|
|
|
お盆休みの今日は、八幡平周辺の沢登りを予定していたが、諸事情により中止となった為、急遽予定を変更し、その足で八幡平山頂へと向かうこととした。
コースは、以前積雪期に歩いた蒸ノ湯コースを辿ることとしたが、果たして雪がない山道ではどんな景色に出会えるのだろうか。
蒸ノ湯ゲート前の駐車場に車を止め、ザイルやハーネス等の沢装備を車に残し、ヘルメットに沢靴というこの場には不釣り合いな装備を身に付け、7時に駐車場を後にした。
濛濛と立ち上がる蒸気を左手に眺めながら車道を進み、登山道入口と記された見覚えのある標柱脇より入山した。
山道は枯れ沢の様にうっすらと苔むした大小の石で埋め尽くされているが、今日仕方なく履いてきた沢靴との相性が良く、滑りやすい石の上にもよく馴染んでくれ歩きやすい。
笹藪で見通しが悪い山道を暫く登り続け、足下を埋め尽くす石にもそろそろ飽きてきた頃、見覚えのあるアオモリトドマツに出くわした。
積雪期に訪れた際、雪が積もって枝を垂れたアオモリトドマツは天然のテントとなっており、この木の下で強い風を避けながら休憩したことを思い出す。
「あの時は世話になったな…ありがとう」
などと心の中で呟きつつ、少しの間その姿を眺めた。
そして更に笹藪の中に続く山道を進むと、7時55分,フサフサとした緑の草原に覆われた田代沼に差し掛かり、少し開けたこの場所から辺りを見回すが、残念ながら今日の灰色の空には日差しは無く、山頂からの景色も期待はできなそうだ。
少し残念に思いながら、一歩進むごとに沢山のミツバチやクジャクチョウが舞い上がるピンク色のアザミの花に飾られた山道を進み、暫くして分岐点を左に曲がると、間も無くして8時26分、八幡平山頂の展望台へと到着した。
誰もいない展望台の階段を登り、相変わらずの曇り空の下、濃い緑一色に覆われた静かな八幡平山頂からの景色を見渡していると、一人の登山者が到着したので話しを伺ってみると、その方は私が出発した蒸ノ湯ゲート前から同時刻に車で出発し、見返り峠に到着後、そこから入山して今山頂に到着したとの事だが、何故蒸ノ湯ゲート前から歩いた私が自分より早く山頂に到着しているのか腑に落ちないようだ。
展望台からの眺めと共に少しの会話を楽しんだ後は、このまま下山するには早すぎるので、山頂周辺を散策してみることとし、先ずは八幡沼へと向かったが、こちらにも人気は無く、静かな沼の風景が眼下に広がっている。
坂道を下り、その先にある陵雲荘を覗いてみるが、まるで有料のロッジのように小綺麗な室内には、やはり人影はなく静まり返っている。
室内は意外にも明るく、今にも大勢の登山者達の笑い声が聴こえてきそうな雰囲気が漂っている。
いつか私もその中の一員としてまたここに訪れることができるだろうか…その時は是非とも歓迎されたいものだ。
陵雲荘を後にし、先程の下り坂の途中にある木製のベンチに腰掛け、水筒のお茶と自宅で握ってきた鮭のおむすびで休憩にすることとした。
口いっぱいに広がるご飯と塩鮭、海苔の風味、そして眼下に広がる美しい八幡沼の姿に、満足の一時を過ごす。
おむすびを二つ食べ終えた後はベンチから腰を上げ、草花が生い茂る湿原に続く木道を進んだ。
八幡沼を一周し、折角なのでお土産でも購入しようかと思い、レストハウスへと向かったが、残念ながら本日は休業とのことなので、鏡沼を経由して八幡平山頂へと戻り、長沼コースにて下山することとした。
下りはじめは美しい湿原が目を楽しませてくれるが、やがて山道は深い森の中を進み、崖を下り、沢を渡り…そして11時46分、長沼へと到着した。
開けた視界の先には、穏やかな水面に浮かぶ丸いヒツジグサの葉と、やや遠くにタチギボウシの鮮やかな紫色の群生が目を引いている。
傍らには木製の東屋が建っており、その前にはベンチが並んでいる。
秋にはこの穏やかな水面を囲む木々が色鮮やかに紅葉し、さぞかし美しい姿を見せてくれることだろう…などと思いを巡らせつつ一息ついた後は、更に先へと続く山道へと歩みを進めた。
そして大谷地湿原の脇を通り抜け、12時30分、湯けむりが立ちのぼる蒸ノ湯温泉へと到着。
その後、舗装された道を出発地のゲート前駐車場へと進み、無事に今日の山行を終えた。
コメントを編集
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する