実は今日微妙に落ち込むことがありました
お客様が当館所蔵の資料の複写を御依頼されました｡
資料は戦前の絵本と漫画でした｡
今日の問題は､絵を描かれた方が亡くなられてからまだ50年過ぎていないことから始まりました｡(著作権保護期間内と著者といわれます｡)
著作権法の31条(図書館等における複製)に｢著作権保護期間内の著作物は一部分しか複写できない｣とあります｡一部分は｢半分を超えない程度｣という解釈がなされています｡従って著作物の半分までしか複写できません｡
そして､著作物が絵の場合､｢同一性保持権｣(20条)という問題が生じます｡
例えば絵は一枚でひとつの著作物になります｡もしこの一枚が上半分ないし､下半分で切れてしまうと､絵を描いた人は一枚を全体の作品として表しているのに､その意図に沿わないことになってしまいます｡
先の問題に立ち返ると､
�｜�作者が亡くなって50年たっていないと､著作権法上は｢半分を超えない程度｣しか複写できないことになります｡
�△發軍┐両豺腓世醗賈腓糧省�しか複写できません｡しかし｢同一性保持権｣が保てなくなるので実質複写することは不可能になってしまいます｡
私の勤務先の図書館では､絵本の挿絵も1点ごとにひとつの著作物とし､漫画の一コマの絵もひとつの著作物とみなさせていただいております｡従って亡くなられてから５０年過ぎていらっしゃらない著作者の絵は複写できないとお断りしました｡
(10年以上前に文化庁の著作権課に問い合わせをした時の回答に基づいての見解でした｡)
お客様は絵本､漫画は絵が数点あっても､ひとつの物語の流れがあるから､全体で一つの著作物だから､半分は複写できるのではないか､その考え方には納得できないとおっしゃられました｡
再度､文化庁著作権課に問い合わせをしました｡
結論は､著作権法には｢一部分の複写が可能｣であることと､｢同一性保持権｣のことしか記述していないので､各図書館で判断してくださいとのことでした｡
お客様も､他の公共図書館様では複写ができないと言われたことはないとおっしゃられました｡先の文化庁の回答を申し上げると､今後どうされるのかと尋ねられました｡
｢当館では､著作権保護期間の(没後50年経っていない)著作物は､万が一権利の侵害をしてしまう可能性があるので複写できません｡もし複写を御希望でしたら､著作権者や著作権継承者の方の許諾を得ていただく､あるいは､文化庁の裁定を受けていただければ複写は可能です｡｣と申し上げました｡
お客様は｢わかりました｡私が学会とかでそちらの図書館は著作権保護期間内の絵本や漫画は複写できないと吹聴してもかまいませんね｡｣とおっしゃいました｡
私は｢事実ですから仕方がありません｡｣と返答しました｡
なんだかちょっとへこんで､疲れてしまいました
でも日記に書いて頭が少し整理できました｡
読んでくださった方わけがわからないと思いますがすみません<(_ _)>
