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2022年05月08日 06:40未分類全体に公開

鹿角市〜五ノ宮岳・早春

2022,05,06
すれ違う車も無い県道22号線を鹿角市へと車を走らせる。
長いトンネルをくぐり抜け、ラジオの周波数をオートで合わせると、スピーカーからは、雑音混じりに地元ラジオ局の鹿角きりたんぽfmの放送が流れてくる。
鹿角市を訪れる際にはいつも楽しみにしているラジオの放送を聞きながら、長い下り坂を下ると、正面にはどっしりと構えた大きな山が見える。
あれが五ノ宮岳だろうか…。
カーナビに案内されるままに、国道282号線から集落へと入り、高速道路をくぐり抜け、未舗装のやや狭い林道を進むと、五ノ宮岳3合目、萱野二ノ鳥居へと到着した。
誰もいない山道入り口脇には、他ではあまり見かけない背の低い鳥居が立っている。
早速身支度を整え、6時、標高1115メートルにある山頂を目指し、歩みを進めた。
広い山道を進むと、右手の急な尾根上には、案内板の無い踏み跡を見つけたので、地形図を確認し、そちらに進むこととした。
つづら折りに続く作業道と交差しながら暫く杉林の中を進むと、お社の屋根が見え、少しして5合目の薬師神社へと到着した。
見晴らしの良いこの場所からは、朝の清々しい町並みの景色がよく見える。
更に山道を進むと、尾根の右手には植林された杉林、左手には広葉樹の森がハッキリと区分けされ続いている。
6号目の追分三ノ鳥居を過ぎると、やがて右手にはカラマツの林が現れ、木々の隙間からは、未だ雪を纏った周辺の山々の景色が見える。
マダノ木峠を通りすぎ、地形図が示す通りの等高線が密集したキツイ尾根を登り続け、7合目の空ノ岱を過ぎ、新緑に彩られた明るいブナの林を抜けると、間も無く残雪が現れ、長靴の裏で残雪の感触を確かめながら進むと、山道の先には何やらこちらをじっと見つめている者がいる。
カモシカだ。
スマホを取り出し撮影を終えると、待っていたかのように時折こちらを振り向きつつ山道の先へとゆっくりと歩いて行くので、案内されるままについて行くと、カモシカが居たその場所は山道とその周辺が残雪に覆われており、始めて来る者には少し判別が難しい場所となっていたが、既に森の中へと消えたカモシカの足跡を辿ると、難なく山道へと復帰することができた。
わざわざ案内してくれたのだろうか…。
その後、このカモシカとは出会うことはなかった。
青空の下、静かな森の中にはキツツキが奏でるカロロロロ…という音が鳴り響いており、何とも心地好い雰囲気に後押しされる様に急な山道を登って行く。
そして八合目の逆さ杉へと到着するが、正に見た通りの逆さまに生えているかの様なユニークな杉の木が立っており、更にその先の急登を進むと、小さなお社がある二ノ越神社へと到着した。
手を合わせつつ一息いれる。
ここからは岩が目立つ痩せ尾根が続き、一気に左手の視界が開け、眼下には新緑に彩られた美しい山々の姿が見え、遥か遠くには、真っ白な雪を纏った八甲田の山々や、険しい岩木山の姿がハッキリと見える。
美しい景色を左手に、尾根上を登って行き、いよいよ山頂かと思わせる様な斜面を登りきると、今日一番の楽しみにしていた「がっかり峠」へと到着した。
誰が名付けたのか、ユーモア溢れるネーミングに笑いが込み上げる。
「がっかり峠」の看板には「あと10分」と記されているが、山頂らしきピークに到達するには、まだ小さなピークが幾つか確認でき、果たして10分で到達できるのだろか…これもがっかりさせる演出だろうか…などと考えながら、折角登った峠を一気に下り、先ずは想定内のがっかりを体験した後は、ズルズルと滑る急登を登るが、今まで急登を登り続けた体にはなかなか堪える。
息を切らせつつ登り、その先の九合目「ご神池」を通りすぎ、更にもう一度山頂を目指して残雪に覆われた尾根を登ると、視線の先の小高い丘の上には、緑青色をした鳥居とお社が見え、7時54分、誰もいない静かな山頂へと到着した。
お社に手を合わせ、周囲を見渡すが、五ノ宮岳山頂から見える景色は、想像を超える美しい景色が広がっていた。
手作り感溢れるグラグラと揺れる展望台からは、黄緑色に染まった近隣の山々と、小さな家々が並ぶ町並みの風景が眼下に広がり、360°雲一つ無い青く澄みきった空の下には、真っ白な雪を纏った森吉山、八幡平、岩手山、早池峰山、八甲田山、岩木山、白神山地の山々が並んでいる。
きっと今日も沢山の登山者が訪れていることだろう…。
ぽかぽかと暖かい日差しが降り注ぐ静かなこの山頂には風もなく、遠くからウグイスの鳴き声が聞こえている。
未だ雪が残る山頂にて、美しい景色を前に、一人佇む。

標高1115メートル、五ノ宮岳。
同じ秋田県に住みながら、数日前までは全く知らない山だったが、程よい急登が続く山頂に至るまでの行程もさることながら、その山行中の景色。
そして山頂からの眺望は、群を抜く素晴らしさであり、隠れた名山といったところだろうか。
ゴミ一つ落ちていない広い山道は、整備が行き届いているが、急登が続く割には、徒に階段や手摺り、鎖やロープなどの人工物が無く、山道の途中にあるベンチや、山頂の展望台なども、その場で材料を調達したかのような、あまり加工せずに作られた素朴な出来栄えが自然の景観を損ねず、この山行を味わい深いものとするのに一役買っており、この山を大切に思う方々の気持ちが随所に感じられる。
また、「がっかり峠」をはじめ、ユーモアある表記も山行をより愉しいものにさせてくれ、往復4時間程の短い山行だったが、満足度は高く、いずれまた紅葉の時季にでも訪れたいと思う。
山は数あれど、久しぶりにこの心地好い山行を与えてくれた五ノ宮岳とその関係者の方々に感謝!
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