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2022年09月19日 22:23道具の話全体に公開

究極のパッキング?の話

最近、10年近く使った 50ℓと70ℓの2つのザックが一斉に寿命を迎えた。穴を補修したりして使ってはいたが、本体の素材の一部がボロボロになってきてしまったのだ。

ほとんどこの2つのザックしか使っていなかったので、これらがなくなると、何もできなくなってしまう。なので、急遽、ザックを2つも買わなければならなくなったのである。
とは言え、買い物をするのはワクワクする。

『さあ、次はどんなザックちゃんにしようかなぁ・・・』

と、まずは70ℓクラスの大型ザックから探した。しかしこれがなかなか難航した。
最近は装備の軽量化の影響なのか、登山ブームが去ったからなのか、雪山やクライミングで使いやすそうな大型ザックが少ないからだ。

ザック全面に大きなメッシュポケットのついた夏山縦走用のものばかりで、背面も複雑な構造をしていて、雪が入ると面倒な感じである。
候補になりそうなザックを試着してみたが、自分にフィットしなかったり、デザインが気に入らず、ピンとくるものがなかった。

『先に50ℓから探そうかな』

しかし、ここで、ふと思った。

『もし、50ℓですべて済ませられるのであれば良いのでは?』

50ℓなら手頃なアルパインパックが沢山出ているし、軽く、拡張性が高い。雨蓋を外せばそのままアタックザックにできるので重量的にも予算的にも軽量化にもつながる。

そう出来るのであれば理想的だが・・・

『はたして、70ℓのザックに詰めていた雪山装備が、50ℓに収まるもののだろうか?』

と言うのも、我が家は快適性や食事への拘りを重視しているからだ。
特に冬山テント泊で鍋は外せない。寒い静かな夜に、電球色の温かなランタンで照らしたテントの中で、ぐつぐつ煮込んだ鍋をつつきながらゆっくり過ごす時間は至高の極みである。大鍋に生野菜、生肉、暖かに過ごすための防寒着はマストアイテムだ。

また、公共交通機関の移動が多いので、あまり外付けできないと言う制約もある。
そうなると、50ℓザック一つで済ませるのは遠く儚い夢のように感じてしまう。

とは言え我が家はソロ山行ではないし、まだ工夫の余地がありそうな予感もあったので、50リットルにパッキングすることを目標に研究する事にしたのである。

条件としては以下の通りである。
・雪山、アイスクライミングする
・厳冬期テント泊
・ダブルウォールテントで快適に
・公共機関で移動。60mシングルロープをザックに収納。
・アイゼンケース、ヘルメットの外付けは可。
・鍋料理は贅沢に。妥協しない
・暖かく快適に
・装備は特に買い替えない

なかなかワガママな条件である。

—————

いや、決して勝算がなかったわけではない。以前、パタゴニアの製品動画を観ていたときに、
『ひょっとして』
と思うところがあったのだ。
その動画はクライマーが、30ℓのザックの解説をする内容だった。

『僕は一泊のクライミングトリップをするときは、この30ℓのパックがちょうど良いんだよね。ジャケット、ギア・・・、シューズ・・と、ドンドン入れればいいのさ』

と、装備を裸のまま、ぎゅうぎゅうと、おもむろに突っ込んでゆくのである。

『このオッサン、何て雑なパッキングをするのだろうか?』

と思ったが、結果的に30ℓのザックに一泊のクライミング装備が入ったので何か意味があるはずだ。

普通は、装備を円筒形にする事が多い。収納ケースも丸めて下さいと言わんばかりだ。
これが雪山の装備となると、シュラフとマットなど一つ一つが大きく、長さも違ったり、不定形のモノも多いので、凸凹して、デッドスペースが出来やすい。

私はシュラフなどはコンプレッションバックで圧縮して対策していたが、実は頑張って圧縮すればするほど硬くて丸い物体となり、全く変形しなくなるため、逆に装備同士の隙間ができてしまっていた。

つまり、パタゴニアのオッサンは、荷物を裸で押し込む事で、デッドスペースができにくいようにしていたのだ!

『荷物を小分けにしない方がデッドスペースができにくい』

これは勝利への道筋となりそうだ。

しかしシュラフやダウンジャケットは防水に不安があるので裸で入れるのは避けたい。

一瞬
『50ℓで済ませてしまう作戦』
が遠のきかける。しかし諦めてはならない。

何かないかと、UL系の文献を漁っていたところ、防水スタッフバッグで荷物を整形するというアイデアがあった。荷物を四角く圧縮したり、平くしてしまえば、デッドスペースができないと言うロジックである。

早速、家にある色々な防水スタッフでテストしてみたところ、透湿性素材の使われていない普通の防水サックが、空気を抜く事で、真空状態を作る事ができて、粘土のように自由に形を変えることができる事がわかった。

透湿性素材を使った高級?な防水サックは空気を抜きやすい反面、閉じた後、空気が戻ってしまい、円筒形になるのでNGだった。

すなわち
『パタゴニア式』と『真空整形』を組み合わせれば、デッドスペースが無くなり、50ℓのザックに装備が収まる可能性が見えてきた。
そして、早速シミュレーションしてみたのである。

—————

・シュラフを入れる防水サックは大きめのものを用意し、ダウンパンツ、象足、着替えと就寝関係の装備をまとめて入れ、『真空整形』する。

・エア注入式のスリーピングマットは丸めず、ザックの大きさに合わせて平たく折りたたみ『板状』にする。

・ロープは『パタゴニア式』で、ザックの形に広がるように裸のまま入れる

・グローブや予備のグローブ、バラクラバ、ツェルトなど、アタックに使う装備は『パタゴニア式』で一つの袋にまとめ、圧縮せずにふわっとしておき、四角くなるようにパッキングしたアイススクリューの隙間に詰める。

・今まで別々にしていた鍋と食料は、『パタゴニア式』に同じ袋にいれ、丸い鍋の隙間に食材などを詰め、デッドスペースを無くす。

・ビレイ用の極厚のダウンジャケットは、シュラフと同じく、『真空整形』で、正面の大型のポケットに収納できるように『板状』に伸ばした。

さて、整形が完成した装備をパッキングするイメージで積み上げてみたところ、大体50cmくらいの高さになった。ちょうど背面長くらい。ザックの拡張をしなくても良いくらいだ。

残りのすぐ取り出す小物類は雨蓋や、ザック上部に入れ、アイゼンやヘルメットは外付けすれば良い。

『これは・・・行けそうな気がする』

早速50リットルクラスのザックを試しに行き、そして注文。アイゼンやアックスの外付けがしやすく、拡張性のある、ほどほどに軽量でバランスの良いアルパインザックを選んだ。

いざ、ザックが届いてパッキングしてみると・・・

『入った!!!』

見事50リットルのザックにパッキングすることができたのである。

こんな方法は全く知らなかった。特にシュラフとマットのデッドスペースが改善されたのが大きい。これなら70ℓのザックを買わずとも、良さそうである。
荷物も2キロほど軽くなり、お金も節約できた。

『50ℓで済ませてしまう作戦』は、大成功を収めたのである。

だがしかし・・・
ここで致命的な問題に気づいてしまったのだ。

実は、ここのところボルダリングやクライミングばかりやっていて、全く登山をしていなかったのだ‼︎
((((;゚Д゚)))))))

このままだと、テント場に辿り着く前にバテてしまう。最早軽量化どころの話ではない。

『冬に向けて、トレーニングをしなければ』
と思う今日この頃である。



装備の軽量化の話
https://www.yamareco.com/modules/diary/36225-detail-294624

※動画再生時間:2分30秒ほど
2人パーティでテントや一部ガチャはパートナーと装備が分担される前提となります。また、アックスやスコップ、ヘルメットは公共機関の移動中は別のバックでの手持ちの想定となります。



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コメント

昔から"パタゴニア式”です。
シュラフは緩めの袋に足の方から順次適当に詰め、着替等を入れた袋とともに45〜50Lのゴミ袋(防水スタッフバッグなんて高価なものは使いません)にいれてザックのなかに、食料、食器、テント、登攀用具の順に適当にザックに入れ、ジャケットやカッパを隙間に押し込んでザックを整形。ザイルがあるなら入れて、行動食や水はその上に、予備手袋、ニット帽子はそのあたりに入れるか雨蓋のポケットに。
そんな感じでやってました。

この方式はシュラフが他の荷物の重さで潰れて隙間なく詰まるし、ジャケット類でザックの凸凹が埋まってシルエットがすっきりして良いのです。
難点は、ラーメンやクラッカー類は粉々、パンはぺちゃんこになって美味そうな食事にならない事ですね。
2022/9/20 13:27
guchiさんこんばんは!

パタゴニア式は、ヒマラヤ登攀をやられるような方もやっている、やり方のようですね!

雑誌とかでもあまり取り上げられず、登山だけだと、そこまで軽量化しなくても、持てるので、最近登攀の機会が出てくるまで、試そうと思う機会もありませんでした。

学生時代は、見てくれを気にしなかったものの、パートナーが女性ということから、ワイルドなパッキングがしにくい今日のこの頃ですが(笑)

食材が潰れるの覚悟で、初めからヤマザキの小さい5個入りのアンパンを潰して持っていくとか、聞いたことがあり、我が家も真それはアンパンがモナカになるくらいだろうと、許可が降りて、似してパンを握りつぶしたことあります。
2022/9/20 18:05
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