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人気の無い第一駐車場では、無数のセミの声が響き渡っている。
近くの施設でトイレを済ませ、駐車場に戻ると、丁度地元の方が到着したので、雑談を交えながら梵珠山の情報をいただいた。
7時、身支度を終え、先ずは駐車場からマンガンの道へと進んだ。
山道の右手には、小さな沢が流れているが、セミの声にかき消され、水が流れる音は全く聞こえず、ザックに取り付けた熊ベルの音さえも聞こえない程だ。
山道は森の奥へと明瞭に続いており、徐々に高度を上げて行く。
頭上からは朝の日差しが木漏れ日となって降り注いでいおり、今日も暑くなりそうだ。
風もない森の中に額の汗を拭いつつ歩みを進めると、暫くしてセミの声もやわらぎ、睦奥湾展望所へと到着したが、靄のせいか、眺望も今一つと言ったところなので、更に先へと進んだ。
山道はやや斜度を増し、すれ違う登山者との挨拶を交わしつつ進むと、辺りには沢山のクルミの実が落ちており、少しして、7時34分、寺屋敷広場の東屋へと到着した。
右手のトイレ脇を通りすぎると、間も無くして分岐点が現れ、釈迦堂山の道標があったので、先にそちらに向かってみることとした。
小高い丘を登りきると、広場となっており、そこには避難小屋があった。
避難小屋の前で僅かな休憩を終えた後は、分岐点へと戻り、また山頂へと続く山道を進んだ。
そして、7時48分、沢山の赤や黄色の小さな花達が咲く梵珠山山頂の広場へと到着した。
しかし、残念ながらこちらも靄がかかり、ぼんやりとした遠くの景色しか見えない。
山頂の広場には燦々と太陽の光が降り注いでおり、この暑さでは、日陰が殆んど無いこの場所に留まることが難しいので、梵珠七観音に手を合わせ、早速次の通過地点である松倉神社を目指した。
山道を下ると、間も無くして目の前には、数十匹の蝶とトンボが舞い上がり、行く先を先導してくれた。
歓迎ムードが漂う様な光景に、つい嬉しくなる。
山道は、やがてブナの木が並ぶ鬱蒼とした森の中を下り、暫くして、8時8分、松倉神社へと到着した。
駐車場で出会った地元の方の話しでは、お社の脇を通り抜けると、裏に高台があり、そこからの眺望が素晴らしいとの事だったので、早速向かってみると、見上げる程の急勾配の険しい岩場が現れ、岩場を登りきると、小さなお社が3つ並んでいる。
一番奥のお社の脇へと進むと、深い緑に覆われた周辺の山々と、その先には遠くの街並みの風景が見える。
今日初めて見た美しい眺望に感動しつつ、駐車場で偶然出会った方に感謝した。
そして、この景色に満足した後は、山道へと戻り、更に山道を下った。
石像が点在する山道を暫く下り、目の前に現れた鳥居を潜り抜けると、林道へとぶつかった。
林道脇の案内板には、「津軽三十三観音入口」と、今下って来た山道の名称が記されている。
地形図を確認すると、この目の前の林道を北側へと進めば、梵珠大滝があるようだ。
右手にサラサラと流れる沢を眺めながら進むと、辺りにはブユが飛び始め、その数を増していった。
立ち止まれば、すぐにチクチクと皮膚をかじってくる為、歩行速度を上げつつ進むと、やがて辺りは藪に覆われ、足下はぬかるみへと変わった。
そして、「胎内潜り石」の案内板の脇を通り過ぎ、藪の中を更に進むと、8時37分、梵珠大滝が姿を現した。
ザーッ!と涼しげな音を奏でる6メートル程の高さの滝を前に、手を浅瀬に浸して水の感触を確かめる。
ひんやりとした冷たい沢の水が心地好い。
ここで滝を眺めながら一息つきたいところだが、ブユの攻撃が激しさを増してきた為、休憩もそこそこに、復路を辿り、また梵珠山山頂へと向かった。
9時39分、山頂に戻ると、僅かな木陰が出来ており、ここで昼食をとることとした。
頭上には、数匹のオニヤンマが旋回しており、昼食の邪魔が入らないように、見守ってくれている。
なかなか気が利くなぁ…などと思い、目の前の赤や黄色の花達が咲くお花畑を眺めながら、昼食のおにぎりを頬張った。
丁度山頂に到着した登山者と言葉を交わしつつ昼食を終えた後は、山頂を後にした。
途中、1時間で山頂に到着できると言う81歳の女性と言葉を交わし、サワグルミの道を辿った。
辺りには、年代を感じる沢山の木々が並び、小さな花達と共に、様々な色のキノコが山道を飾っている。
こんなにキノコが豊富な山道も珍しいものだ…。
その後、サワグルミ登山口へと到着し、まだ帰りの時間には早いので、誰もいない静かなブナ林の中に続くアカゲラの道に歩みを進めた。
途中、「双子の木」や子供達の楽しげな声が響くキャンプ場を経て、11時23分、満車となった駐車場へと到着し、この山行を終えた。
炎天下の駐車場には、既にセミの鳴き声は無く、代わりに人々の楽しげな話し声が聞こえている。
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