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翌日、快晴の中、5:50に三俣を出発。一歩一歩、槍が近づいてくる。北鎌尾根からすくっと立ち上がった槍の穂先は近づくに連れて形は悪くなる。千丈沢乗越から槍岳山荘までの最後の登りはさすがにきつい。12:48槍岳山荘に着く。すぐに槍の穂に登りたかったが、すごい人数が群がっているので先にテントを張る。槍のテント場は無理しても10張り程度の狭い場所で、水場も無いため雪渓を溶かして使用した。
槍の穂もすいてきた様子なので早い夕食を取ってから15:50に出かける。それでも先がつかえて何回も途中で待たされる。とうとう槍の頂上に立つ。見える、見える。目前に穂高の迫力ある岩峰群、今まで歩いてきた剱・立山・薬師・雲ノ平をはじめ鷲羽、水晶、野口五郎、大天井・燕岳、焼岳、乗鞍、御岳、中央アルプス、南アルプス。時間が過ぎるのも忘れて1時間以上、登山者で溢れる狭い頂上にいた。
1987年には家族4人で槍ヶ岳に登った。1日目は一ノ俣小屋泊、二日目が槍岳山荘泊の2泊3日で計画した。2日目は私が氷河公園からの槍ヶ岳を見たかったので、槍沢を詰めずに氷河公園から南岳・大喰岳経由で槍岳山荘に向かった。残念ながら氷河公園では完全な槍ケ岳は見えなかったが、ガスの中に浮かぶ槍ケ岳も風情があった。しかし南岳付近から小雨になり、槍の穂に家族全員で登ったときはガスで周りは何も見えなくなっていた。
3日目は槍平、白出沢小屋を通って新穂高に下山したが、槍ケ岳の少し下の石のゴロゴロした道脇でオコジョが顔を出し、子供たちを喜ばせてくれた。
2002年には、標高トップ百山で最後に残っていた祖父岳を登るために、折立−太郎兵衛平−雲の平―祖父岳―鷲羽岳―槍ケ岳のコースを歩いた。以前、雲の平を通った時は祖父岳を巻いて三俣山荘に出たため、祖父岳の頂上には足跡を印していなかった。祖父岳では雲1ツ無い快晴で、今まで登ってきた山々が全て見え、標高百山の最後を飾るにふさわしい山となった。翌日、槍の穂に登ったが昔と違い、登りと下りが別ルートになり、待たされることなく頂上に立つことができた。その日、日没時に槍岳山荘の窓から外を眺めていると、残照で赤く染まった滝雲が山の斜面を下りていき、それは忘れることのできない印象的な日没の景色であった。
写真:大天井岳から槍ヶ岳と満月
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