![]() |
大キレットの方からヘルメットをかぶった若い登山者が
息を切らしながら上がってきた。
近くの登山者に写真をお願いしたのだが、ポーズを決める際、
『僕は北アルプスを遥か北より縦走してきて、
この夏に大縦走を成し遂げるんです!』
みたいなことを、山頂の登山者を意識して
わざわざ大きな声で宣言した。
写真をとってもらうのに別に説明しなくても良いのだが、頑張っていることをそこにいる人たちに自慢したかったのであろう。
あまりに素直だったので、なんだか微笑ましく、『まあ頑張れよ!』と応援したくなった。
自慢されて応援したくなる話もあれば、そうでない話など様々だが、そこには人間らしさが垣間見れて面白い。そんな話を紹介しよう。
■料理自慢の話
以前、どこかの山小屋の前のベンチで夕日に染まる山を見ながら、夕飯を食べていたときのことである。
突然、知らないオジサンが目をキラキラさせながら、小走りしてやってきた。
なんだろう?
と思ったら開口一番
『どうです!凄いでしょう!!』
と、いきなり持っていたフライパンを突きつけられた。
『ゲッ!突然この人何だ?』
((((;゚Д゚)))))))
いくら山とはいえ、初対面の挨拶に『フライパン』に『凄いでしょう』だとさすがに啞然としてしまう。
しかし、フライパンの中をよく見ると、そこにはまるで中華料理店のように均等な大きさでなんとも綺麗に包まれた美しい餃子が並んでいるではないか!『凄いでしょう』というくらいなのだから、既製品ではなく山で包んだのだろう。
ス・・・スゴい。というか山で餃子を焼いている時点でかなりの強者である。
しかし、初対面でいきなり、フライパンを突き出すというのはどうか?
あっ!そうか!!
食べきれないからおすそ分けに来てくれたんだな?ナルホド!
そう解釈し
『凄いですね〜!美味しそう〜!』
など、相槌を打つと、
オジサンは満面の笑みを浮かべ、スタスタと去ってしまった。
『・・・・・・・・』
ただ自慢しにきただけだったらしい・・・
( ;´Д`)
しかし、かくなる私もその年の雲の平でサモーサー(潰したジャガイモとひき肉をタネにして皮で包んで焼いたインドの屋台料理)を餃子の皮で作ったことがある。
『コイツラナラ リカイ デキル』
と何か通づるものを感じられたのかもしれない。
■山頂のお立ち台の話
金峰山の山頂に五丈岩という巨岩がある。
登るにはちょっとしたテクニックが必要で、頂に立てばちょっと自慢になるような、お立ち台的な岩である。
山頂は50人くらいの大勢の登山者で賑わっており、五丈岩に一般登山者がチャレンジしては、引き返す様子を眺めながら、みんなご飯をしていた。
すると岩の途中まで登っていた一人の登山者が、突然クライミングシューズに履き替えだした!
なかなかの気合である。どうやら、マジでてっぺんまで登るらしい。さあどうだろう?登れるのかしら?なんて見ていたのだが、
『おっ・・おおっ・・・・おおおおお!!!』
この登山者、身のこなしがメチャクチャスゴい。
一つ一つの手さばき足さばきに迷いがなく、安定感がありスムーズで美しい。
『この人は神だ!』
と唸らせるような動きであった。
恐らく相当の熟練者なのだろう。たくさんのギャラリーが注目する中、心配ご無用とばかりにまたたく間に登ってしまった。
岩のてっぺんで、ギャラリーに挨拶するように拳を天に軽く突き上げると、
『パチパチパチパチパチパチパチ!!』
あたり一面から拍手大喝采が湧き上がった!
その光景はまるでサーカスのショーでも見ているかのようで、その場の一体感もあり、気持ちの良いシーンであった。
すると、『おれもやってやるぜ!』と言わんばかりに、もう一人登山者がクライミングシューズに履き替えだした。クライミングシューズをわざわざ持ってきているくらいだから、彼もまた上手なのだろうなと思った。
だが、見ていると様子がおかしい。ビクビク、プルプル震えながら登っているのである。手足の置き方に迷いがあり、なかなか先に進まない。
ひょっとすると、このくらいが普通なのかもしれないが、前に登った登山者が神ワザすぎたこともあり、
『この人下手だな・・・・』
と比較されてしまうところは不憫すぎる。
『大丈夫かな』
と心配になったのは私だけではなかったであろう。
と、突然
『ああああっ!!!((((;゚Д゚))))』
足を滑らせた!
滑落すれば大怪我か、打ち所が悪ければ最悪死ぬような状況である。大事に至らなかったものの、本人も周りで見ているギャラリーも心臓が止まりそうになったに違いない。
ハラハラしながら皆で見守る中、彼はなんとかてっぺんに立つことが出来た。
だがしかし、
シ〜ン・・・・・・・・・・
可哀想に、拍手を送る者は誰もいない。
『危ないからやめてくれ!』
と心のなかでブーイングしていたのは私だけではなかったであろう。
お立ち台に立つ者は、エンターテイナーとしてお客様を安心して楽しませないといけない。きびしいものである。
あと『上手な人の後には登らない』という智恵は必要であろうなと思った。(笑)
cajaroaさん、こんばんわ。
山のあるあるですね。
自慢話も自己の来歴を語るくらいならかわいいけど、
しつこい、同意を求める、止まらないと
なってくるとうんざりしてしまいますが、、、
餃子が凄い。。。。。だから、どうした。。
ですね。そこはたくさん作ったので
よかったらお一ついかがですか。。となれば、
後々の語り草になる自慢話なのにね。。
私の自慢話は槍のテン場でスパイスから
作る本格インドカレーを作った。かな。
五丈岩は私が昨年登った時は、
スーツ姿で数人登ってましたね。。
あれって今時流行りのコスプレなんでしょうか。
k-yamaneさんこんばんは
この日記を書くにあたって、自慢話ってなんだろう?っていろいろ思い出して集めてみたんですが、自慢話って、いざ書いていてみると嫌な感じになったり、深刻な失敗につながったりして、どうもネガな性質で、そして滑稽な気がします。
周りの人にも楽しさを与える性質なのであれば、もうそれは自慢そのものが目的ではないので、イヤな感じもしないんですが。。。。五丈岩の上手なクライマーにしかり(うますぎてもはや自慢目的ではなかった気がします)、もしおすそ分けしたら・・・というおはなしもそうなんじゃないかと思います。
スーツ姿で五丈岩!?まあ、写真目的なんかなんじゃないでしょうか。SNSに乗っけるとか、まさかヤマレコユーザーとかじゃないでしょうね・・・上手に登れるなら、いいですけど。
※スパイスから作るインドカレーって発想なかったです。今度やってみようかな!?
いつも読んでいただきありがとうございます!
cajaroaさん、こんばんは☽
なるほど、確かに!と思う話ですね〜
山行ってある意味、達成感もありますから、理解できないこともないではありますが…
わたくしも気を付けないと…ってちょっと思っちゃいました
でも、不快でなければ、そこはOK
レコをつけている時点で、すでに自慢ですしね
モチ、わたくし含め!
ドタバタ話、楽しみです!これからも続行してくださいね
machagonさん
おはようございます!
口に出さなくても、人が自慢してるのを見て、『ふふん甘いな』と思ったりすることもありますし、レコを書くモチベーションに大なれ小なれ自己顕示欲が働いているというのはありますよね。
自慢はイヤミや滑稽に感じさせる人もいれば、カッコイイと思わせる人がいますが、ぜひカッコイイ側になりたいものです。
自慢したがるのはしょうがない
だって人間だもの
みつを(笑)
読んでいただきありがとうございます!
こんにちは
美しの塔のそばを歩いていたら、突然「穂高に行ってきたんです」と高齢男性に話しかけられて戸惑ったことがあります。
山には段位もないので、いくらどこを登ろうが、自慢できないような気がします。(山を何日も歩いた、と言うと、暗い趣味などと言われたころもありました)
自慢したい人は放置された子供のような寂し気な感じがします。山の話は、楽しげに語らないと、この感じを強く受けます。
koltukiさん
こんばんは
今回、今まで経験したことのある自慢の話を色々集めてみたのですが、
その元となる自己顕示欲というものは様々に形を変え、人とのコミュニケーションとしてみるものなのだなと改めて思いました。
欲そのものには罪はなく、その発散の仕方に問題があるような気がしてなりません。
唐突に穂高に行ったとか、そんな自己顕示欲をぶつけるような切り込み方をされても私も困りますが(笑)
おっしゃられるように、もし相手を楽しませるような形で穂高の話をしてくれれば、人にエネルギーを与えつつ、本人も満たされそうな気がします。
それはもう自慢ではないのでしょうが、そんな素敵な人も、また多く見かける気がするのです。
人間の欲求ではあるので、自分自信も上手い付き合い方をしたいものです。自慢が強い人はそこが下手なんでしょうね。
読んでいただいてありがとうございます!
コメントを編集
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する