会社で福島県郡山市に新工場を建設した。建設準備段階から新工場に関わり、1992年に完成後は静岡県の三島工場と郡山工場の兼務となり、1週間交代で三島と郡山を往復していた。新工場の御披露目に会社の幹部が郡山を訪れたとき、バスガイドが「工場から見える安達太良山を地元では乳首山と呼んでいる」と説明していたが、そんな感じには見えなかった。
会社のハイキング同好会のメンバーに新工場紹介を兼ねて高村光太郎の智恵子抄で有名な安達太良山登山を計画した。奥岳温泉からゴンドラに乗り薬師岳近くまで上がる。この奥岳温泉及びゴンドラのあるスキー場のあだたら高原は、遠く離れた私の地元でもバスの営業をしている富士急行株式会社が運営しているのもなにか因縁を感じた。
山頂まではなだらかな雪の斜面で、途中の霧氷が綺麗であった。山頂は岩塔がそそり立っている。凍っている岩塔を登ると磐梯山、吾妻山、足元に猪苗代湖、秋元湖と素晴しい展望が開けていた。
その後、鉄山に登り、くろがね小屋に下る。くろがね小屋は温泉が湧出していて雪に埋もれた冬でも1年中、開いている。何回もくろがね小屋に立ち寄り、浴槽までは見ているが1度も温泉に入らなかったことが今では心残りである。
くろがね小屋から勢至平経由で奥岳温泉に戻る途中、安達太良山が綺麗に見えた。その白い雪で覆われた姿は、若い女性の張りのある白肌の乳房の形で頂上の黒い岩塔が乳首のように立っており、なるほど乳首山そのものであると納得した。
1年後には郡山工場専任となり単身で赴任した。時間に余裕ができ、車にて30分程で行ける安達太良山付近には良く出掛けた。
安達太良山は田中澄江著「花の百名山」の1ツである。そこに紹介されているウラジロヨウラクの花を見に6月に登った。木の花に対しては全くの無知であり、ゴンドラで上がった付近の木に小さい赤いつぼ形の花が見事に咲いていてこれがウラジロヨウラクかと喜んだ。
頂上から勢至平に行くと先ほどの花よりも赤みが薄くピンクに近いつぼ形の花が咲き乱れていた。撮ったビデオを家に戻り、山野草図鑑などで調べるとゴンドラ山頂付近の花はベニドウダンツツジで勢至平に咲いていたものがウラジロヨウラクであることが判明した。その他にもイワカガミ、ハクサンシャクナゲ、レンゲツツジなどが咲いていて、やはり花の百名山だけのことはあると思ったものである。
アイゼンを買い換えた時も、最初に調整し靴との馴染み具合を確認するために安達太良山に登った。このように安達太良山は私にとって非常に親しみの深い山となり、奥岳温泉のあだたら富士急ホテルの風呂で汗を流して帰るのが常であった。
HOME >
fujinohideさんのHP >
日記
私と百名山 72.安達太良山(1700m) 1993年5月1日
お気に入りした人
人
拍手で応援
拍手した人
拍手
訪問者数:268人
実家から1時間もかからずに行けるので数年前の帰省の折に女房を伴っての登山を計画しましたが悪天候のため郡山の手前で中止を決めて引き返しました。
帰る途中で西から天気が回復して来ている様子が見て取れたため目的地を変更して那須に向かい首尾よく登って来ることが出来ました。
地元の百名山には縁のないままこの歳になってしまい果たしてこの後訪れる機会があるのかどうか?
fujinohide さま
まいどです。
私も安達太良は思い出の山です。
高校の時にさまざまな思い出ができました
途中に高校が所有運営していた「千岳荘」がありました。
今は他の方のものになっているそうです。
青春の思い出がたっぷりあるエリアです。
賢パパさんならば散歩気分で奥さんといつでも行けますよ。東北自動車道にのればすぐですもんネ。
登るならば花の時期がお勧めです。
芋さん、こんにちは。
千岳荘って聞いたことがあるような気がします。
芋さんもこの近くの出身ですか。
私も安達太良山は冬のスキーも含め四季を通じて楽しみました。
コメントを編集
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する