私と百名山 2６．金峰山（２５９５ｍ） （初登山日：1968年3月24日）

　瑞牆山を往復して富士見平小屋を出発したのは、１４：２５になってしまった。少し進むと雪道になるがトレースがあり、雪に足を取られる事無く意外と楽に進む。しかしいい気になって歩いていると時々、ブスッと、太ももあたりまで潜り込む。それでもコースタイムの半分で大日小屋（無人）に１５：１０に着いてしまう。この日は大日小屋泊まりのつもりであったが、明日の予定を考えると、出来れば今日中に金峰山小屋まで行ければ行っておきたいとのリーダーの判断で先に行くことに決定。私としてはこれから雪が深くなるし、時間も１５時を過ぎてしまっているので先に進むのは心配であったが、社会人１年生の私は山の経験が１番あったとしても、ここまで順調に来ている事もあり先輩たちには強く、意見を言う事はできなかった。
　大日岩を過ぎたあたりから雪も深く、かなり足が潜り込み、一気に疲れが出てくる。そのうちに１人がバテてしまい、歩けなくなってしまう。仕方なく、１番若い私がその人の荷物を私のザックの上に載せ、２人分の荷物を担ぐことにした。
　今までもバテた人のザックと自分の２人分の荷物を担いだ経験はあるが、それは雪の無い道であった。荷物が重くなると足が雪に埋まりやすくなり、前の人のトレースを歩いても潜り込む。荷物が頭を押し下げて上を向くことができないので先が見えず、樹林帯では木の枝に荷物をぶつけ荷物を落とすこと数回。汗はタラタラ。足はフラフラ。この頃の私は体力には自信があり、山には強いと自負していたが久しぶりに疲れ、参ったという感じであった。しかしもう１７時を過ぎてかなり薄暗くなってきている。小屋まで私が頑張るしかないとむち打って歩く。１７：３５、無人の金峰山小屋に着いた時には疲れきってしばらく動くことができなかった。
　冷えた山小屋で１夜を過ごし、朝起きると見事に晴れ渡る。氷雪の金峰山頂上。富士山、南アルプス、中央アルプス、八ヶ岳が雲海に浮かぶ。昨日登った瑞牆山は意外と小さく見える。近くの五丈石は氷が張り付いていたので途中まで登り、上に立つことを断念せざるを得なかった。
　山の経験の浅い人達といきなり雪山でパーティーを組んだが、事前に雪の無い山を一緒に歩き、山の技量を確認してから雪山に入るべきだったと反省した山行であった。
　1990年11月3日に再度、会社のハイキング同好会のメンバー4人で金峰山を訪れた。この時は金峰山小屋も管理人が入っていて温かい夜を過ごす事ができた。しかし担ぎ上げた日本酒２升を４人（一人は女性であまり飲めない）で空けてしまい、１番多く飲んだ私は気分が悪くなり、トイレで吐いてしまった。山では酔いが早く回る事は理解しているのに、飲み始めると止められず、反省ばかりが多い金峰山である。

写真：金峰山山頂にて　　この当時、私は古い背広で山登りをしていた。

コメント

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RE: 私と百名山 2６．金峰山（２５９５ｍ） （初登山日：1968年3月24日）
こんにちは

古い背広ですか〜渋くてかっこいい〜です。昔の山歩きの写真を見ると、背広の写真が割と多いですね〜
新品の背広では、確かにもったいないですもんね

kenpapa

山での酔い
こんにちは。

＞山では酔いが早く回る事は理解しているのに

泊まりがけの山行は若いころ（もう30年以上も前に）しかしていなかったのですが、先日の富士山で久しぶりの泊まりで油断してしまいました。

今となっては良い想い出ですが・・・

fujinohide

RE: 私と百名山 2６．金峰山（２５９５ｍ） （初登山日：1968年3月24日）
araigengaさん、こんばんは。
私が山登りを始めた当時は、山専用のシャツやズボンがなく（あったかもしれませんが買えなかった）、皆、破れて汚れて、捨てても良いような古着で登っていました。
私は兄貴から貰った古背広をしばらくは街で着ていましたが、そろそろお払い箱にしても良いと考え、山での着用を始めました。
背広も暑さにより脱いだり着たリが簡単だし、ポケットも多いので重宝しました。
山小屋では後からきた人に管理人とよく間違えられもし、良い思い出です。

fujinohide

RE: 私と百名山 2６．金峰山（２５９５ｍ） （初登山日：1968年3月24日）
賢パパさん、こんばんは。
お互いに、飲み始めると、ほどほどで止めることができず、有るだけ飲んでしまうタイプ（失礼）。
下界での酒の失敗も多いですが山の酒での失敗も数多く、あります。
もっとも最近は弱くなり量は飲めませんが。

hagure1945

RE: 私と百名山 2６．金峰山（２５９５ｍ） （初登山日：1968年3月24日）
同い年ですが、百名山平成14年に達成されておめでとうございます。18歳から休まず山に行かれたとは見上げた根性です。私は20年の中休みがありまして、いまは北海道の9座を残すのみに成っていますが、きちんと記録を残せてない山が剣岳と乗鞍だったので、今年5年ぶりに剣に行きました。最近どこまでやっていいのかはなはだ疑問イおもうことがありますが、若いときに出来なかったことを何とか終えておきたいという気持ちです。先日館山で90歳の方がサポートされながら登っていましたし、昨日のTVでは77歳の女性が燕岳に登ってました。やまで81歳のヒトと出会ったことがありますが、90歳は初めてでした。百名山の記録と思い出を整理されて、レコに載せられて折られますが、古い時代の写真は懐かしいですね。30〜４０代のときに登っていなかったので、その後もぽちぽちと続けてきましたが、山っていったい何なんでしょうね。剣でも山頂で７１サイト６９歳の方と握手してきました。三の窓、小窓への稜線をあるきたいのですが無謀といわれそうで、歳はどのようにとればいいのでしょう。百名山の記録歓声までお待ちしてます。
レコも登録させていただいてご健闘ぶりを愉しませていただきます。

fujinohide

RE: 私と百名山 2６．金峰山（２５９５ｍ） （初登山日：1968年3月24日）
hagure1945さん、初めまして。
剣岳の記録や日記を楽しく拝見しています。日記に孫連れ登山のこと、取り上げていただきありがとう御座いました。
hagure1945さんのいまだにテントを担いで歩かれる体力に驚嘆してしまいます。私はテントを担いだのは５年程前でその後は山小屋泊り、日帰りばかりです。
山の楽しみ方は歳とともに変化してきますが、私の場合は、一時は山のビデオ撮影・編集してＤＶＤを作成していましたが、編集がだんだんと億劫になり最近はバカチョンカメラしか持っていかなくなってしまいました。、ここ数年は花の写真を撮り、ネットで名前を調べることが中心になりつつあります。
今後とも宜しくお願いします。