毛猛山−前毛猛山 (ツエルト泊周回)


- GPS
- 31:05
- 距離
- 22.3km
- 登り
- 1,935m
- 下り
- 1,939m
コースタイム
- 山行
- 9:38
- 休憩
- 0:05
- 合計
- 9:43
天候 | 1.晴れのち雨と雪 2.快晴 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2017年04月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
小雪崩沢2号スノーシェッド〜足沢山 只見線の鉄橋を渡り尾根に取り付く。雪はほとんどなく尾根筋には濃い踏み跡があり、イワウチワの花畑となっていた。送電線を見上げながら鉄塔を目指し、p711までは約1時間で着。足沢山までは若干の残雪があるも尾根の踏み跡が歩きやすい。背後に守門・浅草の山容を背負い、C930の尾根分岐に乗ると太郎助山が顔を覗かせる。足沢山直下は残雪を拾い山頂に到着、ここまで2時間10分。かなり歩かれている印象の尾根道である。 足沢山〜太郎助山 足沢山を越えると残雪箇所・積雪ともに一気に増えてくる。そのため雪上を気持ちよく歩けるか、と思うもそういう訳にはいかない。同時に尾根の藪も少しずつ濃くなるがまだ歩き辛くはない。結果として雪か藪かで迷うケースが出てくる。残雪に乗るまで、または雪から尾根に戻るために数メートル斜面の登り下りを必要とすることがある。さらにしっかりとした雪上に見えても落とし穴が多数あり、いきなり目前の雪がすっぱり切れ落ちて藪に戻ることを余儀なくさせる。私は尾根歩きが安心できる(というか藪が好き)なこともあり、時間は要するが着実に歩みを進めた。この辺りは年度による降雪、歩く時期、残雪歩きのスキルや好みで意見が分かれてくると思う。それでも太郎助山の直下では安定した雪上歩きをたっぷり楽しんで5時間ちょっとで山頂着。おなじみの三連ピークを望みながらしばしの休憩。前日購入のピン長靴が右足のみ水漏れしている。 太郎助山〜毛猛山 この区間は歩ける残雪とそれ以外が明瞭であるためにそれほどルート取りに迷うことはない。ただ藪が徐々に濃くなってくるために距離だけでの時間判断は予想が難しくなる。地形図通りの緩やかなアップダウンだが場合により崩れた雪を避けてのへつり部を越えるため注意が必要。毛猛山の北西尾根のみ若干の急斜に見えるが雪が緩んでいればそれほどの危険は感じない。テン泊後の朝方ピークハントであればアイゼンの使用をお薦めしたい。ただ南西の斜面に雪が残っており活用しながら巻いていくと背丈ほどの激笹藪が出てくる。大人しく尾根を辿った方が登り易いかもしれないがむしろ毛猛山に来た充実感を十分に与えてくれる。山頂には8時間弱で到着。ものの数分で降雨に始まり、暴風雪と続いた。ここまでは主観で残雪:尾根道が6:4といったところ。 毛猛山〜前毛猛山 毛猛山の山頂を越えた東斜面は豊富な残雪に覆われている。時に突風が突き上げてくる。この日は悪天候により見通しが悪くコンパスを用いて進路を探った。前毛猛への尾根上には残雪の中から木々が頭を出しているために目印にして下ることが出来る。P1268を越えると尾根の雪はほぼ落ちており灌木の藪道になる。右手には崩れた残雪のブロックが数メートルの高さで口を開ける。藪はそれほど濃くはないがガレた細尾根や岩場が点在している。 P1176からP1001、また前毛猛山へは半分以上が残雪を拾えたが毛猛山への藪に比べて幾分濃い。それでも踏み跡はそれなりに付いており漕ぐにはちょうど良いくらい。最鞍部周辺は雪が豊富に残っており幕営地には最適と言える。スコップで掘ったような雪洞があった。前毛猛山の手前で藪に戻りひと漕ぎすると山頂の三角点に辿り着く。ここまでは残雪:藪道が7:3程度。 前毛猛山〜六十里トンネル こちらは前毛猛山までと変わり残雪はごく一部、ほぼ藪漕ぎの区間となる。細尾根には灌木がせり出しており、手掛かりを握って慎重に進む。なだらかな登り下りが続くも背や腰高ほどの藪を掻き分けるため体力勝負。右手に田子倉湖を眺めながら左手には国道が見えてくる。P962から六十里トンネル西口へと下る。ここはそこそこ歩かれているようで急尾根でも安心して下ることが出来た。右手に残雪があったが斜面が急で、どこかで詰むのも困るために真面目に尾根を下る。最後に雪斜面に乗り半ば滑り落ちる格好でトンネル入り口に降り立った。前毛猛より下山までは残雪:藪漕ぎ2:8、藪好きな方にはお薦め。 ※残雪と藪の具合により難易度に差が出そうです。 |
写真
感想
毎度のトイレ都合で道の駅いりひろせを5:30に出発する。6時前に小雪崩沢第二SSに到着。予定より30分遅れで取り付いた。
歩き始めてスグそこそこの斜度を登る。足沢山直下の残雪歩きで前日に購入したピン付き長靴の右足が水漏れしている。足汗かと思ったが左はなんともない。しょんぼりしながら歩を進める。足沢山から太郎助山を眺めるとP1126へ続く尾根が美しい。チャンスがあればP864経由で周回したいなぁ、、、妄想が膨らむ。
太郎助山までは藪と残雪を交互に進み、直下は残雪の上を気持ち良く歩いて登り切る。すでに日差しが強く水の消費が激しい。山頂からはネット記録でもおなじみの百字ヶ岳、中岳、毛猛山が連なりついにここまで来たか、とにやける。桧岳の北斜面は崖が切れ落ちており、地形図で見る以上に難しそうに見えた。またピストンの時にでもお邪魔したい。
百字ヶ岳に向かうとここまでに比べて藪も濃くなってきたが、それでも予想よりは薄かった。百字、中岳とこなすと毛猛山への急尾根には残雪が張りついている。このために持ってきたアイゼンを装着するもコバが合わずに踵が浮いてしまう。つま先で引っかけるようにして進む、なんたる誤算。それでも直下に辿り着いて最後の笹薮を漕ぎ進む。周囲は薄暗くなり登頂祝福ムードには縁遠かった。ポツポツと小雨が降って来た。
毛猛山山頂には二畳ほどの空き地と三角点のみ。周囲の素晴らしい景色だけで十分だった。用意していた山頂チリトマを諦めてさっさと記念撮影する。徐々に雨が強くなる。守門・浅草方面の空から真っ黒な雲が迫ってくる。一度南東斜面で暴風雨をやり過ごし、駆けるように前毛猛方面に下った。
時間的にはP1176を越えた北尾根で幕にしようと考えていたが、雨風に雪が交じり始めて早いうちに適地を探し始めた。それでもなるべく進んでおきたい。雨雪で若干濡れたもののここで上下の雨具を着た。水漏れの右足はすでに冷たくなり感覚が無い。灌木の藪尾根を一心に漕ぎ進めているうちにP1268を越えて稜線を外してしまう。薄い踏み跡、枝には傷があり人が歩いた気配に安心し過ぎていた。左手にはあるはずの無い尾根を確認して引き返した。本線に戻って先ほどいた右尾根を見ると先が崖になっている。早い段階で気付いたことに安堵しつつ適地があったら幕営しようと決めた。時間と体力的には先に進めそうであったが雨により岩場や灌木の手掛かりが心許ない。予定よりも手前の1150m地点に雨の中でツエルトを設営した。
ツエルトの中で着替えて祝杯をあげた。右足からの冷えが身体に巡ってきたが、短時間でも毛猛山の山頂に立てた実感でぬるいビールが美味い。ガスを使うのが億劫になりおでんは温めずにそのまま頬張った。雨と風がツエルトに打ちつけてくる。時折遠くから雷音が聞こえてヒヤヒヤするも20時過ぎに雨はやんだ。小さいマットのみを腰に当てて、シュラフにカバーを被せる。上に化繊、下はダウンパンツを着込んで包まるも身体が冷えて眠りに就けない。シュラフを薄めにしたこと、マットを省いたことが悔やまれる。1時間おきに目が覚めてしまいそのたびに乾いた喉を潤し水が減っていく。断片的に3.4時間ほど眠っただろうか、3時過ぎには朝食とした。食後にガスで靴の中敷きを乾かして2日目の行程に備えた。
田子倉湖の南にある横山の左手より陽が昇る。少しずつ身体が温まるのを感じる。予定より1〜2時間ほど手前で幕としたために帰りの行程は長い。5時に出発とした。歩き始めから藪が濃くザックとサイドに差したポールが引っ掛かってしまう。それでも前日よりも脚が軽く藪漕ぎの推進力は高い。藪の1泊山行は五兵衛小屋−光明山の周回で目論見が外れて痛い目に合っている。さらに六十里トンネルから駐車地点までのロードが残っているために出来るだけ早い下山を念頭に置いた。
細尾根が多く時間が掛かる箇所はあるものの拾える残雪が豊富だった。予想通りP1176を越えた緩やかな尾根上には幕営に最適な雪解けの平地が広がっていた。きっと枯葉のベッドでフカフカだったのだろうな、と恨めしいことを考えて先に進む。P1001の前にはたっぷりの残雪があり、ピークを越えた最鞍部は一面の雪原が広がっていた。この辺でいよいよ水が無くなりペットボトル3本に雪を詰め込んで自然に解かすようにした。残雪はあるが斜度が出るに連れて難しい割れ方をしている。無理に乗って行くと藪に復帰するのに手間取るために、先が見越せる残雪以外は藪尾根に乗る。振り向けば燧ヶ岳が見えた。空気が澄んでいる。雪上と尾根を交互に進み、濃い藪を登り切ると前毛猛山の三角点に到着した。
前毛猛山からの景色は素晴らしいものだった。前日登ったピークを見上げてチリトマの調理にかかる。喉が渇くのは十分想像出来たがここで食べない手は無かった。毛猛の山頂では食べられなかったが毛猛山を眺めてのチリトマも最高に美味だった。水が全く足りずまたもペットボトル3本を雪一杯にしたがこれが誤算だった。時間を掛けてでもきちんと水にしておけば良かったとすぐに後悔する。20分ほどゆっくりしてから下山にかかった。
前毛猛山から浅草岳への稜線を眺めると一見して藪尾根が多く、行ってみるとその通りに藪っていた。陽は高く9時過ぎにして猛烈に暑い。チリトマ効果も相まってひと漕ぎごとに喉が渇いて来る。それでもバテ防止に少しずつ水を消費しながら漕ぎ進む。何度か雪解けした水をペットボトルに戻すために藪の中でしゃがむと、お馴染みのマダニが服にズボンに這っていた。P962に到着。ここから200mほど下ると国道に着いてしまう。この山行が終わると思うと何だか寂しい気持ちになった。(ほんとは252号のロードが核心部なんだけど。)
最後の尾根を慎重に下り、六十里トンネルの西側に辿り着いた。何とも言えない充実感が堪らない。2日間を通して人と遭うことはなかった。自撮りしていると小千谷のオジサマがトンネルから徒歩で出て来る。挨拶を交わして下山した旨を伝えると「駐車している所まで送ろうかい?」と仰っていただいた。とても嬉しいご提案だったが折角なので国道を歩いて下りたいと思い、丁重に御礼を申し上げて遠慮させていただいた。国道を下り始めると左右の路肩にふきのとうがこれでもかと咲いている。ほとんどが化けていたが中には良い頃合いの物もあり、ちょうど摘んでいるご家族も居られた。各スノーシェッドには雪解け水の雨どいがあり、大量の水が流れ出ていた。ボトリングして飲んだ水はキンキンに冷えて最高であった。
5つ目のスノーシェッドを越えた所で正面から登って来た車が止まった。どうやら私があまりにもグッタリと歩いていたので心配になり(笑、わざわざ引き返して下さったとのこと。長岡のご夫妻は「どうせだからね、どうぞどうぞ」と仰っていただき、今度はご厚意に甘えることにした。車中では奥様が山菜や田中陽希さんの話しをしていただき楽しかった。取付き点の駐車場に到着する。何か御礼をしたい旨を伝えると、「それならこれから山古志の木篭に行くので着いてらっしゃいな」と言われる、それが御礼で良いですよと。ご夫妻の車を追いかけて山古志の木篭集落に到着。公民館ではご夫妻のたくさんのお仲間がイベントをされていた。そこで今度はたっぷりの白飯に牛汁・甘酒、山菜フルコースをご馳走になってしまった。ご夫妻や会の皆さまに御礼を申し上げて、再訪を約束し帰途に着いた。
毛猛山頂での滞在は悪天により短時間であったが、大鳥・未丈へのうねるような尾根の美しさは忘れることができない。
前毛猛山山頂より
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