![]() |
駐車場から雪渓を大海川に下ると河原沿いに水芭蕉が咲いていてちょうど見頃であった。
尾根の取り付きは急で雪は無かったが、なだらかになるとまた雪道に戻る。林の中の雪上には弁柄のような物をまいた赤いルートが書かれていた。地元の山岳会などが遭難防止のために雪上に赤い道を表示したのであろうが、これでは自分でルート判断して進む雪山の楽しみが失われてしまう。5月の連休で人気の百名山のため、雪山未経験者も登る可能性があるので、過保護とも思われるルート表示がされたものと推定される。近頃は他の山でも見受けられるようになってきた。私は雪山でルートを見失い断念して下山したことも多いが、それは私の未熟のためで、これほどまでにルート表示をされては興醒めであった。
荒菅沢は雪崩のデブリがルートを塞いでいたが、デブリを越して対岸の尾根に取り付く。ここからの布団菱の岩壁は雨飾山のアクセントとなっていて見栄えがした。急な滑りやすい雪道を木や根を掴みながら登ると気持ちの良い笹原に出る。雪の消えたところにはカタクリが多く咲いていた。雨飾山頂はほとんど雪も消え、風をさえぎり暖かい。妙高、火打山が目の前に見える。白馬岳の頂上はガスの中に隠れていたが、雨飾山付近は雲1ツ無く気分が良い。
下りは往路をそのまま引き返したが、5月の青空の下、雪の上をルート探しする必要も無く、のんびりと気楽に歩くのは実に気持の良いものである。ゆっくりとしたつもりであったが13:45には駐車場に着いてしまった。
南小谷駅に向かう途中の村営雨飾荘の温泉(当時300円)で汗を流す。内風呂よりも落ち葉が浮かんでいる露天風呂のほうが大きくて気持が良かった。湯船から出て縁の日向にいると暑いほどである。
南小谷駅でN君と別れ、私は富士宮の家に帰るべく国道148号線を南下する。この148号線は21歳の3月に一人でテントを担ぎ、糸魚川の海岸で日本海の水をくみ、それを太平洋側の富士市田子の浦の海岸に流すために14日間をかけて歩き、日本横断した想い出の道である。
その時に信濃四ツ谷駅(今の白馬駅)付近からの真っ白な白馬岳・唐松・五竜・鹿島槍ヶ岳の後立山の景色に感激したが、今回も車窓から、雲1ツない青空の中に同じ景色を見ることができ再度、感動を覚えた。
最後のエピソードに感動しました。
何年越しの感動でしょうか。
人の心根は変わらないものですね。
ittaさん、今晩は。
山好きな人はロマンチストが多いけれど、若い時の私も典型的なロマンチストでした。ロマンを追いかけるような山旅を楽しんでいました。
実はこの21歳の時、舗装道路を延々と歩き、当時は靴も良いものがありませんでしたから、最初は足首、次に膝、そして腰にと歩きながら痛みがだんだんと上に上がってきて、もう山道以外は嫌だと思い、いまだに林道歩きや舗装道歩きはできるだけ避けています。
コメントを編集
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する