|
|
|
折角の休日だが、残念ながら近隣の標高の高い山々は生憎の悪天候が予想される為、以前より興味があった五城目町にある森山に向かうこととした。
標高は、325m。
雨に降られたとしても、問題なく下山出来そうな標高だろうと思われたのだが…。
見通しが悪い県道220号線を車で走り、登山口の案内板がある曲がり角を左へと曲がると、間も無く岡本登山口の駐車場へと到着した。
早速身支度を整え、10時03分、駐車地を後にし、住宅街の裏山へと続く道へと歩みを進めた。
丁度向かいから歩いて来た地元の女性との挨拶を交わし、少しばかり言葉を交わすと、子供の頃はよく登ったものだが、最近は登ることが無いとの事。
「いってらっしゃい」との声に見送られ、Y地路を登山道の案内板が示す左へと進んだ。
左手からは、民家で飼われている犬が盛大に吠えており、それを叱る飼い主の声が聞こえる。
案内板を頼りに垂直に幹を伸ばす杉が立ち並ぶ林の中を進むと、少して目の前には尾根の上へと続く急な斜面が現れ、落ち葉が積もった山道を道なりに登って行く。
登る程に傾斜はキツくなり、前日の雨で濡れ、土の上に降り積もった落ち葉が覆う山道は、非常に滑り安い。
苦楽を共にし、既にくたびれた10年越しの長靴では分が悪く、スパイク長靴か、チェーンアイゼンを持参しなかったのが悔やまれる程だ。
しかし、折角の難所なので、山道脇に張られたロープには一切頼らずに登ることをマイルールとした。
急な尾根上をほぼ一直線に続く山道の傾斜は、時折45°を越えると思われる場所もあり、岩や樹木などの確実なホールドを手掛かりにヌルヌルと滑る山道を四肢を使い登り続ける。
振り向けば、眼下には美しい五城目の街並みが見え、予想外の滑る急登により、やや緊張を強いられた心を和ませてくれた。
暫くすると、何やら楽しげな話し声が聞こえ、声のする方向を見上げると、第2高地が10m程先に見え、少しして巨大な電波塔が建つ第2高地へと到着し、その場にいた地元の方々との歓談の輪に加わった。
聞けば、車道を辿れば比較的簡単にこの場所に到着できるそうだ。
そして、その場でいただいたドライフルーツをかじりつつ、冗談混じりに地元の方々との楽しい時間を過ごした後は、「今日は第1高地(森山山頂)には人が入っていないので、熊がいるかも…」などと笑いながら少し脅されつつ、第2高地を後にした。
山頂へは、一度深いコルへと下り、また向かい側の急な尾根を登るのだが、こちらもまた里山のイメージには似つかわしくない程の急な傾斜の山道が続いている。
相変わらずヌルヌルと滑る斜面を立木や岩を頼りに下り、更にその先の斜面を登りきり、10時50分、櫓にぶら下がる鐘を鳴らし、山頂到着を告げた。
カーンッ!という心地よい音が響き渡る山頂には人影も無く、眼下には車が忙しく走り回る五城目の街並みが広がっており、その先には太平山地が確認できる。
そして右手の八郎湖の先には、男鹿三山がハッキリと見え、振り向けば林の隙間からは雪を纏った岩木山の姿も確認できる。
標高325mとは言え、なかなかのロケーションだ。
森山山頂には噴火口を思わせるような半径数メートル程の窪地があり、その回りは噴火口を取り囲む外輪山のような形状をしている。
険しい尾根を登る道のりの末に、山頂直下の休憩ポイント経て、噴火口を取り囲む外輪山に登り詰める様は、さながら鬼ケ城を経由した岩手山登頂ルートを連想させる。
その小さな外輪山を一周し、折角の景色なので、持参したオムスビを噛りつつ休憩していると、一人の登山者が到着した。
話し掛けてみると、どうやらこの地元に住む方で、ヤマレコでのフォロワーさんだということが分かり、驚いた。
思わぬ出会いに話しも弾み、暫くの立ち話しの後、そろそろ下山しようかと思い、この山頂から北西へと続く地形図に記されていない踏み跡について尋ねてみると、こちらからも下山出来るとのことなので、今日新たにできた登山仲間と共に、こちらから下山することとした。
こちらの山道もヌルヌルとした土の上に落ち葉が積もっており、足場が悪い箇所も少なくないが、手が届く範囲に立木がある為、木々の枝や幹を頼りに下って行き、暫くして県道220号線の脇道へと到着した。
ここからは、また県道をたどり岡本登山口へと戻れるとの事だが、その方はトレーニングの為、これからまた山頂に登り返してから下山するとの事で、名残惜しいがこの場でお別れすることとなった。
わざわざここまで、送ってくれたのだろうか…。
そして山頂での山行範囲のお話しから、またいつかお会いできると思われるので、次回の再会を楽しみに、その場を後にした。
見覚えのあるこの道は、どうやら今朝車で走った道であり、車で通り過ぎれば気が付くこともなかった古くも懐かしいこの街の歴史の趣を感じさせる建物や石碑などを楽しみながら歩き続ける。
そして、12時44分、岡本登山口へと到着し、無事にこの山行を終えることができた。
美味しい空気に包まれつつ、人々の営みが小さく動く街並みを見下せる山頂からの景色。
そして、この山の麓に暮らす方々との触れ合いや、手作り感溢れる案内板や熊避け用の鳴り物、切り株の椅子など。
人の気配が感じられない奥深い山域も魅力的だが、気軽に行ける里山は、地域の人々の営みや人情が随所に感じられ、そこには普段の山行とはまた違った新鮮な情景があり、心和む場があった。
普通の町がとても美しく表現されており、感動する内容でした。
そして偶然の出会いに感謝です。ありがとうございました。
ほんの数時間の山行でしたが、momonga058さんをはじめ、森山の麓に暮らす方々との出会いは、心に残る良い思い出となりました。
里山って良いですね…。
山頂でお話しした通り、私の住む地域には地元の方々が集い、笑い声が響くような山がありませんので、羨ましく思います。
どうかこれからも地域の宝として大切になさって下さい。
それでは、いつかまたお会いできる日まで…ありがとうございました(^_^)v
コメントを編集
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する