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地図を広げると陣馬山の南側に「イタドリ沢の頭」という高所があって、ルートが四方から通じています。以前から気が付いていたのですが、なんとなく、誰も訪れない暗くて寂しいところではないか、蜘蛛の巣が顔に纏わりつくのではないか、細い道が危ないようになっているのではないか、などマイナスイメージばかりが先行して、藤野駅から陣馬山へはよく出かけたのですが、ここは素通りしていました。
でも今では、陣馬・高尾山域で脚を踏み入れないまま残った実線ルートはここしかなくなったので、天気の良い日曜日に思い切って出かけました。とりあえず藤野駅からイタドリ沢の頭を経て矢の音まで歩き、そこで嫌になったら相模湖駅へ下る、気分がよかったら明王峠を経て景信山へ向かう、という予定です。
前もってネットで下調べをすることもしませんでした。山奥でもないので、かえってわからない方が歩く楽しみが増えるかもと考えました。ほんの些細なアヴァンチュール、年寄りにはそんな刺激にも非常にわくわくします。
それで登山口に着いて心配は杞憂だったとわかりほっとしました。立派な標識に広い登山道、森は明るく雰囲気がとてもよく、今回はだれも見ていないので安心してバナナを取り出し、栄養補給をしました。と、陰からいきなり人が出現、鉄砲で完全武装した猟師さんが2人、ドキッとしましたが、挨拶を交わしてから聞かれたのに答え、これから登る旨を伝えました。相模湖周辺では熊が出没して大騒ぎになったことがあるので退治に向かうのでしょうか。
登っている途中で、ドーン、ドーンという音が何度も響いてきました。熊か猪か、今日は、一番響く鈴を持参したので、それを精一杯鳴らしながら歩きました。熊も鉄砲も怖いです。
だけどこの尾根道は最高です。とても気持ちの良い山です。冬の暖かい日差しがいっぱいに溢れ、落ち葉が敷かれた足元が身体を癒します。秋と冬の境目の美しい樹木、イメージとは全く異なっていました。ゆっくりゆっくり歩きました。
イタドリ沢の頭も矢の音も雰囲気の良いピークで、木立の姿が素敵でした。私が一番うっとりするのは、品よくすっと伸びた樹木が高いところに枝を張り出し、葉っぱをわずかに付けている姿です。樹木の名前を知らなくともいいのです。体で感じればそれで充分です。2つのピークにはそれがありました。
気分良くなって、相模湖駅へは下らず、明王峠へ登り、そこで一休みして陣馬・高尾縦走路を景信山へ向かいましたが、あれ、こんな道だったかと徐々に意気消沈してきて、ホームの景信山に着いた時はぐったりでした。相模湖駅へ下っておけばよかったとちょっと後悔です。
高齢になってからはいつも同じようなルートを歩くようになりましたが、それだけではますます老けてゆくような気がするので、時には新しいルートに挑戦してみることも必要かと思っています。体力的にというより、どうしても精神的に新しいことに挑戦する意欲がなくなってくるようです。気力が湧いてこないのです。
でもそれに沈んでしまってはいけない、用心しながらもちょっとした冒険を心掛けなければ・・・・・
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