長い長いと感じた下山を終え、広い平坦な林道へ出て懸命に急いだ。次のバス時刻まで残り時間が少ない、焦った。残り8分くらい、それなのにまだ森の中の林道を歩いている、この腹立だしい林道め、いつになったら終わるのか、この林道を出たら集落があるだろうし、そこを過ぎてから国道へ出てバス停を探さなければならない、もう絶望的だ、でも最善を尽くそう、逃せば次のバスは40分後、まあ、それでもよいが今日はなんか早く帰りたい。
おっと、石ころだらけの林道の大きめな石に右足の靴が乗った、よくあることだ、ちょっと靴が不安定になってよろっとしかけたが気にも止めずに左足を出した(と記憶している)、これがいけなかった、右足がよろっとした拍子に散らばった大きい枝の下に引っかかった、あっ・・いけない、引き抜かなければ、そんな不自然な態勢のため左足が正常な位置に着地できずがくがくと膝が崩れ落ちそう、慌てて右足を抜き前に踏み出したが、態勢が前のめりになり、バランスは失われた、倒れるか、・・・必死に踏みとどまろうとしたがそれができない、疲れ切った老人の足では支え切れずとっとっとっと2・3歩踏み出して倒れた。不思議なことにその間の自分の動きがスローモーションではっきり見えた。もう駄目、踏み止めない、こうなったらできるだけダメージを小さくしなければと咄嗟に思い、真正面からバタっと倒れないようなんとかほんの少し横向きに姿勢を変えた。顔をすり傷だらけにするよりいいだろう。
右ざまに倒れた。覚悟は出来ていたので防御本能が働いて頭だけは護ろうと右腕で突っ張った。最後は地面におでこも当たったが帽子のおかげか軽く済んだ。立ち上がって異常を調べたが、左足が痛い以外はとくに怪我はしていないようだ、再び急いだ、もう諦めようかと思ったが痛む左足を励まして急いだ。
と、おや、少し先に何やら家が、しめた国道も近くなったかと思ったらもう目の前に国道がいきなり現れた。あららら、森が終わったらそこが国道だ、意外だ、まだ3分残っている。バス停は左右どっちだ、地図を取り出して調べてるひまはない、見当を付け足を引きずって左に走った。不整脈には少し我慢してもらおう。バス停が見えた。かなり遠くまで伸びている国道にはバスの姿はまだ現れていない。どちらが先に着くか、バスの姿が見えませんように、必死に祈った。間に合った。勝った、自分の努力が報われた。やはり頑張りは大切だ、いつも天が味方してくれる、そう実感した。ただ・・・天は味方しすぎて4分も遅れてバスが現れた。
昨日は、宮ケ瀬湖の登山口から「仏果山」へ登り、その後尾根を辿って「経ケ岳」まで歩き、半僧坊へ下山した。仏果山は、ずっと以前に一度登っているので、気安く考えていたが、はじめて歩いた仏果山から経ケ岳の間、特に仏果山の長い鎖場や細尾根など、それとアップダウンの多さなど老人を苦しめる難所が続き、経ケ岳直前の横木の階段では足が完全に止まった。バテた。自分のような高齢者には無理なコースだった。
「ああ、今日も転んだ、見て見て!」
無事帰宅後すぐにズボンを捲って左膝をさらしてみて自分でビックリ仰天、ただ痛いだけと思っていたら、血が脚とズボン下にべたべた付着し膝下からじくじく出血している、それにふくらはぎの横が大きく不気味に黒ずんでいる。こんな怪我をしているとは思わなかった。脚を持ち上げて入浴した。
「どうしよう、まだ血が出てくるよ。」
そう嘆いたときには、
「どれどれ、貼ってあげるわよ。」
すでに手に持った大きめの滅菌ガーゼをテープで張り付けてくれた。
だけど黒ずんだ部分がパンパンに張れている、内出血だが異様に脹れたのが不気味だ、
「明日医者へいこうかな、外科だろうね。」
「なに言ってんの、こんな程度で医者へ行ったら笑われるわよ。」
ああ、なんと薄情な、他人事だと思って、でも本当にそんな程度ならいいのだが
今日になって痛みが強くなった、腫れもひどい、おろしたての春用替ズボンに血がにじんでしまった。ああ、もったいない。やはり医者へ行こうか
「パンパンに脹れるのは5日後よ。」
恐ろしいことを言う。
昨日は熟睡中に目覚ましで起こされた時から身体も気分もいまひとつ乗らなかった。しかし、新しいコースに挑戦しなければと考えて入念に計画を立てたし、天気にも恵まれているし、中止するほどでもないので出掛けたのだった。いつもは思わないのに昨日に限ってはやく家に帰りたいと思ったのは、やはりどこか調子が良くなかったのだろうか
でもあれこれあるけど、客観的に考えればもう自分も歳なんだということ、ただそれだけのこと、それで落ち込む必要は全くないが
写真1 経ケ岳近くから見える仏果山 747mだが高く聳えている。
写真2 東丹沢のヒルの巣窟だが全くお目にかからなかった。念のため塩を持参した。転倒地点は地面がじとじと濡れていたが大丈夫だった。2ケ月後だったら恐ろしい事態に
写真3 左膝下の今朝の状況 午後から痛みがひどくなり階段の上り下り、歩くのにさえ難儀するようになった。最初は左膝を強打したのだ。
私も経験があります。気分が乗らない時に無理して行くと、良くない事が起きる可能性が高いですね。
ところで念のために病院に行かれた方がよろしいかと(・・;)
こんばんわ
コメントありがとうございます。
夜間トイレから戻って深い深い眠りの最中に、枕の下からゴロゴロ、ゴロゴロとしっこく鳴るスマホの目覚ましに「こんちくしょう」と腹を立てながら起床したので、身体も心も晴れ晴れな気持ちで家を出たわけではなかったです。
これまでなら目覚ましにたたき起こされても、いざ登山靴を履きザックを背負ってマンションを出れば颯爽とした気分に浮き立ったものですが、やはりもう歳ですね。
傷の具合は、これ以上悪化する気配がないので、しばらく様子をみようかと思っています。今は疲れ果て医者へ行くのも億劫な気分です。お心遣いありがとうございます。
すごく腫れてますね。この腫れ具合だと病院行っても心配してくれると思いますが。
擦り傷もばい菌が入ると大変ですし
黙っていますが、私も何回も転んでます(直近では13日金剛山で・・・)
漫画のように顔から転ぶことも何度も。目の周りやおでこに内出血で恥ずかしい思いしてます。
お大事になさってください。
こんばんわ
いまでもすごく腫れているんですよ、細いズボンがつかえて足が通りにくいです。
幸い傷口は塞がりつつあるようなので、まあ、あとは自力回復に期待し、病院はしばらく様子をみてから考えようと思っています。ここはひとつ超々楽天妻の手当てに夫も従っておきましょう。
わたくしが転ぶのは老齢のせい、足が萎え萎えになって踏みとどまれないのです。
aoitoriさんが転ぶのは、若くて元気がありすぎてパワーがさく裂するからでしょうか、
でも怪我にだけは十分ご注意ください。
お心遣い感謝します。
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