羅臼岳登山後、原生花園や網走等を見学して、大雪山に登るため層雲峡行きバスに乗り換えようと石北本線上川駅に下りると、後輩のO君が居る。O君は旭川出身で私と同じ大学のワンゲル部に属し、私より1年後輩である。この時の北海道旅行では大雪山だけは当初から登る計画であり、日程をO君に伝えてあったので、帰省していたO君は私と一緒に大雪山に登るために私を待っていてくれたのである。うれしい事を言ってくれるが、雨男の彼が一緒だと少し天気が心配になる。案の定、雨が降り出し、楽しみにしていた層雲峡の絶景もバスの車窓からは何も見ることができなかった。
翌日、前日の雨はあがり、曇りの中、層雲峡を7時に出発。黒岳のロ−プウエ−はこの時は開設しておらず、私が登った2年後に運転開始した。従って黒岳経由で大雪山(旭岳)を登る人は少なく、静かな山旅を楽しむことができた。
歩き始めると青空が出始めて、黒岳に着いたときは見事に晴れ渡った。黒岳山頂で休憩しているとエゾシマリスが5〜6匹、私たちの周りをうろついている。登山靴の上にカンパンを載せると靴のそばに寄ってきてカンパンを取って食べるではないか。餌付けしているわけでもない自然のリスの、人を恐れない愛くるしい姿に時間がたつのも忘れた。
黒岳から北海岳、間宮岳が遠くに見え、ここでゆっくりするわけには行かないので先を急ぐ。二人でコースタイムの半分程度の速さで飛ばし、北海岳、間宮岳を越えて旭岳手前の水場で昼食とした。それにしても黒岳から旭岳を1ツの山、大雪山とすると大雪山は大きい。大町桂月の紀行「層雲峡より大雪山へ」の冒頭に「富士山に登って、山岳の高さを語れ、大雪山に登って山岳のおおいさを語れ」と書かれているが、雄大な阿蘇山の、世界一のカルデラと違い、山々の連なりで、頂上に結構大きな沢が流れていてお花畑があり、雲ノ平ののどかな草原等、本当に山の大きさを実感できる山である。
旭岳頂上には飛ばしすぎて13:23に着き、時間に余裕ができたのでのんびりと過ごす。頂上では国土地理院の人達が地図修正のための測量をしていてテントを張っていた。
話を聞くと、前の晩、ヒグマがテントの周りをうろつき、非常に怖かったとのこと。北海道では熊よけの鈴が絶対に必要だと知らされた。
旭岳頂上に着いたときはガスがかかり、視界がきかなくなってしまった。1時間近く粘ってみたがガスは晴れず、あきらめて姿見池から勇駒別温泉に下山した。今は観光客で賑わう姿見池や地獄谷の風景はどういうわけかほとんど思い出せない。これも大雪山の山の大きさ、素晴しさを見て下山してきたため印象が薄かったと思われる。もちろん、こちら側の旭岳ロ−プウエーも当時はできておらず、まだそれほど観光地化されていなかった。
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日記
私と百名山 17.大雪山(2290m) (登山日:1965年8月23日)
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大変興味深く読ませて頂きました。
学生の時に層雲峡をまわり、観光で途中まで上がったところ
黒岳‥天使が集う広場でしたっけ‥その上まで
いつか大雪山系‥縦走をしたいと思っています
おおいさ‥それはそれはきっと素敵な所なんでしょうね
札幌に住んでいる私にとって大雪山は登り易い山ですが、特に黒岳はロープウエイがあって登り易いので、中でも何度も登ってきました。
その私も初めての黒岳登山は、当時の重いキャンバス地のテントやキスリングを担いてロープウエイを使わずに登って縦走しましたが、それは遥か40年以上も前のことになりました。
fujinohideさんの日記を拝見して、すでに亡くなった友人と縦走したその時の事を懐かしく思い出しました。
aonoaoさん、コメントありがとうございます。
大町桂月も黒岳から旭岳に縦走していますが、その中で山の大きさに感心して、紀行文の冒頭の文章になったものだと思います。
一度、是非、縦走して大きさを実感してください。
umetomosanさん、こんばんは。
大雪の周りは結構、うろついているのですが大雪山に登ったのはこの時だけです。去年も層雲峡まで行ったのですが連れ合いと一緒だったので観光で済ませてしまいました。
大雪は再訪したい山の筆頭です。
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