山荘前の駐車場に車を置いて、朝食を食べ入山届けを書いて出発した。一の鳥居、不動滝、二の鳥居と順調に進み、火山館に10:20に到着する。登山者は私以外には見当たらない。この辺りは雪1面でトレースもはっきりしていなかった。天狗の露地方面に僅かにトレースがありその跡を追っていくが、天狗の露地の林の中でトレースは消えて道が分からない。膝まで雪に潜りながら薮を漕いで、なんとか前掛山の下に出る事ができた。
前掛山への登り口は不明であったが中央に雪の白い溝が上まで続いておりその溝を直登する。12:20前掛山の三角点にバテバテになりながらも到達。
登山禁止が長かったためか道は判別が付かなかった。左に回って行くと賽の河原からの道にぶつかる。ここから浅間山火口へは道らしい跡がはっきりしており、噴煙の立ち上がっている火口丘に登る。浅間山頂は火口をほぼ半周した所であった。山頂からは白い北アルプスが全て見える。黒い剱岳が直ぐに分かり、それを基準に北アルプスの山々を同定して行く。しかし誰も居ない、噴煙が大きな音をたてて噴出している山頂では噴火が頭をよぎり、長くいるのは怖くなり退散する。
下りは先ほどの賽の河原の分岐まで戻り、湯ノ平経由で火山館まで迷うことなく下ることができた。さらに下って行くと、不動滝を過ぎた辺りで山岳パトロールしていた一行が立ち止まっている。すぐそこにカモシカがいると教えてくれた。その方向を見ると10mくらい離れた林の中にこちらをジィーット見ている一頭のカモシカがいた。急いで、しかし静かにカメラを取り出し撮影する。山でカモシカには何回か出くわしているがこんなに近くで見て、写真に収めることが出来たのは初めてであった。
15:08には浅間山荘の駐車場に戻ったが、先ほどのパトロール隊以外は5月の連休だというのに登山者には一人も出会う事が無かった。まだ登山禁止が尾を引いていたのかもしれない。私が登った2ケ月後の1990年7月には浅間山は再び噴火して登山禁止になってしまった。
浅間山は噴火で登山が長いこと規制されているために、ほとんどの人が外輪山の黒斑山か前掛山に登り、浅間山とせざるを得ない状況であるが、その意味で本当に良いタイミングで浅間山本体の頂上まで登ることができて幸運であった。
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