|
しかし6月中旬から7月初めの梅雨真っ盛りの時期に咲くので梅雨の合間の晴天を狙って登るのはサラリーマンにとっては難しい。定年を迎え、毎日サンデーとなりヨシ、キタダケソウを見に行けると張り切ったが去年は腰痛で断念。今年こそはと梅雨の合間の晴天を狙い、満を持して昨日、日帰りで出掛けた。二俣経由八本歯のコルからキタダケソウ群生地まで登り、時間があれば山頂まで行く心つもりであった。
二俣までは順調に歩を進める。今日の芦安から1番の乗り合いジャンボタクシーで広河原に入った人は30人ほどで釣人と登山者が半々程度。登山者の中で二俣から八本歯のコルに登るのは私と50代の男性単独行者のみであった。
その単独行者は二俣で私がアイゼンを準備している間に二言、三言、話して先行していった。15分後に私も出発。最初は広い雪渓を自分勝手に歩いていたが自然と楽におぼれ先行者のトレースを追っていた。
一昨日の猛烈な雨でそれ以前のトレ−スは消えてはいるが、上部の雪渓が分かれるところで上を見ると両方にトレースらしき跡が見える。
先行者は右の雪渓を登っている。私もこの時点では何も疑うことなく踏み跡を100m位、遅れて追いかけていった。以前に比べ馬鹿にバットレスが近く見えるなと疑問を感じながらも・・・。
雪渓も急になり45〜50度と増し、先行者も登るのに苦労している。距離も50mくらいに近づいた。ふと音がするので見上げると先行者がスリップして私の1mくらい脇をアッと言う間もなく仰向けのまま、すごい形相で滑落していった。私の100m位下の小石が堆積している傾斜の緩くなったところでやっと停まった。幸い、途中に大きな落石も無く、雪上の滑落だけだったので大怪我はしていないだろうなと思うものの、しばらく動かないでいる。大丈夫かと上から大きな声を掛けると起き上がり、私が下りていこうとすると手で遮り、しっかりした足取りで歩き始めた。その後、下山したようである。
私はそのまま登り先行者の滑落起点まで登ったが、そこは少し急ではあったが普通の斜面であった。スリップした瞬間は見ていないが何かの拍子にバランスを崩してスリップしたものと思われる。先行者は6本爪のアイゼンにダブルストックで登っていた。
登るべきか下るべきか迷ったが雪渓もあと僅かだし登ることにする。雪渓は更に急になり最後の100mは斜度60度になった。私はピッケルと6本爪のアイゼンであるが前に爪の付いた10本爪アイゼンを持ってこなかったことを悔やんだ。
ピッケルで確保しながらなんとか雪渓を登りきったがそこは脆い岩場で、恐々、20mほど登って道を探す。するとかなり離れた左側に八本歯のコルが見え、手前の梯子が見える。この時点で初めてルート間違いに気が付くお粗末さである。バットレスに入り込む雪渓を登っていたのである。
疑問は感じながらも雪渓から八本歯のコルに抜ける尾根取り付きを見落として雪渓上部まで抜けてしまったものと考えていた。 二俣から八本歯のコルへのルートは登り4回、下り5回、過去に通過しておりルートを間違えるはずは無いと思い込み、事前にガイドブック、インターネットで調査・確認しないまま、先行者を信じてしまいルート確認を怠った私のミスである。
ドジ、間抜け、頓馬、自分を責め情けない気持で自己嫌悪に陥ってしまった。
八本歯のコルの池山吊尾根がすぐ目の前に見え、岩を超えて行けば尾根に出られそうな誘惑に打ち勝って、素直に来たルートを下りる事にする。しかし60度の雪の壁を下りるのは正直、怖い。気を引き締めて雪面に向かいながらピッケルを深く差し込み、左、右足を1歩下げ、ピッケルを抜いて、又、足元に差し込む繰り返しでなんとか60度の壁は下りる。
少し傾斜が緩やかになり、雪面を背にして下り始めたが気の緩みか、スリップ、転倒し落ち始める。身体は反射的にうつ伏せに回転しピッケルを雪面に打ち込み、5mほどで停止することができた。過去に何回かスリップ、滑落しそうになったことはあるがピッケルでなんとか停止し、大事には至っていない。しかしそれは若いときの話で60歳を過ぎて咄嗟に停止行動ができたのは若いときの訓練の賜物と我ながルート間違いで滅入っていた自分を褒めてやりたい気分になった。
その後、注意して間違えたルートの起点まで戻ったが12時を過ぎており、これから八本歯のコルに登り返すには体力と時間がないので潔く、下山と決め、トボトボと引き返した次第である。
写真の赤線が間違えて登ったルート。
(長文の拙文を最後まで御読みいただきありがとう御座います。)
危ない所でしたがご無事で何よりでした。
Y−chanは別ルートで登られたようですが車中と風呂でご一緒だったとか・・・・
広いようでも世間は狭いですねぇ。
そのうちにどこかの山でバッタリなんて事があるかも知れませんねぇ。
びっくりしました。Y−chanさんの山行記録を読んでご一緒だったことが判りました。
あの時は北岳山行に失敗し、滅入ってしまい誰とも話しをしたくない気分で風呂でも言葉を交わすことなく出てしまって、Y−chanさんに失礼してしまいました。
賢パパさんはブログで何回も写真を拝見していますので山でお会いしても判るとは思いますがY−chanさんの写真でのアップは記憶が無く、全然、判りませんでした。
御互い、良く行く山域が近いですのでこれからもお会いする機会があると思います。そのときは宜しくお願いします。
コメントを編集
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する