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今回は、前回の下山地点Aではなく、B地点(尾根の突端部)から突入してみた。危なかった、A地点の上の尾根部までほんの10メートルくらいしかないのだが、とにかく狭くて危ない、足と手と膝を使って必死に通過した。こんなところから進入するなんて愚の骨頂、自分がいかに阿呆であるかがよくわかった。素直にA地点から上がればよかった。
それでもなんとかA地点の上の尾根部に着いのだが、意外にもここから上の状況が前回の印象と非常に異なった。かなりの急坂だ、前回はここまでスムーズに降りてきたのに、反対に登ろうとすると、うわー、こんなに急坂だったっけ、それにこんなにざれざれしてたっけ、踏ん張れないし手に掴むものもない。次の動作に移るのに膝を突いて必死に身体を支える始末
老人は悲しい、バランスがとれない、脚で立てない、恐怖の余りただ這いつくばるのみ、ザックの重みで後ろへひっくり返ったらおしまいだ、恐怖で立ち上がれない、もう必死!・・・
こんな筈ではなかった、悪態をつきながらわずかな距離を這うようにしてなんとか平坦な地点にたどり着くことができた。そこでようやく直立できた。ここから左方向を眺めるとやや下方に歩きやすそうな明るい小さな尾根が平らに伸びているのが見える、だが先端が途切れている、その先は落ち込んでいるのかもしれない、あの先端まで行ってみようか、周辺の地形がよく観察できそうだ、林道終点の近くかもしれない、戻ってくるのも難しくないようだし、時間も十分ある。かなり心が動いた。
ただその尾根まで降りるのに急坂を少し下らなければならない、その降り口を探した、踏み跡がある気配はするがどうも見付けられない、仕方ない、適当に数歩おりかけた、でも待てよ、なんか変な予感が、あそこへ行ったらよくないことが起こる気がする、変な獣に襲われるとか、突然めまいを起こしてふらふらになるとか、妙な状況に引きずり込まれるよ、怖いイメージが身体を覆い始めた。とにかくお前はもう結構な老人だ、止めといたほうがいいよ、調子にのるとひどい目に遭うからね、そんな声が囁く、結局冒険は止めた。あと10歳若かったら気にも留めなかっただろうに、まあ、仕方ない、もう歳だし臆病でいて無事なほうがいい。
今日の目的は、前回下った道をきちんと登ってそれで完結ということだったので、気持ちを改めて登り始めたら、おや、と思うほどすぐに巨大岩が現れた。この尾根道には道の中央に巨大岩が博打岩を含めて3つ鎮座して通せんぼしているのだが、もう現れたとはちと早すぎるな、と思って横を回り込んで登ったらまたすぐに巨大岩、あれあれと思う間もなく眼前に博打岩、もうスルギに着いたのだった。こんなに近かったとは、まったく意外だった。登りはふうふう息をついて苦労すると思っていたのに。いや、最初は苦労したけど、でもあれは進入口がまずかったし、それに続く急坂でも道筋を取り違えてたかもしれないし、それにしても予想していたよりあっさり登り切ってしまった。
博打岩の近くで昼食をゆっくり食べ、今日のもうひとつの目的に向かうことにした。それは、博打岩の手前右にある山道を下ったらどこに至るかを調べること
山行記録を読むと、この道へ入ってはいけないと言う人もいるし、この道を当然のように下って林道に出たと言う人もいる、ただ尾根道にしろ山道にしろ、スルギから滝不動間の中間の様子をわかるように説明している人はいない。だから自分の足で実際に歩いてどうゆうコースなのか状況を調べてみようというわけだが、わからなくなったら引き返せばいいだけの話
結論から言えば、あっけなかった。調べるとかいう段階の話でない。そのまま歩いて行ったら滝不動にすぐ近い林道に自然と下りてきた。
山道を進めば間もなく幅広い作業道に入り、以後現れる分岐ではいずれも左の下り道を選べばいいだけのこと、林道は左側下にあるということを常に頭に入れておけば、まさか分岐で右の登り道を選ぶ人はいないだろう。
途中あれこれ写真を撮ったり地形を観察したりしてぐずぐずしてもスルギから滝不動まで30分で済んだ。危険な個所はなく安全な道で、しっかり歩けば20分で済むだろう。スルギから子の権現を経由するよりよほど短縮できる。これはいい発見だった。
というわけで今日の目的は2つとも達成できた。下山後時間が余ったのでまたしても登りの進入口を探してあちこち探検ごっこをしてみたが収穫はなかった。これでひとまずこのコースは終了ということにした。いずれエスケープルートとして下りで利用することになると思う。
ここまで書いてきて気になった点をひとつ。このルートは本来歩いてはいけないのかもしれないということ、林道の入り口にはロープが張られているし、林道では材木が道の中央に積み上げられ重機が待機中、一方では登山地図にルートとして載っている、まあ、平日の歩行は遠慮して休日に一人でこそっと歩くということなら許されると思う。それにしても3回とも大分うろうろしたが誰にも会わなかった、面白味など全くないルートだからそんな心配も杞憂かもしれない。
というわけで、人には全く関心のない話題を長々と3回にわたって書いてしまった。老人はくどいです。
(写真1)この先端部から侵入したが、愚の骨頂ともいうべき行動だった。おそらく尾根への正規の入り口はないのだろう。
(写真2)スルギを背にして博打岩を眺める。尾根道は岩の上を越えて(左横を巻くこともできる)どんどん下るだけだが、最後に林道へ降りるときが少々やっかい。山道は岩の手前右に入り口がある。楽々下山できる。
(写真3)山道から作業道に入って最初の分岐、左下へ下ってそのまま進む。
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