先月末頃から長引いていた嫌らしい風邪だった。
当初、熱も37.5度までしか上がらなかったので、自力で治そうと2日ほどベッドに横になっていたが、そのうち激しい咳・痰に襲われ、苦しくて夜も眠れないので、今月6日近くのクリニックを受診した。
胸のレントゲンを撮られ、その後すぐ呼び込まれて、パソコン画面を眺めながら、きれいですよ、と告げられ、夏ブレザーの上から聴診器を当てられ、大丈夫と言われた。老人はまず肺炎をチェックされるらしい。懐中電灯で喉を調べ、薬を処方されそれで診察終了。会話が殆ど無く、2.3分で済んだ。実に手際がいい、昔の医者は患者のくどくどしい訴えを聞いてくれたが、現代では、機器の診断だけで終わってしまう。
いつも不思議に思っているのが聴診器、以前通っていた病院では定期通院の時でも下着をまくり上げて裸の胸と背中に聴診器を当てていたのだが、今は、ポンポンとあちこちに一瞬当てるだけ、素人ながらそれで大丈夫? 先生もうちょっと丁寧にといつも思ってしまう。
薬の効果があって咳、痰は止まったが、その代わり扁桃腺が痛くなり、ギラギラする。熱も夜になると37度にあがるので、5日後の朝もう一度クリニックを受診した。喉を見てたいしたことないと言われ、処方された薬を服用したら翌日の夜には痛みも大分弱まった。
それで、あとは山で治そう、と13日に高尾山へでかけた。天候と体調のため3週間も山へ行ってないので気持ちが鬱々状態だった。山へ行って気が晴れれば風邪も消えるかと期待した。
高尾山の稲荷山コースを登った。蒸し蒸し、蒸し蒸し、・・・狂ったように汗が流れ、タオルが間に合わない、参った。でも、これで毒素が一掃されればいいのだが、などと都合のよいように解釈しながら登った。
下山時は小雨となったので、無理しないでリフトに乗って降りた。
これがよかったか、悪かったか、わからない。扁桃腺特有のギラッとする痛みは消えた。そのかわり、今度は喉全体が痛くなり始めた。ごくんとすると喉の筋肉がうっと痛い。これが結構痛い。ごくんとしなくても痛い。熱も夜になると37度まで上がる。
一昨日何気なく山用の小さな懐中電灯で喉を照らしてみてびっくりした。喉にびっしり白いぶつぶつが出来ていた。家人にも見せたら、「ああ、これね、耳鼻科で焼いて貰えば一発で治るよ、」と無責任な事を言う。
医者でもないのに何でそんなことが言えるのか、いつもわけのわからないことばかり言って、と無視したいところだが、昨日、こっそりと定期に通う病院の耳鼻科に行ってきた。やさしい女性の老医者が丁寧に診察してくれて、ただ少し赤くなっているところがあるだけで異常ありません、白いつぶつぶは何かの見間違いでしょうという。老人なので、他に異常はないか念のため鼻からチューブを入れ喉の奥まで丁寧に調べてくれた。腫瘍とか異常は全く見当たらないという診断だった。結局、うがい薬を処方されただけだが、めったに罹らない耳鼻科でくわしく診察してもらって嬉しかった。
長々、つまらない夏風邪のいきさつを書いてしまった。
すぐ本題に入ればいいのにと自分でも思うが、そうできないのが老人特有の話し方か。
自分自身かっては人の話しを聞き取るのことが重要な部分を占める仕事に長年従事してきたのだが、年寄りの話は、いつも周りから始まって延々と本題に入らなかった、要点は何、そこを早く、そんな関係のないことをくどくど話して時間を無駄に潰さないで欲しい、と心の中では思っていた。でも、そんな無駄話のように見える話しの中から仕事上重要なヒントをみつけることもあったので、年寄りだから仕方ないかとあきらめて聞き続けていた。
あの頃のそんな老人に自分もなってしまった。3行で言えるところをくだくだと余計なことを付け加える。
それでまた脱線してしまうが、家の近くにも耳鼻科クリニックがある。数年前受診したことがあった。そのとき若い女性医師から文字通りにべもない対応を受けた。この年寄りなにしに来たの、なにも異常ないのにおかしいんでないの、という感じ。もう2度とここへは来ないと思った。それで今回は離れた病院の耳鼻科を受診したのだが、70才くらいの女性医師でよかった。やさしかった。老人はさみしく黄昏れているので、やさしくされるととても嬉しい。
レストランでも同じこと、・・・止めておこう。切りがない。
7,8年前に風邪を引いたとき、長年使ってきた古い体温計がおかしかったので、家人に頼んで新しい体温計を買ってきてもらった。
「これが一番いいらしいよ。」
と目の前に示されたのが、テルモ体温計(写真左)
若い女性の指のようにほっそりした形でとてもスマート。いそいそと脇の下に挟んだ。
「ほら、ほら、鳴ってるよ。」
「ほら、ほら、と言われたって何も聞こえないよ。」
「エー、これが聞こえないの。ピー、ピー鳴ってるじゃない。」
「全く聞こえないよ。」
と言いながら脇の下から取り出します。この間10秒くらい
「あれ、見えない、数字が見えないよ。」
表示された数字を読み取れません。小さすぎる。
「これでは駄目だ、別なのを買ってきて。」
次に買ってきたのは、オムロン体温計(写真中央)
形を見て、ウームと唸った。脇の下に挟む部分は細身だが、度数を示す表示部分は大きな円形で数字も大きく見やすい。老人向きだ。だが、なんか浣腸を連想してしまう。イチジク浣腸もこんな形だ。その浣腸を脇の下に挟む。
「ほら、ほら、鳴ってるよ。」
「ほら、ほら、と言われたって何も聞こえないよ。」
「エー、これが聞こえないの。ピー、ピー鳴ってるじゃない。」
「全く聞こえないよ。」
テルモと同じだ。このピーピー音は老人の耳には聞こえない。なんかこれもちょっと気に入らない。
「以前のように脇の下でぶるぶる震えるのを買ってきてよ。」
「今は、そうゆうのは売ってないらしいよ。」
ブツブツ言いながらもまた出掛けてくれた。当時はやさしかった。
いろいろ店を廻っているらしくなかなか帰ってこない。
「はい、これ、」
ようやく買ってきたのは、シチズン体温計(写真右)
脇の下に挟む先端部分が少し尖っているだけで、それ以外は幅広のデザイン性が全くない無骨なもの
脇の下に挟んでしばらく待つ。ひょっとして古くて壊れているのではと不安になったころようやくブルブルと震えてくれた。これならはっきり皮膚に伝わるので安心だ。昔の医者と現代の医者の違いが体温計に現れているようだ。やはり昔風がいい。
その後自分は、このシチズン体温計を使用してきた。
そこで、今朝この3本の体温計を机に並べ、次々と測ってみた。予想したとおりの結果が出た。ちなみに自分の平熱は、36.1度
テルモ 36.6度
オムロン 36.3度
シチズン 36.00度
それぞれ微妙な差がある。これは有意義な差なのだろうか、無視してもよい差なのだろうか。
この数行を書くためになんか無駄なことを延々と書いた気がするが、老人の話しとはこうゆうもの。
なにはともあれ風邪はようやく治った。安心して山へ行ける。明日は小雨決行だ。
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