塩川土場から三伏峠までの道は、少し急ではあるがしっかりとした歩きやすい道で、天気も良い事から順調に三伏峠小屋に着く。ここで昼食とするが、晴れていた天気もガスがかかり、それまでの南アルプスの山行は雨ばかりだったことからまた雨かなと嫌な気分になる。その後、ガスも薄くなり張り切って塩見小屋に向かうが、夜行列車でほとんど寝ていない身体は疲れが出てきて徳右衛門山辺りからバテ始める。やっとの思いで塩見小屋にたどり着いた。
翌朝、快晴の中、小屋を出発。塩見岳頂上は近くに見えるが意外と遠く、1時間以上を要して山頂に立つ。山頂は御来光を拝むために早朝に登った人で溢れていた。3000m峰全制覇の喜びにひたる間もなく追い出されるようにして出発。池の沢小屋への分岐付近から後を振り返ると、塩見岳が大きく素晴しい姿で私を見送っていた。ここで一人静かに3000m峰を全部登る目標を達成したという感慨にひたることができた。一休みして出発しようと立ち上がると右膝が急に痛み始める。足をかばい、北荒川岳付近のお花畑を楽しみながらゆっくりと歩いているうちに、膝の痛みも幸いなことに和らいできた。 日本標高100番目の新蛇抜山(2667m)を超えて熊の平小屋に着いたのは10時。その後、膝の痛みも悪化することなく、予定通りこの日は三峰岳、間ノ岳を縦走し北岳山荘に15:25に着くことができた。この山行はそれまでの5回連続して雨に降られた南アルプスの山行とは打って変わって、最高の天気で最後の3000m峰を祝福してくれた。
それから18年後、標高40番目の蝙蝠岳と64番目の小河内岳に登るために三伏峠を再び訪れた。このときも初日は塩見小屋泊まりとしたが荷物を軽くしたこともあり、30代の時のコースタイムを50代のこの時の方が45分も短縮することができた。翌日は雨の中、塩見岳を越えて蝙蝠岳を往復する。塩見岳山頂は雨の朝6時のため西峰、東峰とも人は2〜3人しか居なかったが、ゆっくり休む気にはなれない。このときの私のゴアテックス雨具は古くて劣化していたためか、激しい雨でびしょ濡れになってしまった。復路の途中、雨が止み、一瞬、ガスの切れ間から甲斐駒ケ岳が顔を覗かせてくれる。塩見小屋に12時に戻り、三伏峠に向かったが、また猛烈な雨となり、再び濡れなおして三伏峠小屋に飛び込んだ。翌日の三伏峠小屋から小河内岳往復も、雨はやんだものの濃いガスで何も見えなかった。やはり南アルプスは天気の神に見放されているようだ。
写真:塩見小屋からの塩見岳
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