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トレッキングポールを併用するため、短めが流行だとか、曲がったタイプの方がピックとシャフトの両方が雪面に刺さりやすくて安全だとか、いろいろ選び方が紹介されているが、それでも選択肢は多い。
重量や特徴を手掛かりにカタログで目星をつけ、いざ店でモノを持ってみると・・・
『外国人はどれだけ手がデカいんだ!』
と、手に合わないなんてこともある。
実はあまり差がないのかもしれないが、自分に合った一本を選ぼうとこだわると、決定打が見えにくくなるように思う。
ある日、バリエーション用のピッケルを目的に、新宿の山道具屋のピッケルコーナーに物色しに行くと、同じくピッケルを物色している若者がいた。
きっと彼もどれを選ぶか迷っているにちがいない。はじめはそう思ったが、やがて、お互いそれぞれ違う悩みを抱えていたことがわかった。
彼は
『すみませーん』
と店員を捕まえた。
そして、店員に驚くべき質問をしたのである。
『酒の呑めるピッケルはどれでしょう?』
『え””ーーーーーーーーっ!』
((((;゚Д゚)))))))
ピッケルとは、命を預けるような雪山装備であり、山やの魂ともいえるモノである。それを酒が呑めるか呑めないかで選ぶなど、タイヘンけしからんことだ。これは店員に何かキツく言われるのではないか?
だが、店員の反応は違った。
『それは、こちらになります。』
と、”酒の呑める一本”を、迷うことなくサッと取り出したのである。
『えっ⁉間違ってるのは自分の方⁉』
((((;゚Д゚)))))))
しかも、そのピッケルは山でよくみかける
『スタンダードな黄色いグリベル』
であった。
オールチタン性のミゾーでもスペシャルな木製のピッケルでもない。わたしにはそれで酒が呑めるようには到底見えなかった。
そして店員は
『これは、こうこう特徴があって・・・』
と、ピッケルの性能をひとつづつ説明し出した。
若者は
『ほうほう、なるほど、なるほど〜』
と相槌を打つ。
はたまたから見ると普通のピッケルの説明のやりとりにしか聞こえない。
きっと 2人の前にはエア・カウンターがあり、エア・ビールを片手に、そのピッケルについて語り合ってるのだろう。
ピッケルで酒を呑むことをしないであろう私には、その時は彼らの気持ちは到底分からなかった。
さて2年後、ドコでナニを間違えたのだろうか?私はアイスクライミングに夢中になっていた。
アイスクライミングにはアイスアックスが必要だが、アックスは研ぐ・砥がないで刺さりが大分違ってくるので、使用前に砥がねばならない。
私は刃物を研ぐのが好きである。と言うと、漫画日本昔話に出てくる夜な夜な包丁を研ぐヤマンバみたいだが、『ここはもう少し薄くした方が・・・』とか考えながら自分好みに研いでゆくのは愉しいし、研ぎ上げたキッサキは、自分に馴染んでいく感じがあって良い感じだ。
気がつけば、アックス の先端の研ぎ具合を見ながら、それをおかずにごはんを食べてる自分がいた。
そのときピッケルで酒を呑む気持ちが、チョッピリ分かったような気がした。
cajaroaさん こんにちは
もしかして、この日記ってクイズですか?
『酒の呑めるピッケル』って何のこっちゃと思ったのですが...
氷を砕くことも出来るピッケル → 砕いた氷でオンザロックにする。
→ 『スタンダードな黄色いグリベル』※ →
日記後半のアイスアックスに繋がっている。 ってことでしょうか
※
https://yamahack.com/3874
tuchyさん、こんにちは
これは実話で、店内の発話も書いた通りなのですが、酒の呑めるピッケルが分からないと、うまく伝わらないですよね。すみません。
酒の呑めるピッケルって、ギア好きの方の所有欲を満たす、嗜好性の高いピッケルの意です。
相棒感を感じるとか、部屋に飾って置きたくなるとか、ピッケルを持ってニヤニヤしてしまうとか、人によっては本当にピッケルを持って、愛でながら、酒を呑む人もいるのかもしれません。
普通、嗜好性だけでなかなかピッケルを選びませんが、彼はあのような質問をしたので仰天。店員もそれに応えたのでさらに仰天でした。
店員が取り出したのは、まさにリンクを貼っていただいたグリベルのエアテックエボリューション。ブラックダイヤモンドやペツルのような機能性を重視したものに比べると、グリベルの方が、デザインにやや色気があるようにも思えますが、スタンダードなラインです。どうなんでしょう?呑めますかね(笑)
多分ピッケルだから、こういう話が出てくるのでしょうね。ザックや雨具では呑めなさそう。ガスカートリッジや救急キットで呑むのはハードルが高いです。
雑誌でホーボージュンさんが、自分はツェルトで飲めるとか、ライトアンドファストの山用品を扱うハイカーズデポの店主なら、チタン製の軽量ペグでも呑めるはずだと言ってました(笑)
私は研いだアックスのキッサキなら呑めるかも(笑)
店員としても、変な基準では売れないので、標準的なモノを勧めつつ、お互い漫才をしている感じだったのではと思います。
なるほどね〜 実話ってのがビックリですが...
ピッケルって山屋にとっては、そういう重要というか愛着が沸くような存在なんですね。
ウォルター・ウェストンがガイドの上條嘉門次に友情の証としてピッケルを送ったという話は知ってましたが...
こんな記事もありました。酷いスタイルなのにピッケルだけは名品を持ちたがったそうです。
https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-2342600.html
私はピッケルを使う様な山行はしていないので持っていません。
眺めながら酒を呑める物って何かな〜と考えましたが、あまり思い当たりませんでした。
カメラ好きの方は、カメラを眺めながら呑めるかも知れませんね。
下駄と草鞋ってすごいですね。面白いです。昔はアイゼンが良くなかったことや、クライミング 技術がまだ発展してなかったので、もう少しピッケルの役割があったのかもしれません。また武器っぽい風貌にも愛着を感じるのかもしれませんね。
現代だと、アイゼンの性能が上がったことで、ピック(鎌)の部分ってあまり使わないので、普通の雪山だとバランス棒みたいな位置づけです。アイスアックスの場合はパフォーマンスに影響するので、エンジン性能的な部分がありますが、ピッケルの場合、握りやすさと重さが気になるくらいで、実用上それ以上の差はあるのかな?という感じもします。
お話を聞いて思い出しましたが、ピオレドールは、フランス語で金のピッケルでしたっけ。伝統的なところもあるのかもしれませんね。
(^^)cajaroaさんこんにちは。
今頃すいません。
“酒の呑めるピッケル”の意味を私が理解したところによると、
そういうものを自分で選ばず店員に聞くのはなんか違うのではないか?
と思うのですが、どうでしょう?
Imoneeさんこんにちは
おおお、たしかに・・・!
いわれてみれば、変ですね。
これって、好○○荘での出来事だったので、その辺りから推測するに・・・
ひょっとすると、選ぶ目的もあったが、若者は店員と語らいたかった、という目的もあったのかもしれません。よく、店内で店員とずっと喋ってる常連の山好きのおじさんみたいに。
にしても、そういう切り口でいきなり質問しないようには思いますが。
Imoneeさんの話の筋的に、店員は
「わかってねーなー、そういうのは手前の肌で感じて選ぶものよ」
「使い込んでいくうちに、シャフトの傷跡で飲めるようになっていくものよ」
的な感じで返して欲しかった気も。(笑)
ちょっと若い店員だったから無理だったのかな?
いずれにせよ
モ○○ルや、石○ス○ーツでは
絶対に起こり得ない話だと思います。
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