登山道の整備は、常日頃より、心掛けて来ましたが、2018年の台風21号に依る、倒木被害後の惨状を見、その倒木処理を実際に、行ってみて、感じた事を、2018年が暮れようとしている今、少し記したいと思いました。
日本の家庭で、エネルギー源として、薪・木炭が多く使用されていた頃には、山里では、常に、炭焼きの煙があちこちで、立ち昇っていました。山仕事用の山道として、谷筋の道・尾根筋の道、それを繋ぐトラバース道と、多くの山道が網の目の様に、山々の中に張り巡らされていました。長い年月を掛けて、山里の人々が、コツコツと作り上げ、手入れをされて来たものです。
地理院地図を見ると、実際に登山道として、使用されているもの以外に、破線の山道として記載されていながら、現地に参ってみると、最早、藪に戻り、通る事を断念せざるを得ない状態のものも多くあります。何故、藪(自然の状態)に、戻ってしまったのでしょうか?
現在では、里山で、薪や小木の採取を行わなくなりました。又、炭窯での、木炭の焼成も行なわれ無くなりました。植林された杉や桧、松等の木材も、国外の木材との価格競争に敗れ、その手入れの為に、山に入る山里の人々も、殆ど無いと言っても良い状況だと思います。その結果として、長い年月を掛けて、昔の山里の人々が作り上げて来た、網の目の様に張り巡らされていた山道も、殆どが、消滅寸前と言っても、過言では無い状況になっていると思います。
おそらく、縄文時代位から、或いはそれ以前から、営々として、作り、維持されて来た貴重な山道が、生活面で使用されるエネルギー源の変化と云う、生活様式の急激な変遷に依って、消え去ろうとしています。時代の流れとは言え、日本列島に於ける、長い歴史を持つ里山の山道が、消滅して行くのは、悲しい事です。
山道を生業の為に、手入れされる方々がいなくなったと思われる現在、これからは、我々、山登りを趣味とする者が、昔の人々の汗の結晶とも言うべき山道の僅かな部分でも、維持・保存すべく、整備をしていかなければならない時代になって来ていると感じています。
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