先週の週末、もうすぐお昼という時刻に京王線高尾駅のホームに着いた。下車した乗客も階段を降りホームに誰も居なくなったので、ベンチに座り、これからの歩きに備えようとバナナを1本取り出して食べ始めた。すかさずスピーカーから、
「ただいまコロナ警戒中のためホームでの飲食などはしないようご協力をお願いします。」
というアナウンスが聞こえてきた。
確かに自分は軽はずみなことをしてしまった、高齢者によくある振舞いだ。そそくさと半分ほど食べてから立ち上がった。
(若い頃、夜の上野駅で長距離列車の始発が到着するのを待ちながら、ホームに直に座って兄とおにぎりを食べたのを思い出したりしていた。)
でも、あのアナウンスは、監視カメラに映ったので行われたのだろうか、それとも定時に流されるお知らせなのだろうか、今でも思案している。
その日は、高尾駅・四辻間の尾根と拓殖大学横の尾根を歩く予定だった。高尾駅から金毘羅神社を経由して南高尾コースの四辻先まで進み、途中から拓大横尾根へ入ってぐるりと高尾駅へ引き返してこようというものだった。まだ歩いたことがないという理由だけで選んだコースなので、もともと気合は入っていなかった。
結果は、両尾根ともあまりおもしろくなかった。樹木が暗くて道に風情がないし、見晴らしもほとんどなく、やたらアップダウンが多い、拓大尾根は延々と有刺鉄線が張りめぐされた横をひたすら歩くだけ、それにしてもなんでこんなに棘をつける必要があるのだろう、よろめいたら身体に刺さって危ないのではないか、やれやれと思いながら歩いた。
高尾駅から四辻まではほとんど人に会わなかったが、四辻を過ぎてからはおおぜいの下山者とすれ違った。リーダーに率いられた多人数の高齢者グルーともすれ違った。息を弾ませ賑やかなことこの上ないので自分は下を向いてなるべく息をしないで通過した。みなさん密集した行列でおしゃべりしながら大丈夫だろうか、同じ高齢者としてひとごとながら心配してしまう。春にはあまり気にしなかったが、最近は我ながら結構コロナに気を使っている。
暗くなりかけた夕暮れ時に住宅街の横に下山し、なんか意気消沈して高尾駅に戻った。京王線には乗らずJR中央線で帰った。
低山でもいいから山の頂上に登らないと物足りない。楽しい思いはしなかったが、アップダウンを考慮すれば景信山へ登ったくらいの標高差は歩いただろうと自らを慰めた。
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