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2025年06月09日 22:22老人と山全体に公開

梅雨に入る前に

もうそろそろ梅雨にはいる。きちんとした山へ行ける最後のチャンスかもしれない。梅雨の間は好天が期待できないし、その後は猛暑が始まる。猛暑の中の日帰り低山は決死の覚悟が要る。熱中症で倒れる寸前までいったことがあるので、その怖さはまだ強烈に残っている。それで先週土曜日に丹沢へ出掛けた。

前回の日記に書いたとおり、先月25日日影林道でへばってしまい、もう山歩きはお仕舞いかと落ち込んでいたのだが、1週間後に気を取り直しそれならもう一度体力を試してみようとお馴染みの飯能アルプスを前坂から天覚山まで歩いてみたら、あのアップダウンをわりと調子よく歩けた。汗を搔きに搔きまくったが、城山の時のような状態にはならなかった。

これならまだ大丈夫と自信を持てたので、一昨日、かねて気に掛けていた丹沢の戸川林道から表尾根に上る烏尾尾根コースを登ってみた。一般の登山者には何気ないコースなのだが、老いた今の自分にはちょっとハードルが高い、でもその西側の政次郎尾根と仲尾根の2本は最近登っているので、3本セットのうち残りの1本という感じで登った。実際そんな感じだった。

ただ道は荒廃していた。なんとか最低限の手入れはされていたが、崩壊が進んでいた。そのうち崩れて廃道になるのではないか。そんな印象を受けた。

CTが1:40(山と高原)、1:50(守屋詳細)のところ、休憩を入れて3時間10分掛った。まあ大体予想した通りだった。とにかく無理をしない、ペースを上げない、急登では後ろにひっくり返らないようにバランスを保って、それ樹につかまって、それ足元を十分確かめて、ほらここは地面にも手をついて、など老人特有の鈍い動作を飽きもせず繰り返すので時間ばかり掛かってしまった。安全のためには仕方がない。最初の急な森林帯を登る途中2組に追い越されたが、やはり若い人は速い、あっという間に姿が見えなくなった。

頂上には午後1時20分に着いた。誰も居なかった。快晴で汗ばんだ身体にやや冷たい微風が吹き寄せ、とても心地よい。周囲は全部見渡せるが、霞んでしまっていまひとつパッとしない。塔の岳の尊仏山荘もなんとかぼんやり見える程度、自分の眼が悪いのかもしれない。スーパーで買ったお気に入りのおはぎをゆっくり食べた。それとバナナ、今日はいろいろ持参して途中の栄養補給を怠らなかったので、いつもは真っ先に消費するバナナがまだ残っていた。

大倉では朝食用のサンドイッチと缶コーヒー、新芽山荘前では大福と牛乳、観音像前ではカステラとアリナミンジェル、常に水分補給を怠らず、さらに家を出る前にはバナナにヨーグルトとはちみつをたっぷり掛けて腹に入れているので栄養補給は万全だったと思う。最後の急登も疲れなかった。

食後ぼんやりしていると下山する登山者が三々五々通り過ぎて三の塔へ向かって行く。自分はどうしよう、家を出る時から迷っていたのだが、ヤビツへ向かうにはいつもバテバテになる三の塔への登り返しがあるし、最後の車道歩きも鬱陶しい。隣の仲尾根は下山口が目の前にあるし、途中の草原が美しいので魅力的だが、最近一度登っているのに何故かルート状況がぼんやりして下山に使う自信がない、年内にもう一度登って確認した上で同時に下山に使うことにしよう、そんなわけで結局同じ道を引き返すことにした。これが一番の安全策だと考えた。

歩いたばかりの道を下るのでなんかひどく楽だった。身体もそうだが、精神的にすっかり余裕がある。最初の急な下りも難なくこなし、観音像ではまたお賽銭を挙げて無事を祈った。下方の森林帯に入る地点の道標まで、頂上から1時間30分で着いた。登るときはここから頂上まで2時間10分掛けていたことを思えば下りは早い。気分がよかった。

ところが森林帯の中へ入ってからの激下りの道には苦労した。道が明瞭でなくテープ頼り、それに荒廃しているので足元が危ない。登りより下りが危ない。片足を降ろしかけては引っ込めたり、後ろ向きなってそろそろ足を降ろしたり、次のテープを探したり、結局登りと同じ時間が掛かってしまった。ここは目印のテープがないと下るのが難しい。

新芽山荘前に降り立ち、やれやれ無事だった、まあそれだけで結構、万事OK、あとは大倉まで林道を軽く歩くだけ、急ぐ必要はない、草原にシートを敷いて足を伸ばしゆっくり休憩した。

あんなに心配したヒルの姿は全く見なかった。大倉を出発するときは登山靴やズボン裾それに靴下にたっぷりヒルファイターを噴射し、塩も持参して対策充分だったのだが、それが無駄になった。まあ今日は晴天で乾いているし尾根は南斜面だから大丈夫だろうとは思っていたのだが、一般に流布しているヒルの話は大袈裟かも。

帰りの車が通り過ぎる。自分は歩く。歩く、歩く、歩く、何度も訪れているうちにこの長い長い戸沢林道が好きになってしまった。なにやらぼんやり哲学的なことを考えたり、子供の頃の山遊びを思い出したり、森林を眺めて深呼吸をしてみたり、竜神の泉でタオルを濡らし顔や体を拭いてさっぱりしたり、いつの間にか大倉へ戻った。

未知のルートをまたひとつ歩き、小さな冒険ができた。老人にとって本当に有意義な一日だった。しみじみそう思った。



(写真1)さあ、出発です。あたりにはさわやかな気分が溢れ、朽ちかけた老心も若々しく奮い立ちます。

(写真2)観音像、上りにも下りにもお賽銭を上げて無事を祈りました。最近は神頼みが多くなった。

(写真3)戸川林道途中の白ヤシオ、花に関心のない自分も写真を撮っています。心に余裕がある証拠かも
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