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2021年06月08日 23:35未分類全体に公開

単独行〜和賀山塊(西側)周回・無雪期

行程
白岩岳登山口〜白岩岳〜錫杖の森〜小杉山〜和賀岳〜小杉山〜薬師岳〜甘露水口〜真木林道〜みずほの里ロード〜入角沢林道〜白岩岳登山口
以上、一泊二日の周回

2021,06,05-06
4時22分、雨上がりの白岩岳登山口より、薄手の雨合羽に長靴を着用し入山した。
先ずは作業道と交差しつつ、高度を上げながら薄暗い杉林を進むと、やがて辺りは雑木林へと変わり、更に進むとブナの木が生い茂る森へと変わった。
山道はやがて尾根の南側をトラバースするように続くが、泥で覆われた雨上がりの斜面は滑りやすく、滑落を気にしつつ進んだ。
ほとんど眺望がきかない山道を暫く進むと、左手には山裾が雲に覆われた周辺の美しい山々の姿が木々の合間から確認でき、入山開始から始めて現在の高度を実感した。
そして、ここからやや右手へと続く雨の流れにより洗窟された山道を進むと、6時30分、木の枝に白岩岳と記された札がぶら下がる山頂へと到着した。
以前残雪期に登頂した際には、360°の素晴らしい景色を堪能することが出来たので、今回も期待していたが、無雪期の今は残念ながら藪で囲まれ、全く周辺の景色は確認できない。
特に見る物もないので、山道が続く南東側へと進むと、地を這うように枝を伸ばした万年シャクナゲの木があったが、まだ開花していないので、早速これから進むべき南東側斜面へと続く筈の山道を探すが、全く面影らしきものはなく、辺りは深い笹藪に包まれている。
試しに少し笹藪の中へと分け入ってみるが、やはり山道らしきものは確認できず、どうやら今日の山行も、かなりの困難が予想されることを改めて実感した。
少しばかり気落ちしたが、地形図を頼りに取り敢えずは南東へと続く尾根沿いを笹藪を掻き分けつつ下った。
相変わらず山道らしきものは無く、暫くして現在地を確認するが、進むべき尾根より南側へと下りすぎていることに気付き修正した。
笹藪を掻き分け、灌木の枝を避けながら進むと、時折山道らしきものに出くわすが、覆い被さる藪により、利用することが困難であることが多く、結局はルートファインディングしながらの藪漕ぎを続けることとなった。
尾根上の小さなアップダウンをこなし、7時30分、P1078へと到達し、二日分の装備を詰め込んだ15kg程のザックを肩から下ろし、一息ついた。
既に日が昇り気温も高くなり、着用している雨合羽の中が汗まみれとなったので、雨合羽の上着を脱いだが、早速数十匹の虫達が待っていたかの様に体に群がり、チクチクと刺してくる。
虫達を振り払いつつ持参した羊羹と共に水筒の熱いお茶を口に含み、辺りを見回すが、見えるものと言えば、ブナの森とその周りを埋め尽くす笹藪だけだ。
先はまだ長い…。
そして短い休憩を終え、またウンザリする程の藪を漕ぎつつ東へと続く尾根へと下った。
暫く進むと、藪で先の見えない急斜面が現れ、眼下へと続いている。
足下が見えず恐る恐る下り続けると、突然足下がスッパリと切れ落ちた崖っぷちへと到達し、正にここが錫杖の森の核心部であることを直感した。
ワイヤー梯子がぶら下がる崖下を見渡すが、着地地点が今一つ確認出来ない為、更に山道の先に少し下り、崖の側面へ回り込むと、木々が崖にしがみつくように生えており、この木々の幹や枝を掴みながら降下できそうだが、やはりここからでは着地地点が見えない為、15kg程のザックを背負ったまま、万が一登り返しが必要になった場合は、窮地に立たされる可能性を払拭出来ない。
ザイルや下降器を持参しなかったことが悔やまれるが、仕方なく誰が設置したかわからないワイヤー梯子を点検して降下することとし、恐る恐る垂直のワイヤー梯子を下り、無事に着地する事ができた。
目の前には森に包まれたアップダウンが激しい痩せた稜線が続いており、足下は木々の葉により殆ど確認出来ないが、万が一滑落したら助からないことだけは容易に理解できる雰囲気を感じ取ることができる。
少し眺めた後、目の前の痩せ尾根へと向かったが、少し進むと両側が切れ落ちて尖った尾根が現れ、スリル満点の綱渡りをこなし、更に先へと進むが、この先も起伏が激しく気を抜けない箇所の連続だ。
錫杖の森と言うだけあって、痩せ尾根には常に木々が邪魔をし、足下が見えない箇所も多いが、逆に木々の枝や根をホールドやスタンスとすることができるのでありがたい。
錫杖の森を神経をすり減らしつつ通り過ぎ、次の通過地点となるP986を目指し南東へと続く斜面を登るが、進む程に笹と灌木で覆われた藪は濃さを増し、直進する事が非常に困難となった。
更にP986を過ぎ、稜線上を南へと進路を取ると、いよいよ藪は濃くなり、人差し指程の太さの笹と、雪の重みで真横に太い枝を枝を伸ばした灌木が立ちはだかり、思うように前に進めない。
やがて右手の藪の隙間からは、ザーッという音を奏でながら、緑色の森の中を流れる八龍沢の白い流れと共に、和賀岳へと続く美しい稜線が確認でき、あと少しで小杉山に到着できる事を実感した。
しかし、進路の確認の為に太い灌木に登ってみるが、背の高い藪に阻まれ、この猛烈な藪漕ぎの終点となる小杉山は確認できない。
仕方なく斜面の上へとまた暫く藪漕ぎを続けると、11時43分、三角点を示す標石が現れ、小杉山へと到着した。
そして更に藪の中を南へと少し下ると、明瞭な山道が現れ、視界は一気に開け、和賀山塊の美しい山々の稜線を目の前にして先ずは一安心した。
手首には血が滲み、体中虫に刺され、体力も既に限界に近いが、もう目の前に立ちはだかる物は何も無い。
そして心地好い達成感を胸に、和賀岳山頂を目指し、東へ続く山道へと歩みを進めた。
青い空に白い雲、谷間に残る残雪と濃い緑に覆われた稜線。
そして山道脇を飾る淡いピンク色の花を咲かせたミネザクラ。
どこを眺めても美しく絵になる風景が疲れた心と体を癒してくれる。
ゆっくりとした足取りで、山道の先にあるピークを一つ越え、更に歯を食いしばりつつ最後の斜面を登りきると、そこには小さな黄色い花達に飾られた、こぢんまりとしたお社があり、和賀岳山頂へと12時47分到着した。
穏やかな雰囲気が漂う山頂からは、登頂を歓迎してくれているかの様に、白い雲が浮かぶ青い空の下、360°の見晴らしの良い清々しい景色が広がっており、濃い緑に包まれた和賀山塊の山々の姿が眩しい。
そしてその絶景を前に、肩に食い込むザックを下ろし、傍らに転がる細い丸太に腰掛け、昼食をとることとした。
持参した鮭のおむすびを噛りつつ眺める北側の目線の先には、特徴的な尖った形をした羽後朝日岳が見える。
数年前の今頃、羽後朝日岳に登頂した際には、丁度見頃の花を咲かせたミネザクラが迎えてくれたことを思い出した。
あの時も猛烈な藪漕ぎの末に泥だらけになりながら登頂したが、あのミネザクラは今も美しい花を咲かせているだろうか…などと思いを巡らせながら、もう暫くは訪れることがないだろうこの場所からの美しい景色を目に焼き付けるべく、ゆっくりと昼食を楽しんだ。
さて、当初の予定では、一泊二日で今日のコースを往復するつもりだったが、想像以上に厳しい藪漕ぎで既に復路を辿る体力は残っていない為、予定を変更して甘露水口に下山して一泊し、林道と一般道を歩いて白岩岳登山口に戻ることとした。
昼食を終え、和賀岳を西へと下り、小杉山を通りすぎて薬師平へと入った。
あと少しでここもニッコウキスゲのお花畑へと変貌を遂げることだろう。
いつの日かまたこの地に花が咲き乱れる頃に訪れたいものだ…。
そんなことを考えつつ薬師岳を通りすぎ、更に南へと下った。
下りとは言え、既に疲れきった体には少々キツく、ゆっくりとした足取りで暫く歩みを進めると、渡渉地点へと差し掛かった。
久しぶりの冷たい沢の水の感触に、つい嬉しくなり、長靴を履いた両足を沢の中に沈めた。
長い山行で火照った足にヒンヤリとした感触が伝わり、サラサラという水の流れが何とも耳に心地好く、ほっと一息つくことができた。
渡渉を終え、近くの土手を登り、更に暫く進むと、後ろから熊避けの鈴の音が聞こえ、少しして二人連れの登山者と出くわした。
少しばかり言葉を交わすと、白岩岳から錫杖の森を通り、小杉山に抜けるあのルートを越えてきたとの事。
同じ日にあの難路を辿る登山者が他にいるとは夢にも思わなかったが、やはり世の中には私と同じ物好きがいる者だなぁ…などと思い、なんだか可笑しく思えた。
そして更に少し下ると、甘露水口へと到着し、その先にある山小屋には16時20分に到着した。
さて、今日の宿泊地はどうするか…。
山小屋に泊まれば楽なのだが、やはり折角の和賀山塊の旅なので、自然の中でツェルト泊にすることとし、まだ明るい真木林道を西へと下った。
緑色の景色に包まれ、キラキラと輝く木漏れ日の中を、小さな滝や沢の流れを楽しみながら進むと、17時10分、林道脇に土砂が積まれた小さな丘を見つけ、ここを今日の宿泊地とした。
丘の下には小さな滝が流れ、ザーッという音を奏でている。
夕暮れ迫る中、ツェルトを近くの小枝にロープで吊るしただけの簡単な設置を終えた後は、夕食を済ませ、早々と眠りについた。
明くる日、野鳥のさえずりで目覚め、簡単な朝食を済ませてからツェルトを撤収し、5時15分に宿泊地を後にした。
早朝の清々しい林道を、背中から朝日の光を浴び、大小の滝や水色に輝く沢の流れを楽しみながら西へと進む。
空には刷毛で履いたかの様な巻雲が浮かんでいる。
今日も天気が良さそうだ。
砂利道は暫くして舗装路へと変わり、民家が疎らに建つ集落では、犬の声が聞こえる。
6時19分、鳥海山が遠くに見える「みずほの里ロード」へと入り、舗装路の上をひたすら北を目指した。
その後、入角沢林道入り口へと到着し、サラサラと流れる沢を右手に、ぬかるみが多い道を東へと進んだ。
時折林道脇に垂れ下がる紫色の藤の花が美しく、上品な甘い香りを放っている。
暫く進むと林道は蛇行し、白岩岳登山口へと続く最後の緩い上りへと差し掛かった。
いつもならこの程度の坂道は大したことはないのだが、山行二日目の今日の体には非常に堪える。
そして最後の緩い坂道を登りきり、8時55分、白岩岳登山口に到着し、二日間約37kmの旅を終えた。
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