遭難者の第一発見者となってもなにも出来なかった情けない顛末です。参考になればと思い書いてみました。
今日は、いつもの奥高尾のメインコースに出かけました。バス停を出発し、そろそろ頂上も間もなくという頃、上の方から、オーイ、オーイというような声が聞こえてきました。遅れた同行者を呼ぶ声でしょう。気にも留めずに登って行きましたが、声は一向に止む気配がありません。不審に思いながら段々と声の方に近づいてゆくと、その声は「助けてくれー、助けてくれー」という必死の叫びだとわかってきました。切羽詰まった調子です。ですが道がつづら折りなので、助けを呼ぶ人の姿は見えません。ここは転落するような場所でもないし、重大事故も考えられないし、転んで足を痛めた程度なら助けを呼ばなくても、通りがかりの人に声を掛ければ済むことなのにと思いながらも足を急がせました。
最後のカーブを曲がって、頂上へ通ずる階段が見える場所へ差し掛かったとき、ビックリしました。１０メートル位先の階段の真ん中に、逆さになって男性が倒れていました。大きなザックを背負ったままうつ伏せになり、必死に声を発しているのです。その姿を目にして、きっと躓いて転倒し足か腕でも骨折して動けないのだと思い、これは大変とすぐ近くまで来てみて、それどころでない悲惨な様子にもう本当に仰天してしまいました。
横に向けた顔が潰れたように血だらけで、地面にもどっぷりと血が流れています。その血だらけな顔から必死に「助けてくれー、助けてくれー」と叫び続けています。この状況を目前にし、当然１１９番しなければと思い遭難者にもその旨伝えましたが、とにかく必死に「助けてくれー」という声を聞いていると、その前に至急この血を何とかしなければいけなのでは、「助けてくれー」と叫んでいる声にすぐ応える方を先にすべきではと頭がまわってしまい、それにしても素人の自分にはどうしてよいか判らないし、だれか山慣れした人が来ないかと上の方を見上げましたが、姿はありません。頭が下だから出血を止めるなら、体勢を逆に、つまり頭を上方に足を下方に変えた方がいいのでしょうが、動かしてかえって出血がひどくなったり、喉に血が入り込んだりしないだろうかなども心配し、また年寄り一人では重いザックを着けた男性の身体を動かすこともできないし、などと思い巡らし呆然と立ち尽くしてしまいました。
でもそれは一瞬の間です。すぐに、自分の後を登山道の手入れをしながら登ってくる人に救助を求めた方がいいのではと気が付きました。途中から前後していた人で、おそらくそうゆう作業をしているからには山慣れしたベテランに違いありません。もうすぐ下の距離まで近づいている筈です。それで急いで駆け下りて探しましたが、出会えたのは思いのほか下の方でした。地面の端に小さい切れ込みを入れているところに近づき、状況を説明したところ、直ちに作業を中止し、坂を駆け上って行きました。その素早さは見事です（後で判明しましたところによれば、８４歳とのことです。ビックリ）。
現場に到着したときには、既に下山者の方が数名そばに居られました。その後は、８４歳の方を中心にみなさんで遭難者の姿勢を変えたり、血を拭き取ったり、１１９番通報をしたりしました。自分は、そばで突っ立って居るだけで何もできません。大勢の登山者が通りかかり、親切に血を拭き取るガーゼを差し出してくれました。数名の若者が居残って救急隊員が到着するまで介抱を手伝ってくれました。遭難者は、しきりと脚と手の感覚がないと訴えますが、意識は明瞭で言語に支障はなく、会話はやや興奮気味ながらも平常です。
通報後１時間余り経ってから救急隊員６名が到着しましたので、後は任せてそばに付き添っていた人達は別れました。ヘリの音が聞こえたのは、その後４０分程してからです。帰りに林道に降りたら大型消防車１台、小型消防車３台、救急車１台、パトカー１台、駐車していました。ものものしいです。
（以下、救急隊を待つ間に遭難者がいろいろ話してくれましたが、個人情報に抵触しないと思われる範囲で簡単に記述します。）
� ゞ疇�中に挙行するツアー登山のための訓練として歩いたが、当初から非常に好調で、最後の頂上で飲んだ缶ビールがとても美味しく、ほろ酔い気分で下山にかかった。
�◆，覆砲�に躓いたとかの記憶は全くない。なんで倒れたかはわからない。
�� ７３歳だが、今日は単独
�ぁ，箸砲�く脚、腕、手がまったく感覚がない。触って貰ってもなにも感じない。痛みはない。
転倒の現場は、上方から続いた階段がいったん途切れて再び下方へ階段が始まったところで、おそらく地面の上に浮き出た最初の枕木につま先を引っかけて躓きそのまま前方へ真っ逆さまに転倒したものと思われます。
老若男女、子供、ベテラン、素人など大勢が歩くハイキングコースでこんな大事故が起きたのを目の当たりにし、ますます自分も心を戒めなければと改めて感じました。
また、進んでいろいろ救助作業をされた方々の親切さには頭が下がりました。
それにしても自分の無能さは情けない。
nibinさん はじめまして
裏高尾といえば大勢の人が歩いているところなので事故など想像したことがありません。
転んで怪我をされた方は大勢の人がいるところでよかったです。
それにしても裏高尾でも救急隊員がやってくるのに1時間ですか・・ けっこうかかりますね。
重篤なケガや病気だったらご不幸になりかねないです。
さてnibinさんのとられた行動は僕もそうなると思います。
交通事故を目撃しましたが、ピクリとも動かずなにか応急処置をしなきゃとか思っても結局は遠巻きに見ているだけで何もできませんでした。（その後その方はなくたったと新聞に載っていました）
たぶんそれと同じだと思います。
救命処置などのトレーニングを受けていなければお話相手くらいしかできないと思います。
衝撃的な記事でしたのでじっくり読ませてもらいました。
怪我をされた方も早く回復するといいですね それにしても山でビールの飲み過ぎはやめた方が良いです。
はじめまして こんにちわ
そのときは丁度登山者が途切れた時間帯だったのでしょう。
最初の声を耳にしてから現場まで１０分近く経っていたと思います。
それまでは前後に登山者の姿を見かけないことはなかったですから。
救急隊員は思ったより遅いように感じましたが、じりじりしながら待っていたので特にそう感じたかも。８４歳の方は、まづ足の速い２名が駆けつけて状況を把握し、その後の救助策を決めるものだが、とおっしゃっていました。でもぞろぞろと６名の若い隊員の姿を見たときは本当にほっとしました。
階段も手入れが悪いとかえって危険物に変身するようです。浮き出た枕木は特に。登山道の補修には費用もかかるのでしょうが、何とかしてほしい。奥高尾あたりは通行量が多いので、放置したまま事故が起きれば、法的に工作物設置者の管理責任を問われるかも。奥高尾は、もう街中の公園と同じですから。
なお、昨年は、今回の現場のすぐ下でヘリが救助活動をしたのに出会いました。前からここは迂闊に飛び降りると転倒するかもと気をつけていた箇所です。奥高尾でも下りは要注意ですね。
怪我された方は、その日は本当に楽しく快調に歩いて来られたようで、あとは下山を残すのみというところで、好きなビールを飲みすっかり気持ちよくなられたというのも充分わかります。いろいろこうゆう事故のことは聞いたり読んだりしていたが、まさか自分がこんなことになるとは、としきりに嘆いておられました。このことを女房に知れたらなんと言われるか、との心配もされていましたが、我が身に置き換えるとこの点も充分理解できます。大事になられなければいいのですが。
nibinさんはじめまして。
この度は大変でしたねご苦労様でした。
とても勉強になるレコだと思います。外野からの意見で申し訳ありませんが１１９番通報は発見時にされるのが良いと思います。昨今、簡単に救急車を呼ぶ事案が問題視されてますが緊急性がある場合は躊躇せず通報するのがベストだと思います。
救助となると敷居が高く思われますが、各市町村、消防署で行われている救命講習に参加されると良いと思います。無料で定期的に開催されているので受けて損は無いと思います。
それと山に入る人は保険に入る事を強くお勧めします。今回の場合警察、消防で済んだようなので請求があるか分かりませんが・・・そういう問題でもないか。
うん百万請求されるケースもあります。保険加入は登山者のマナーだと私は思っています。
最後に山行中の飲酒は絶対ＮＧです。低山だから、私は強いから、ちょっとだからは駄目です。飲酒運転とまったくかわりません。疲労状態でのアルコール摂取は思いのほか判断を鈍らせます。山での缶ビールは里での焼酎一気飲みと思ってください。
私は酒が大好きですが山行中は絶対飲みません。
ながながと偉そうな事を言って申し訳ありませんが、山を愛する皆様への切なる思いです。
はじめまして こんにちわ
大量の血、それも顔面血だらけ、しきりに助けを求める声をその場で聞いているととにかく応急措置を早く講じなければ、という方が先に立ってしまいました。
下山者の方が通報しようとしたのですが、電波状態が悪く、結局山小屋の主人を呼んできて何とか１１９番できました。でも、現場は東京都と山梨県の境界付近のためか、どうも山梨県側に通じてしまって埒が明かず、東京都へ連絡するのになかなか苦労されていました。奥高尾でも電波が通じない場所があるとか、山梨県に届くとか、意外でした。
飲酒は、まあ人それぞれですが、飲酒後はしっかり自覚をもつべきでしょうね。奥高尾では、一杯やるのを楽しみに周回している人も多いようです。
私は、以前、丹沢の鍋割山で鍋焼きウドンを食べながらワインを飲んだら、すっかり酔いが周り、金冷やしまでふらふらよろよろしながら歩いたことがあります。その時は、家内が同行していたので、待ってくれ、もう駄目だ、などと甘えながらすっかり遅れてしまいました。今となっては、楽しい思い出です。
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