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駐車地には案の定、一台もいない。よく踏まれた古い道形は以前より歩きやすくなった気もする。石を階段状に置き、石垣を組み、向かう先は一体どこだったのだろうか。道は途中で消えてしまうが、峠の先にはしっかりした石組みが並んだ平坦地がある。あるいはそこが、隠し畑か。この時期、花は他にはないと分かっていても左右を確かめつつ歩いてしまう。何かがありそうな気配がこの山の奥深さなのだ。
二年ぶりの群落は時期的に終盤か、疲れた花が目に付く。けれど、花色は変わらず多彩だ。黄色にオレンジがかった花は数が少なくなっているのが気掛かりだ。この尾根はいつ来ても風がある。カメラを構え、ピントを合わせても風待ちの時間が数倍かかってしまう。近くには山鳥がいるようだ。少し近づくと威嚇の羽音を立てる。結局、1時間半近くを費やし、じれた気持ちで一息つく。先の谷筋では落石の音が響いてはまた落ちていく。だいぶ大きな石が落ちたようだ。再び静まった森には、高く尾を引く鳴き声が繰り返し響きわたる。トラツグミだな。すぐ近くにいるのに姿は見えない。時折、風で梢がゆれるだけ、静かだ。朝は青空だったのが陽も薄らいでしまった。ゆるゆると来た道を下りた。
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