、少しして辺りは植林された杉林となり、尾根の傾斜は一段とキツくなると同時に湿り気を帯びた土は非常に滑りやすく、四苦八苦しながら更に登り続ける。
暫くすると、この場所に似つかわしくない大きな岩が突然目の前に立ちはだかった。
これが山道の途中にあると言われる露岩というものだろうか…。
岩を左手から巻き上がり、更に歩みを進めると、落ちた杉の葉で埋もれたうっすらとした山道へとぶつかった。
折角なので、ありがたく山道を利用させてもらい、杉林の中を軽快に高度を上げて行くと、高度約650mからネマガリタケが覆う藪へと突入した。
ここからがいよいよ本番のようだ。
少し進むと、足下の山道は藪の中へと消え判別が難しくなったので、地形図を確認しながら尾根上を直登する。
ネマガリタケが密集する先が見えない斜面を登り続けるが、時折想像以上の急な斜面もあり、ネマガリタケや灌木の枝を鷲掴みにしながら突き進む。
正に藪との格闘だ。
辺りは霧で覆われ、視界が悪く時折雨がパラパラと降ってくる。
そして藪は高度を上げる程に密度を増し、細い尾根上では、足の踏み場が無く通過するのに一苦労する。
やや暫く藪との格闘の末、山頂直下へと辿り着くが、ここから先は人差し指程の太さに人の背丈を超える程の高さがあるネマガリタケが密集しており、斜面の下へと倒れている為、前に進もうとする体に突き刺ささり、文字通り弾き返されなかなか前進できない。
ほぼ新品だったレインウエアは、既に穴が開きボロボロだ。
更に昨夜の寒気の影響だろうか、辺りには真新しい雪が積もっており、足下も滑りやすい。
あともう少し…自分に言い聞かせ、両手で藪を掻き分けながら一歩一歩山頂へと確実に距離を縮めて行く。
そして10時30分、足元に突然三角点を表す標石が現れ、真瀬岳山頂へと到達した。
地面には雪が積もっており、辺りは霧に包まれ、ゴーッという音と共に冷たい風が吹き荒れている。
事前情報では、真瀬岳山頂からの眺望は藪により期待できないとの事だったので、そもそも期待はしてはいなかったが、やはり全く視界が無いのにはガッカリした。
山頂を示す標柱の記念撮影を終え、復路での体力を養う為に寒さでガタガタと震えながら昼食のおむすびを口に頬張るが、全く食べた気がしない。
そして昼食を終えたその時だった。
突然頭上に陽の光が差し込み、一気に青空が広がった。
霧が晴れ、次から次へと千切れ雲が西から東の空へと流されて行き、周辺の山々の姿を露にした。
なんと素晴らしい景色だろうか…あまりの急な状況の変化に一瞬唖然とした。
西には、山々の合間に真っ青な日本海。
南と東には春を迎えたばかりの周辺の山々がどこまでも連なっており、北には白神岳の裾野と岩木山の陰影が見える。
ついさっきまでの悪天候が嘘だったかのように風は治まり、ポカポカと暖かささえ感じ、真瀬岳に歓迎されているかのような突然の展開につい笑みが浮かぶ。
今やかつての山道は、深い藪の中へと飲み込まれ、道なき山へと変わりつつある真瀬岳。
眺望は不良との事前情報だったが、辿り着いてみれば、この時季の日本海と周辺の山々を見渡せるロケーションは素晴らしく、白神山地内の数ある主峰から見る眺望に匹敵するものであった。
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