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6時15分、白神ライン脇の空き地に車を停め、車両止めゲートの脇より奥赤石川林道へと足を踏み入れた。
既に日は高く、見通しの良い森の中へと続く林道を、キーンという熊避けのベルを響かせながら軽快に進んだ。
真新しいタイヤの痕が続く林道脇には、フキやシダ植物が密集しており、周辺の森の中にはあまり年代を感じさせない細めのブナの木が疎らに立ち、他の木々と共に眺望を遮っている。
時折沢を流れる水の音が聞こえるものの、動物達の鳴き声もあまり聞こえず、眺望も無い代わり映えのしない静かな森の中を進むと、暫くして右手の視界が僅かに開け、天狗峠から天狗岳へと続く稜線が間近に見える。
今日初めて目にした白神山地の美しい眺望に感動し、この先訪れるであろう素晴らしい景色に期待が膨らんだ。
しかし、残念ながらこの後も眺望も無く、相変わらず代わり映えのしない景色が続き、林道に導かれるままに出発から約11km程進むと、大きな案内板が立ち並ぶ登山口へと到着した。
早速左手へと続く山道へと進むが、地形図には記されていない山道は意外にもハッキリと続いており、迷うことなく順調に進むと、やがて山道は小さな沢へとぶつかった。
地形図を確認すると、目の前の沢を登り詰めれば櫛石山の南側にある小ピークへと辿り着くことが出来そうだ。
現在地からは、櫛石山へと直接繋がる明瞭な谷や尾根は無く、間隔の狭い等高線が山頂へと連なっている為、先に等高線の間隔が広い目の前の沢を詰めて南側の小ピークへと向かうこととした。
しかし、これが大きな間違いであり、対岸には今来た方角へと折り返す様に山道が続いていており、わざわざ沢登りをする必要はなかったことを下山時に確認した。
ややぬかるむ沢を暫く登り続けると、やがて沢は枝分かれし、ルートファインディングをしつつ登り続けるが、徐々に水の流れは細くなり、ついには涸れ沢となった。
そして、更に数十メートルの藪漕ぎの末、ハッキリとした山道へとぶつかり、拍子抜けした。
気を取り直し、その山道を道なりに進むと、目標にしていた櫛石山の南側にある小ピークへと難なく到着した。
ここは北側と南側へと続く山道の分岐点となっており、先ずは今日の目的地である櫛石山がある北側へと進んだ。
10メートル程進むと山道は藪の中へと消え、完全な藪漕ぎとなったが、幸いにして先が見えない程の藪ではない。
しかし、辺りには熊に食い荒らされた真新しいタケノコがあちらこちらに散乱しており、また、ブナの木の幹には熊の爪痕が多くのこされており、否応なしに熊の存在を感じ取ることができる。
藪を漕ぎつつ一度コルへと下り、更に藪を漕ぎつつ緩い斜面を登りきると、9時40分、山頂を示す標石が現れ、櫛石山へと到着した。
残念ながら辺りは広葉樹とネマガリタケに覆われており、期待した眺望は全くない。
仕方なく記念撮影を済ませ、後日予定している白神山地核心地域の沢歩きの下見を兼ね、ここから1.3km程南側にある核心地域内のP623を目指すことにした。
藪漕ぎを終え、先程の分岐点へと戻り、更に南側へと続くハッキリとした山道を下った。
相変わらず眺望が無い森の中の山道を歩き続けると、10時37分、P623付近に到着した。
やや視界が開けたこの場所からは、摩須賀岳が見える。
久しぶりの美しい景色を前に、折角なので、景色が良いこの場所で昼食にすることとした。
事前情報より、眺望はあまり期待していなかったが、やはり白神山地の美しい山々の姿を殆ど見ることができない今回の山行は少々つまらないものであり、また、長い道のりを苦労して辿り着いた割には、白神山地の奥深い山中でありながら、既存歩道とは言え、地形図には記されていない山道がハッキリと形成されており、また、核心地域でありながら、随所に人が立ち入った痕跡が感じられ、今回は期待していた山行には程遠く、残念に思う。
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