【遠征】聖・上河内・茶臼・仁田・兎(ブロッケン現象とライチョウ)
- GPS
- 30:42
- 距離
- 37.5km
- 登り
- 4,639m
- 下り
- 4,433m
コースタイム
- 山行
- 5:38
- 休憩
- 0:06
- 合計
- 5:44
- 山行
- 8:54
- 休憩
- 1:16
- 合計
- 10:10
- 山行
- 9:21
- 休憩
- 0:41
- 合計
- 10:02
天候 | 〔1日目〕晴れ後曇り、〔2日目〕晴れ後曇り、〔3日目〕曇り後雨、〔4日目〕曇り後晴れ |
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過去天気図(気象庁) | 2017年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
〔4日目〕聖沢登山口を同協会バスで10:00発、11:00畑薙夏期臨時駐車場着 |
コース状況/ 危険箇所等 |
〔1日目〕畑薙大吊橋〜茶臼小屋(泊) … 急登の連続、危険箇所なし、吊り橋数回あり 〔2日目〕茶臼小屋〜茶臼岳〜仁田岳〜茶臼岳(戻り)〜茶臼小屋(戻り)〜上河内岳〜聖平小屋(泊) … 仁田岳間の往復はハイキング、上河内岳までは見上げると高いが距離あるのでキツさはそれ程でもない、聖平小屋までは下りが長い、全体として危険箇所なし 〔3日目〕聖平小屋〜聖岳〜兎岳〜聖岳(戻り)〜聖平小屋(戻り)(泊) … 小聖岳までの樹林帯の登りがキツい、聖岳山頂まではザレ場→落石注意・ヘルメット持参推奨、聖岳西面下り後半は勾配急、全体としてはたまに道細く片側が切れ落ちている箇所あり危険 〔4日目〕聖平小屋〜聖沢登山口 … ほとんど下り、ぬかるみ多し、2ヶ所絶景ポイントあるが足下は断崖絶壁で超危険 |
その他周辺情報 | 登山後は、赤石温泉白樺荘の温泉にて。510円。内風呂1、露天風呂1。とろっとしたお湯で良い。なにより3日間風呂に入っていないので、超気持ちイイ! 食事も、そのまま白樺荘の食事処らいちょうにて。ヤマメ丼(味噌汁・サラダ付き)1030円。名物なのは分かるが、ヤマメ甘露煮は甘いので、丼には向いてないと思う。お薦めはしない |
写真
感想
百名山の聖岳へ。
週末登山で、地元の三ツ瀬明神山や本宮山などから見ていた。特に冬、上河内岳などと連なり、白い秀麗な姿には、心惹かれた。
せっかく行くなら、と、二百名山の上河内岳、三百名山の茶臼岳とセットで三泊四日の縦走コースとした(掲載 三百名山の)。
同コースを二泊三日で踏破するのも紹介されていた(掲載 三百名山 下巻)が、不安があったので、余裕を持って行動できる三泊四日とした。
出発前になって、天気予報で2日目(8/12)が時々雨となり、山行自体のキャンセルも考えたが、行けそうだったら行ってみようと思い返し、出発した。
なお、前日8/10の23:45頃、自宅を出発した。
〔1日目〕
【畑薙駐車場まで】
新東名高速道路で金谷島田ICで下りる。道の駅川湯温泉に2:00着。時間には余裕があったので、30分ほど休憩し、再出発。この時点でだいぶ雨が降っていた。大井川鐵道 千頭駅を少し行ったくらいの所で、道路の真ん中でライトを付けた車が1台停まっていた。見ると、その先に「通行止め」の大きな標識!マジか!仕方なく、一旦362号線を戻って、大井川小学校・湯ノ島温泉を経由する60号線ルートで北上することに。ナビでは、6:45の畑薙駐車場発の井川観光協会バスには間に合わない時間で、かなり焦って運転する。
結局、6:40に白樺荘前で観光協会バスの運転手さんに会い、今から畑薙駐車場まで行けば6:45のバスに乗れると言われ、急いで畑薙駐車場へ。しかし、畑薙駐車場に駐めて、バス乗り場で待っていても、観光協会バスは来ない。運転手さん間の連携ミスらしく、結局、乗れたのは、9:00だった。
ちゃんと観光協会に道路の通行止め等の情報を確認しておかなかったのが良くなかったと反省。
なお、聖→上河内→茶臼の順で左回りの予定だったが、2日目(8/12)に岩稜帯の聖に登るのが不安だったので、茶臼→上河内→聖の順の右回りルートに変更し、1泊目の聖平小屋と3泊目の茶臼小屋をチェンジしてもらった。
【畑薙大吊り橋〜ウソッコ沢小屋】
9:15 畑薙大吊り橋でバス下車(6名中1名)。ここからいよいよ出発だ。
大吊り橋は、なかなか距離があり、出だしでこれはけっこう怖い。でも、下の湖は、(少し雨で濁ってはいるが)コバルトブルーで美しい。
対岸に着き、急登開始。基本的に、ずっと登り。荷物の重さにもまだ慣れておらず、身体もまだ試運転中なので、汗が出る。気温は24℃。畑薙の標高が1,080mだから、気温も高い。暑いよ…。ただ、先月の仙丈ヶ岳では、気温は低かった(15℃前後)ものの、標高が高く、少し高山病っぽかったので、その点は症状らしきものもなく、安心できる。
畑薙大吊り橋から茶臼方面へ登るルート(右回りルート)だと、登りの標高差が左回りルートより大きく、体力的にキツいことは分かっていたが、天気予報に従い、2日目の聖での雨を回避した。しかし、ここを登っている時には、さすがにこれで3日目が雨だったら…と弱気になった。
とにかく登り続けて、11:15 ウソッコ沢小屋に到着。
【ウソッコ沢小屋〜茶臼小屋】
その後も登り続けて、横窪沢分岐に到着。この辺りで水が得られる筈だが、地図からはよく分からず、登山道を下りて行き、分岐から見えていた横窪沢小屋に、12:45 到着。
天気はだんだん悪くなってくる。特に樹林帯の中に入ると、暗く、余計に雨が降りそうな感じがする。
その後も登り続ける。疲れも溜まり、荷物の重さに耐えきれなくなってきた頃、お花畑が現れる。ミヤマキンポウゲ、ハクサンフウロ、トモエ など。写真を撮ることに集中し、あと少しの行程を歩く。
15:15 茶臼小屋に到着。
宿泊者はあまりおらず、2階のザコ寝部屋では上の段には3人しかいなかった。合計でも20人くらいか。
夕食を摂り、19時頃就寝。前日10日の17時頃昼寝から起きて、ずっと起きていたので、合計活動時間26時間くらいか。7時間くらい運転して、6時間急坂を登り続けて。長い1日だった。
夕方から降り出した雨は、一時ほどの勢いはないものの、まだ降り続けていた。
〔2日目〕
【茶臼小屋〜茶臼岳】
4:00 起床。3時間おきくらいで起きては寝てを繰り返したが、すごくよく眠れた。かなり身体も楽になった。
昨日洗った服もちゃんと乾いていたので、身支度を整えて、今日はまず茶臼岳にサブザックで登る。
小屋の外に出ると、意外や意外、よく晴れていた。これは期待できる。
4:25 小屋発。稜線まで少し登るが、起き抜けなので、足が重い。すぐに暑くなり、フリース等を脱ぐ。
稜線から茶臼岳が見え、あんなに高い山に登るのかと少し心が折れかけたが、一歩一歩登る。
山頂直下は、大きな岩が多く、岩の間をくぐったり、岩を乗り越えたりする。
5:00 茶臼岳に登頂。下から見ていた時に感じたよりは、だいぶ近かった。
小屋で作ってもらった弁当(朝食)のお稲荷さんを食べながら、下の雲海が少しずつ形を変えていく様を堪能する。
5:25 今日の本番である上河内岳を越えていくルートを考えても、時間がありそうだったので、これから仁田岳に行くことを決め、出発する。
基本的には歩きやすい道。木道も整備されている。ただ、喜望峰付近や仁田岳への登りでは、ハイマツが登山道に張り出していて、前夜の雨がズボンを濡らす。前週8/5に登った鷹ノ巣山で笹の雨がズボンと靴を濡らし、靴の中がジュクジュクになったことを思い出し、ゲイターを小屋に置いてきたことを後悔する。
6:45 仁田岳に登頂。360°の眺望が得られ、素晴らしい!光岳がどれかよく分からなかったが、上河内岳・聖岳はよく見え、きっちり写真に収める。
早々に下山を開始し、元来た道を戻る。8:25 茶臼小屋に到着。
置いていた荷物を詰め直し、8:55 聖平小屋へ向けて、再出発。
テント組(の残り)は、テントを片付けたりしている。
再び上河内岳と茶臼山を結ぶ稜線まで上がる。早朝と荷物の重さが全然違うので、息は上がっているが、曇ってきていて、稜線を抜ける風は少し冷たい。火照った身体には心地良い。
稜線に沿って、歩いて行く。時折、ガレ場はあるが、基本的に歩きやすい道。
途中、ポッカリと広い草原が広がる。トウヤクリンドウ他、花がチラホラと咲いている。写真を撮っているとなかなか進まない。
※ 後から、ここが「亀甲状土」の見られる場所であることに(改めて)気付いた。歩いている時には、地図をちゃんと見ていなくて思い出さなかった。でも、「亀甲状土」がどんなものか分からないので、見ても分からなかったと思う。
この辺りから晴れてきて、草原を抜けた後のお花畑では、かなり暑かった。このお花畑では、シナノ など、数多くの花を見ることができた。
しばらく登って行くと、奇岩竹内門。この辺りは、なんとなく、雰囲気が白山っぽい。
だいぶ曇ってきて、もう少ししたら、降り出すかもしれないという天気。今日は、朝からカッパのズボンは履いたまま動いているから、急に降ってきても慌てはしないが、なんとか天気が保ってほしいなぁ。
いよいよ上河内岳の裾に取り付き、急な登りがスタート。
と、ここで、登山道を少し下りた所で、双眼鏡を持って何か覗き込んでいる男性が。見ていると、こちらに気付かれて、「研究調査中ですー」とのこと。
荷物を下ろして、男性のいる場所に行こうとしたが、下りる道が分からずにいると、男性が登山道の方に戻ってくる。
「ライチョウですか」と聞くと、そうなのだが、足輪がハイマツに隠れて、個体識別ができなかったとのこと。野鳥の会の特別班で、ボランティアで実態調査を継続的に行っているそうだ。
専門的な活動をされている方の話を聞くのは、普段知らない世界を垣間見ることができて、面白い。
登りを再開。あれほど遠くにそびえていた上河内岳も、少しずつ近付いてくる。
11:15 上河内岳の肩に到着。荷物をデポし、草花のある斜面を上がる。
11:25 上河内岳に登頂。雲が広がっていて、眺望は得られない。とはいえ、黒雲、灰色の雲という訳ではなく、白い雲の向こうには晴れ間も見える。時折、聖岳方面にかかっている雲が晴れたが、またすぐに雲に覆われた。
10分ほどで下山開始。
上河内岳の肩から元の稜線に戻って、少し行くと、ライチョウが道に出てきていた。前を歩いていた人がそこを通ろうとするので、ライチョウは逃げる。しかし、人が歩く方がライチョウが逃げるより速いので、ライチョウは必死になって、ヒョコヒョコ走って逃げていた。
結局、そのライチョウは、だいぶ行った先で、道から外れ、茂みに逃げ込んだ。はじめからそうすれば良かったのに…。
写真の岩の上に乗っているライチョウは、茂みの中を元の場所まで戻ってきて、少し安心している筈ですw つがいだったから、たぶん伴侶のいる元の場所に戻りたかったんでしょうね。
稜線を進む。岩稜帯を越えていくと、斜面沿いの登山道脇にお花畑が広がる。
13:04 南岳を通過。
道の脇が切れ落ちた箇所を通って、少しずつ下っていく。
随分下っていくと、 : 今までの森林限界越えから、森の中に入っていく。
植生は、昨日、茶臼小屋まで登った時のような感じ。森の中を下っていく。花はあまりなく、キノコが登山道の脇に時に清楚に、時に毒々しく頭を伸ばしている。
だいぶ下っても、なかなか聖平小屋への分岐に着かない。山と高原地図に載っている時間くらいは下ったと思うが。
14:28 ようやく分岐に到着。もうここからは、木道を行くだけ。自然とスピードが出る。
14:34 聖平小屋に到着。かなり混雑している。
宿泊手続を済ませ、名物のウェルカムポンチを戴く。
外で食べていたら、ノルディック元選手の荻原次晴さんがいた。そう言えば、計画している時にネットで見た気がする。聖岳登山のツアーを主催していたとかだったかな。
15時頃から激しい夕立。明日の天気が心配だが、これだけ降ってくれれば、明日は大丈夫かもしれない。
17時半 夕食。
19時 就寝。
〔3日目〕
最悪だった。
40数名が雑魚寝していた中で、1番いびきの激しい人が左に寝ていて、2番目に激しい人が右に寝ていた。ちょっとウツラウツラしても、すぐに起こされてしまう。
寝ては起きてを繰り返し、午前2時前にもう限界だと起きた。予定では5時頃出発だったが、もう耐えられないので出発しよう。
身支度を整えて、2:40出発。これほど早い時間に出発したことはなかったかもしれない。昨日洗った服が軒並み乾いていなかったので、仕方なく山用ではなく普通の服で。
外の空気は比較的暖かい(生暖かい)。
昨日の雨で草木には雨露が付いているので、カッパを着ていたが、樹林帯の中の登りですぐに熱くなり、上は脱いだ。
樹林帯の中は、どれだけ行けばいいかも分からず、慣れない真っ暗な中だったので、とても長く感じた。
樹林帯を越えると、脇は崖で注意しなければならないが、斜面から上がってくる冷気が火照った身体を冷やしてくれて、心地よかった。
4:09 小聖岳に到着。
この辺りから空が徐々に明るくなってきて、今日がそれほど天気が良くないことが分かる。3日目が天気予報では晴れだったので、わざわざ茶臼岳へキツい登りをしてまで予定を変更したのだが、今回ばかりは裏目に出たか。
ただ、雲が張り出して、山を乗り越えようとしていたり、非常に変化の激しい景色を見ることができた。これはこれで、かな。
しばらくすると、聖岳に取り付く。岩がゴロゴロとしていて、登山道もザレている。
途中、山小屋で昨晩一緒だった人と出会う。もう聖の山頂まで行って、下りてきたという。早いですね、と話しながら、僕も2時に起きてしまってと話したら、今まで聞いたことがないような酷いいびきで眠れなくて、仕方がないから2時起きで出発したとのこと。同じですねと苦笑して、別れた。
しばらく行くと、ライチョウがいた。こちらもつがいのようだ。小さな雛もいる。ただ、7月の仙丈ヶ岳の時のような人なつっこい感じはなく、一生懸命に逃げていた。
長いザレ場の登りを行く。少しずつ空が白んでくる。
だいぶ山頂が近くなった頃、山頂で歓声が上がる。太陽のある明るい方向が一段と明るくなっている。ご来光を見られたという喜びの声かと思い、あと少しを急ぎ登る。
5:15 聖岳に登頂。雲は多いが、確かに、太陽が少し顔を出している。今まで曇りだったから、皆、諦めていたようで、喜んでいる。
風があり、汗が一気に引き、寒いくらい。フリースとカッパの上を着る。
荷物をデポして、奥聖岳へ向かう。
奥聖岳へは、両側が切れ落ちた尾根筋を行く。ある程度幅があるので、危なくはないが、岩を乗り越えていく感じなので、慎重に。
途中、お花畑がある。昨日の雨で花芯まで濡れ、今日の風で大きく揺れている。
5:58 奥聖岳に登頂。三角点は山頂の標識のある更に先にあるので、注意。
また雲ばかりで眺望は得られないので、Uターンして戻る。
6:20 聖岳に戻ると、急に霧が晴れて、目の前に、赤石岳、荒川岳、奥には塩見岳も見える。また、その場にいた皆で歓声を上げ、写真をいっぱい撮る。
ショーは5分ほどで終わり、また白い緞帳が下りる。
今日は、これで小屋に戻っても時間が余ってしまうので、兎岳まで往復することにする。往復4時間プラスされる予定だ。
早速、西側へ下る。
途中、30分くらい下ったところで、また急に晴れてきた。さっきより、赤石岳が大きく見える。南アルプスの雄大な自然の中にいることが実感できる。
少し先に行くと、また霧が出てきた。前を見ると、霧の中に自分の影が浮かんでいて、その周りには虹が!!もしや、これは「ブロッケン現象」では!?
後ろから来た男性は「そうですねぇ。ブロッケン現象ですね。ちょうど真後ろから太陽光が当たっているからね」と。更に後ろから来た初老のご夫婦は「えー!何?何?」、「写真!写真!」と。
昨年の尾瀬では「白い虹」は残念ながら見られなかったが、今年は珍しい気象現象が見られた。
ずっと下っていく。昨日、兎岳に行くことを決めたので、情報がほとんどない。時折霧や雲が晴れて見えるのは、周りの急峻な山々。おそらく兎岳だろうと思われる山も、全容は見えない。下りも急になり、特に岩という岩が紅の箇所では、岩を乗り越えていくので、慎重にならざるを得ない。岩が紅いのは、赤石岳が近いから、同じような地質なんだろうか?
ずうっと下っていく。「聖兎のコル」というのが聖岳と兎岳の間にあるようだが、どこまで行ったらこれに着くのか、全く見えなかった。
7:40頃、ようやく「聖兎のコル」に到着。特に案内板などは立っていなかったが、先行のパーティーが休憩していて、確かにここからは登りで、登山道が山の中へ伸びていた。
兎岳に取り付き、山頂を目指す。登りがキツい所もあるが、長くは続かない。山腹の細い道を巻いていく感じで、意外と下りもある。登山道の傍らや、岩場の斜面には、花が綺麗に咲いている。
霧が濃く、雨も降りそうで、気持ちが焦る。
後半は、登りがキツくなる。山腹を巻いて行く感じから、岩場を直登するようになる。
8:20 兎岳避難小屋のポイントに到着。
8:30 兎岳に登頂。山頂には先行の方が1人。昨日の夕方の雨で濡れたというテントを干しがてら、休憩されていた。
荒川岳の方から来られたそうだ。この兎岳の山頂や往復で会った方は、多くが荒川岳方面から聖・光の縦走を試みていた。自分のように兎に登って、また聖に登り返すというのはあまり想定されていないルートなのか、何故わざわざそんなキツいことを…という反応が多かった。縦走の方がよほどキツいと思うのだが…w
8:55 下山開始。一度、三角点が山頂標識の奥にあることを下りかけてからマップで気付き、山頂に戻ったが、三角点の石標はハイマツの茂みの奥にあり、その茂みはあまり人が通っていないようで、少し進んだが非常に歩きにくく、断念した。
下りでも、晴れたり霧が出たりの天気は変わらず。下り始めは晴れていたが、コルまで下った時には真っ白で(往路もそうだった。コルだからか?)、聖に登り返す時も霧に包まれていた。
聖の後半は、雨がパラパラと降ってきた。往路では履いていたカッパを、晴れていたので兎の山頂で脱いだが、慌てて履き直した。兎からずっと小さなブヨがブンブンしている。往路ではいなかったように思うが、気温が上がり、活動を開始したのか。
雨はパラパラッと来たり、止んだり。こちらも不安定。今日の帰りのことを考えると、濡れたくないので、睡眠不足と体力消耗をねじ込めて、気合いでガシガシと登る。気持ちはガシガシでも、傍目から見たらヘロヘロだったと思うが…。
10:55 聖岳山頂に到着。登りきった時には、思わず声が出た。兎岳登頂もちょうど2時間、聖岳もちょうど2時間だった。
聖岳山頂には多くの人がいた。さきほど兎の避難小屋で会った方もいる。
天候は曇り。眺望はない。雨が心配なので、下山開始。
道は分かっているし、往路とは違い明るいので、ドンドン下る。ザレているので、下りにくいが、無理はせずに、かつ急いで下る。
ライチョウの姿は見えなかった。
11:42 小聖岳を通過。暑いので、カッパの上着は手に持ったまま。
少し行くと、登山道は森に入る。蒸し暑い。
だいぶ下って、薊畑分岐まであと少しという所で、雨が降り始める。今までのようなパラパラとという感じではなく、降り始めから、これは強い降りになるなとはっきり分かる雨だった。カッパの上着を着る。
12:27 薊畑分岐にようやく到着。雨の勢いが強くなってきた。とにかく先を急ぐ。
12:43 聖平小屋に到着。最後は小走りで小屋の軒先に駆け込む感じだった。これだけまともに降られたのは、昨年の尾瀬の笠ヶ岳以来だろうか。
明日下山なので、また、洗っても乾かないことが分かったので、服は洗わず。
明日の行程の確認や、高山植物の本を読んで過ごす。眠くなっても昼寝をしないようにするのが大変だった。
18時頃就寝。
〔4日目〕
【聖平小屋〜滝見台】
4時半頃起床。よく眠れた。良かった。
忘れ物がないように、ゆっくり支度して、5:20 小屋の前のテント場から出発。
聖沢登山口を13時に出発する井川観光協会のバスを頼んだ。余裕だろう。
沢沿いを行く。時折、橋やそのままで川を渡る。
概ね下りなので、体力的には楽だが、登山道に水が流れる所があるので、歩きにくい。
ずっと行って、6:22 崖の上に出る。正に一寸先は空中。絶景だ!落ちないように注意が必要。ずっと下を川が流れていて、その上流は薊畑や小聖岳のようだ。
ここからは、聖岳、奥聖岳も、よく見える。
ここが滝見台だとすれば、今日はかなり早いペースだ。このペースで行けば、聖沢登山口に10時前に着けるんじゃないか!?
(←実は、ここは滝見台ではなかった)
登山道は山腹を行くが、この辺りは、急な登り、急な下りもある。
6:49 滝見台に到着。さっきより少し遠くなったが、聖岳、奥聖岳とあと一つのピークが、よく見える。
【滝見台〜造林小屋跡】
7:08 登山道を急な流れの川が横切っている。
頑張って、なんとか1本前の10時発のバスに乗りたいと思うが、いけるかな…。このバスの時間があるのと、後ろから来るパーティーが、一度道を譲ったが自分達の方が遅いと思うので先に行ってほしいとのことで、先に行くことになったのとで、気持ち的に焦りながらの下山となる。
地図上では造林小屋跡が一つのポイントになっているが、「跡」なのでよく分からない。登山道にたまに置かれている標示柱も、そこがどこなのかを示しておらず、参考にならない。
コースタイムから逆算すると、8時前には造林小屋跡に着いておかないと、10時のバスに間に合わない。
焦りながら、森の中の登山道をどんどん下る。
8:06 造林小屋跡(←この記録を書く段階で判明)を通過。
【造林小屋跡〜聖沢登山口】
お腹が空いたので、歩きながら少し食べて、先を急ぐ。
しかし、なんで3時間も早いバスに乗れそうなんだ!?確かに、1時間ほど余裕を見たとは思うけど、コースタイム通りなら、11時半くらいに着く予定だったと思うけど…。
造林小屋跡からは、少し道が細くなり、急斜面の山腹を巻いていく。
しばらく行くと、また人2人がすれ違えるくらいの道になる。
水の音が聞こえてきて、大吊橋がだいぶ下の方にあるのだと期待させる。長いつづら折れの急坂を下る。
次第に水音が大きくなってきて、ようやく大吊橋に出る。8:40。今日初めてちゃんとしたポイントに出た。バスの時刻にはギリギリだろう。
この山行で幾度となく渡った吊橋もそろそろ最後かなと思いながら、大吊橋を渡る。昨日の雨を集めて、しかも、川の合流地点なのか、別の方からの川もぶつかって、すごい勢いで流れている。
トラバースあり。山腹を巻いていき、途中登りもある。
しばらく行くと、坂は緩やかになるどころか、むしろ急になり、聖沢登山口が近いことを窺わせる。この辺りでようやく10時のバスに間に合うことが確定し、ホッとする。
最後、何故か持病の左膝ではなく、右膝が痛くなったが、それも若干であり、なんとか4日間怪我なく歩ききることができた。
9:40 ようやく聖沢登山口に到着。既に十数名が下山届を出すために列を作っていた。
身体の疲れと、なんとか辿り着けたことの安堵で、若干の放心状態。
10:00 井川観光協会バス出発。途中、畑薙吊橋でツアー客を乗せ、また途中で下ろし、11:00 畑薙第一駐車場着。
今回も素晴らしいレポート有難うございます。
大変そうですが、とても魅力的なコースですね〜!『聖岳』や『光岳』、名前だけでも惹かれます (深田さんの本によると元々ここまで格好いいとは言い難い名前だったのが、スマートに転化したようですね...笑)
ディープ南アルプス、いつか歩いてみたいです〜
コメントありがとうございます。
だいぶ前の記録を、しかも途中で出してしまって、お恥ずかしいです(>_<)
名前のことは知らなかったです。せっかく登ったので、ちょっと調べてみます。
この山行は、今年最大のもので、とても思い出深いものとなりました。
天候を見て、畑薙から入るコース(左回りコース)を取りましたが、天候が問題なくても、だんだん聖に近付いていくという意味では、この周り方は良かったかもしれません。
是非、いつか登ってみて下さい!
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