![]() |
20歳の3月初めに、新潟県糸魚川市で日本海の水をくみ、それを静岡県浜松市の太平洋に注ごうと平地ワンデリングに単独で挑戦した。雪降る中、国道148号線をテント担いで南下。3日間、雪が降り続いたが白馬森上を過ぎて飯森付近で一時、雪が止み、後立山連峰の1部、大きな山が顔を出した。全容が見えないので山の名前を特定できずにいたが、地元の人に確認すると五竜岳だと教えてくれた。それは雪の合間のガスの中でものすごく大きく感じられた。
3年後に、八方尾根にスキーに出掛けた。リフトの終点、黒菱平からやはりガスの切れ間に雪をまとったごつい岩の塊の五竜岳を見て、いつかは登ろうと考えるようになった。普通ならば、後立山連峰に入る場合、白馬岳からスタートする人が多いと思うが、私は後立山連峰の1歩は五竜岳とこの時から決めていた。
そこで会社の山好きな同僚を誘い、唐松岳―五龍岳―鹿島槍ケ岳を計画した。2年前にスキーを楽しんだ八方尾根から登り、1日目に唐松岳を往復後、五竜小屋に泊まり、翌日、五竜岳・鹿島槍ケ岳を越えて種池山荘までのコースとした。
スキーで訪れたときの八方尾根・黒菱平と打って変わり、夏の黒菱平は湿原もあり明るく、全く別な所との感じであった。八方尾根は天気にも恵まれ、スキーの時には見えなかった白馬三山、天狗岳が眼前に聳え立ち素晴しく、登山客以外の観光客も多く見受けられた。
後立山の稜線に出ると、剱岳・立山が見え、思わず歓声を上げる。唐松山荘で昼食後、唐松岳を往復し、五龍小屋に向かう。小屋には14:30に着き、のんびりと立山、剱岳を見ながら過ごす。
翌朝、やはり快晴の中、小屋を5:50に出てあっけなく6:35に五竜山頂に立つ。長いこの日の工程の最初に簡単に着いてしまったためか、登りたかった五竜の頂上に立っても不思議と喜びもなく10分間そこに居ただけで次の鹿島槍ヶ岳に向かって出発していた。
この頃は山に本格的に登り始めて8年目で山行回数も100回近く登っており、ただガムシャラに登っていただけであり、当時の山日記にはコースタイムの他に数行しか書いていない。読み返しても思い出すことが少なく、今になると本当にもったいない山行をしたと感じる。山は行く前の計画、実際の山登り、帰った後の整理と3回、楽しむことができるが残業を100時間/月以上していた頃で、忙しいことを言い訳に最後の整理の楽しみを自ら放棄してしまったことに悔しい思いをしている。
写真:爺ケ岳から朝の五竜岳
コメントを編集
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する