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ヤマレコ日記でたびたび話題にあがっていた
『アルピニスト』
『神々の山嶺』
がようやく広島に上陸してきたので早速縦走してきました。
サロンシネマの上映スケジュールも「おらっ!縦走しろ!」みたいな気合いの入りよう😅(写真左)
『アルピニスト』は超人的な記録を残しながらも無名のクライマーとして駆け抜けたマーク・アンドレ・ルクレールの足跡を追ったドキュメンタリー。
難攻不落の岩壁、氷壁を単独下見無しで軽やかに登ってゆく彼の姿は美しく、まさに芸術。
突如行方知れずになって世界中の山を登っていたり「誰か(カメラマンなど)がいたら単独にならないから」と撮影クルーに秘密で単独初登攀してしまうなど奔放さも魅力。
私は岩も氷もやらない里山ハイカーですがそれでもぐいぐい引き込まれました。
映像美と並んで彼自身、恋人や母親、周囲の登山家たちへのインタビューを通じてルクレールの登山哲学、さらには冒険とその行き着く先についても語られる。
メスナーの「命の危険が無ければ冒険ではなく遊びと同じだ」はおっさん言い過ぎだろと思いましたが😎
やってる事はぶっ飛んでいるのに競技化、先鋭化してゆく現代クライミングとは別のベクトルを向いて山に向き合うように見える彼の生き様からは世界から失われつつあるように見える『冒険』も自分の気の持ちようなのだと気付かされた。
そう、そこに自身にとって挑みがいのある未知のルートを見出し、挑むのだ。
クライミングドキュメンタリーの名作『フリーソロ』と見比べてみるのをお勧め。タイトルの『アルピニスト』がより浮かび上がってくる。
休憩を挟み、『神々の山嶺』。
こちらは夢枕獏原作、谷口ジロー作画の漫画をフランスでアニメ映画化したもの。(谷口ジローはフランスで絶大な人気を誇る)
線の数は少なく彩度も控えめなのに雄大で峻険な山々や装備の緻密さが描かれており、先に実写の山岳美『アルピニスト』に圧倒されたばかりなのに全く見劣りしない。
時代による装備や登山スタイルの変化も楽しい。「ヤマレコの〇〇さんがアップした昔の写真そのまんまだ」みたいな。
人物描写については「フランス人の見たステレオタイプなアジア人」という評も多いようで好みは分かれるかと。
物語はジョージ・マロリーはエヴェレストに登頂したのか?を発端に孤高のクライマー羽生の沈痛ともいえる登山への執念に引き込まれてゆくカメラマン深町の運命の交差が描かれる。
登山界から姿を消した羽生の足取りを追う前半はミステリーの様相を示し、後半のエヴェレスト登攀は幾人もの登山家を拒み続けてきた山が圧倒的な存在感で牙をむく冒険活劇。
登場人物の言葉数は少ないのに思想や臨場感が伝わってくる良演出、脚本でした。90分に綺麗にまとまってます。
やはりこの物語も「なぜ山に登るのか」ひいては冒険に取り憑かれた男たちを描いている。
軽やかに山と対峙するルクレールと羽生の重苦しいほどの一途さは正反対に見えてどこかで繋がっているのだろう。
くすぶっていた冒険心が揺さぶられるいい縦走でした😊
さすがサロンシネマのチョイスだ。
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