この年の夏にファミリーハイキングで車山に行き、近くのおむすび型の蓼科山に登りたくなった。秋に7歳の次女には少し厳しいかなと考え、長女(9歳)だけを連れて1泊で登ることにした。娘と二人だけの山は始めてであり、日頃仕事が忙しくてあまりできなかった親子の会話を楽しみながらの山旅となった。
茅野駅からバスで登山口の女神茶屋に着いたのは正午過ぎ。紅葉の始まった林の中を休み休み、急坂を登り、頂上に着いたのは15時30分であった。大きな石を敷き詰めたような広々とした山頂で記念写真を撮り、近くの蓼科山頂ヒュッテに入る。ヒュッテはちょうど、この日が今年の営業最終日であった。 食事後、管理人さんから残っていた日本酒が振る舞われた。宿泊者5〜6人で湯飲み茶碗で管理人さんの話を聞きながらお酒を頂戴していたが、酒好きな私は5杯、6杯と杯を重ねていた。9歳の娘から「お父さんが1番、飲んでいる。いい加減にしなさい。」と怒られてしまい、スゴスゴと娘と二人で布団に入って寝た次第である。
翌日、晴れているが朝霧が立ち込めていた。娘と二人で御来光を拝みに山頂に行く。薄いガスの中、陽が昇り、ガスが黄金色に変わり幻想的な御来光を拝むことができた。陽の上がった反対方向を見ると、そこにはブロッケン現象が現れていた。娘にブロッケン現象について説明し、よほど運が良くなければ見られなくてお父さんでも今まで2回しか見たことがないことを話す。娘は黄金色のガスに写っている自分の影に金環の後光が差し、手を動かすと影も動く様を見て本当に感激していた。私も娘を連れてきてブロッケンを見せてあげられたことに酔っていた。
下山は双子池、横岳から坪庭・日本ピラタスに下ることにする。亀甲池辺りで順調だった娘の足も疲れが出始める。ここから最後の横岳までの登りを頑張らなければならない。疲れからご機嫌も悪くなった娘だが、出会ったパーティの皆から「すごいネ。頑張っているナ。お兄さんやお姉さんも負けないように頑張らなければ」などと励まされながらなんとか横岳まで登りきってくれた。
坪庭に来てロープウエーで下りようとしたらすごい人が並んでいていつ乗れるか分からない状況であった。帰りの時間もあるのでやむなく、歩いて下ることにしたが、ロープウエーに乗れることを楽しみにしていた娘は泣き出してしまう。下ったらソフトクリームを買ってあげるからとご機嫌を取りながらなんとか下った。
バスで茅野駅まで戻り電車待ちしていると、娘が気分悪くなり吐いてしまう。少し無理させすぎたかなと反省したが、その後気分も収まりホットした。「よく頑張ったネ。」と褒めながら帰りの電車で好きなものを買ってあげたことは言うまでもない。
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日記
私と百名山 58.蓼科山(2530m)(1981年10月10日)
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蓼科山は誰かに連れて行ってもらわずに自分一人で登った初めての百名山です。(富士山は除いて)
素晴らしい好天に恵まれて浅間山、北アルプス、御嶽から南アルプスまでぐるりと見渡すことが出来、何よりも八ヶ岳の眺めが最高でした。
あの景色を見せてあげたいと・・・翌年女房を連れて登りましたが曇りであまり眺望はありませんでした。
特徴的なあの形が良いですね。
fujinohide さま
蓼科、白樺湖、八ヶ岳北部のお池めぐり、、、
とても魅力のあるエリアですね。
30年ぐらい前はまだまだ開発も今のようではなかったと思います。
40-45年前頃に、このあたりでけっこう幕営しましたが、赤とんぼの大群が空を覆るほど飛び交っていたことを鮮明に記憶しています。
今はどうなのでしょうか
整理されすぎた野営場は何か満たされない気がします。
賢パパさん、こんばんは。
蓼科山はどこから見てもすぐに分る山容で、見ると登りたくなる山ですよネ。
展望台としても素晴らしい位置にあり、機会を作ってまた登りたいと思います。
芋さん、こんばんは。
この付近で野営の想い出としては白駒の池のほとりで、あまりに見事の紅葉で、その場を動けなくなり、湖畔で寝袋にポンチョをかけて満天の星を見ながら一人、野宿を楽しんだことが想いだされます。45年ほど前のことです。今では野営場以外では野宿も出来ないんでしょうネ。
fujinohideさん、こんにちわ。
蓼科山は会社の駐車場からちょこっと見えます。
特徴的な山の形はこの辺りでも目立ちます。
9歳の娘さんもよく歩き通しましたね。
帰りの電車でのご褒美は嬉しかったでしょう。
(私も最後にロープウエーに乗れなかったら
ゴキゲン斜めかも
sakusakuさん、こんばんは。
幸いなことに9歳の娘も蓼科山で山を嫌うことなく、その後も20歳過ぎまで私と二人で山に登ってくれました。
今はその子供(孫)にジィージ、山に連れて行ってと頼まれ孫と二人での山も楽しみ始めました。
私にとっては子供、孫に感謝で本当に幸せ者だと思っています。
お嬢さんにはつらい体験だったと思いますが、きっと良い思い出になっていると思います
蓼科山・・・去年の秋から山に行き始めた初心者ですが、今シーズンは家内と1度、単独で2度登りました
1回目は山頂で全面ガスで、下山時は豪雨!
2回目も山頂でほぼガス!
3回目にして八ヶ岳の山々や北アルプスまでを眺めることが出来ました
この山は初めて雨に降られてレインウェアで歩いた山
それに山頂直下の岩場で下山時に転倒した山
何につけても私にとって思い出深い山です
きっと来シーズンも登ることになると思います
air 4224さん、コメント有難うございます。
山に何回か登っていると、想い出深い山、自分の波長に合っている山などと出合い、そんな山は何回も登るようになりますよネ。
娘にとっては辛かったことよりもブロッケンを見ることができた想い出の方が強く、今でも蓼科山が話題になります。
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