記録ID: 1398940
全員に公開
積雪期ピークハント/縦走
谷川・武尊
仙ノ倉山 北尾根 〜緊張・強風そして絶景に出会えた冬季ルート〜
2018年03月10日(土) 〜
2018年03月11日(日)


体力度
4
1泊以上が適当
- GPS
- 28:33
- 距離
- 15.1km
- 登り
- 1,625m
- 下り
- 1,208m
コースタイム
1日目
- 山行
- 5:56
- 休憩
- 0:47
- 合計
- 6:43
距離 7.3km
登り 1,088m
下り 26m
6:07
19分
スタート地点(毛渡橋近くのスペース)
6:26
6:34
101分
590m分岐
8:15
8:27
91分
群大仙ノ倉山荘
9:58
10:20
135分
1,182mピーク
12:35
12:40
10分
1,627mピーク
12:50
ビバーク地点
2日目
- 山行
- 4:50
- 休憩
- 0:21
- 合計
- 5:11
距離 7.8km
登り 535m
下り 1,175m
山旅ロガー使用
天候 | 10日 降雪のちホワイトアウト(微風) 11日 快晴(稜線は強風で顔を上げられないほど) |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2018年03月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
仙ノ倉山 北尾根は冬季バリエーションルートです。 目印や案内はありませんので、ルートファインディングが必要です。 また、上越国境の北面なのでラッセルになることが多く、天候も崩れやすいです。 雪の状態によってはかなり緊張するであろう雪壁が2箇所あります。 雪が弛んだタイミングでは、取り付かないほうがいいと思います。 ※今回は固く絞まっていました。 スタートから仙ノ倉山までは、トレース無しでしたが、群大仙ノ倉山荘付近からご一緒してくれた、東京の山岳会4名の方たちと交代でラッセルしたことにより、敗退せずにすみました。 明るく、飾らず、本当にすばらしい方たちでした。この場を借りて、お礼申し上げます。 幕営ポイントは、地形図で見るとシッケイの頭から先が適地に思えますが、強風地帯となるためやむを得ない場合以外は、止めたほうがいいでしょう。 1,520mくらいのコルに、適地あり。 僕は1,627mピークの先の斜面西側に雪洞を作りましたが、整地すれば十分幕営も可能です。 ポイントを箇条書きします。 ■アプローチである毛渡沢沿いの林道は長い上にトレースがないといきなりラッセルで、意外と辛い。トレースが無い場合は、最初からワカン(シュー)歩行がよい。 ■北尾根取り付きは仙ノ倉山荘から橋を1本渡ったすぐの尾根。適当に取り付く。 ■いきなり急斜面が続くので山荘のところでアイゼンを履くのが良い。 ■1,182m以降は嫌らしい雪庇の形でトラバースにやや緊張 ■1,550m付近、1,650m付近の雪壁はアイゼンとピッケルが有効。雪が弛むとかなり怖そう。 ■1,627mまでは左側に巨大雪庇あり。ホワイトアウト時は稜線の切れ目が全く分からず危険。 ■ホワイトアウトで恐る恐る歩くといきなり幅4m×奥行3mくらいの雪庇が足元から「ボッ」と音を立てて崩れていき、あわやでした。先に雪庇に着いていたトレッキングポールが奈落へと落ちていきました。 ■シッケイの頭から先の雪原は素晴らしく美しい。強風地帯なので防寒・防風対策をしっかりと。 広大で真っ白で、雄大な場所である。岳人ルート100選にえらばれるのも分かる。 ■仙ノ倉山までの登りはかなり堪える。尾根が広いので、視界が悪いときはGPSなどを活用。 ■全体を通して、尾根伝いなので雪崩に遭うようなところは基本的には無い。 雪庇の崩落、強風による低体温、テント倒壊、視界不良時のルート取りといった雪山の基本的対策が重要。 ■総括して、この尾根は体力を非常に必要とするルートでありました!また、雪壁などのテクニカル要素もあり、楽しめます。 ただ今回は、初日の1,600mから先でホワイトアウトによる行動不能、2日目は平標山から先の稜線が物凄い爆風で改めて冬山に対しての恐怖を感じました。 ※今回、ホワイトアウトによる視界不良で2度雪庇に近寄ってしまい(まったく稜線の切れ目が見えなかった)、足元から雪塊が崩れてあわやというシーンがありました。 すぐに行動終了したくても適地を見つけるのに行動せねばなりませんでした。 今考えると、登ってきたトレースを戻って適地を見つけることが安全だったと思いました。 |
写真
完全にホワイトアウトしてしまい、まったく行動不能に陥りました。おそるおそるすり足で行くと、「ボッ」っという音とともに雪が崩落。
今、手で指しているあたりが崖で、4m幅の雪庇が足元から崩れました。先に地面に着いたポールが一緒に奈落へ落ちていきました。
今、手で指しているあたりが崖で、4m幅の雪庇が足元から崩れました。先に地面に着いたポールが一緒に奈落へ落ちていきました。
シッケイの頭まで行く予定でしたが、その後も雪庇に近づきあわやというシーンが1度あり、もうとても無事に歩ける気がしないので、急いで斜面を探して雪洞を作りました。
本日は行動終了!
本日は行動終了!
向かう尾根が見えた。
が、ここで再考。
本日の天気は下り坂。ここはまだ中間地点にも達していない。
まだアップダウンもあるし、ラッセルもありえる。
昨日みたいにホワイトアウトしたら行動終了。
その前にこの風…
が、ここで再考。
本日の天気は下り坂。ここはまだ中間地点にも達していない。
まだアップダウンもあるし、ラッセルもありえる。
昨日みたいにホワイトアウトしたら行動終了。
その前にこの風…
感想
仙ノ倉山 北尾根
当初の計画では、北尾根から仙ノ倉山へ行った後、平標山→日白山→タカマタギへと周回する計画でした。
単独なので正直トレースがあることを願っていましたが、皆無。
それならそれでピストンでいいや。って考えで挑みました。
しかし、この北尾根はピストンのほうが恐らく難しいでしょう。
2箇所ある雪壁は、降るのには勇気がいりそうでした。
仙ノ倉山荘手前でふと振り返ると後追いのパーティが見えて、同じ北尾根と聞き勇気をもらいました。
ラッセルは5人で交代しながら登る。
天気は群馬県側は晴れていたみたいだが、北尾根は一日中白闇に包まれており、うっそうとしていた。
そんななか、とても明るく、経験豊富な4名の方達と一緒に初日を歩けて、良かったです。一人だったらとても寂しかったことでしょう。
ホワイトアウト状態で稜線の切れ目が見えず、2度も雪庇を落としてしまったのは、ある意味危機的状況だったのかも。
こういったとき対処する経験が、不足している事は間違いなかった。
雪洞泊が前提だったのでテントを持っていかなかった(ツエルトはあり)ため、雪洞の適地を見つけるのにも苦労した。
固く締まりすぎた斜面では掘れない事や、雪庇の下に掘ろうにも、ホワイトアウト状態では恐ろしくて近づけない状況。
こういった予期せぬ状況に対しては、冷静さを失わない事が最も重要だと思った。
翌日は快晴で、風は強いものの見たかった山岳風景を眺めながら山頂へ向かった。
モルゲンロート、雲海、滝雲、雪煙、そしてまっしろな頂。
怖い思いもしたが、生涯忘れぬ山行となりました。
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コメント
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行かれたんですね!!(//∇//)
若者達とのラッセル、心強くたのしそう♪3月とはいえ、まだまだ雪も天候も緊張の北尾根でしたね!
雪洞ポイントは、どうやら私達の時と同じあたりだったような(^_^)
私もまた歩きたいです!天候とにらめっこの日々は続きます◎◎
cheeさん、行ってきました
この尾根は素晴らしいですね!
残雪期とはいえ、単独だったら敗退かもしれませんでした
この尾根で吹雪に耐え忍んだ胆力、本当にcheeさんたちは凄いと思います
雪洞ポイント、ホワイトアウトの中手さぐりで見つけたのであとで知りましたが、同じポイントだったようですね
なんだか嬉しくなります。
今週は暖かくなりますが、3月はおそらくもう1度2度低気圧を伴ったドカが降ります。
その後のチャンスを、願っております!
悪天候の中で、大変だったね〜(^^;
寒かったでしょう?
無事に帰って来られてよかった、よかった。
反対側に下山したんだね。
下山で平標新道を使わなかったのは、どうしてなの?
危なそう?
soyanoさん、こんちは!(^_^)
寒かった寒かった!!
まだ、ほっぺたがヒリヒリします。
稜線ではザックに付けていたショベルが煽られて、身体が飛ばされそうになる勢いでした。
平標新道も頭をよぎったんですが、すでにかなり西側の尾根まできており、爆風の稜線を戻るということが困難でした😓
稜線直下はデブリもありトラバースで戻る勇気もなくて、、、
もう、とにかく1秒でも早く強風地帯から逃げたい一心でしたね〜(*_*)
平標新道自体は、たぶん歩けると思いますが、やはり急勾配なのでそこそこ危ないかもしれません。
いやー行けなかったのが残念でしたが、
この写真を見るだけでもお腹いっぱいになってきそうな絶景!
こりゃ現地で実物見た人じゃないとわからないでしょうね。
風や気温、色とかはやっぱり現地だけのものですものねぇ。
ホワイトアウトで転落せずにストックだけ落ちていったのは
身代わり地蔵と思いましょう(´_`)
落とす道具によっては致命的であったんでしょうけども、
まだ死んじゃだめだ、と神様が思ったんでしょう。
本当によかったです。
生きていればまた行けますからねぇ(´_`)
SM100Cさん、こんにちはー(^_^)
いろいろありましたが、とにもかくにも無事に行ってこれました。
ストックですが、登山を開始するようにしてから愛用していた物ですが、身代り地蔵だと思い感謝の別れと思うようにします(-_-)
まぁ、じつは霞沢岳のときに1本が真っ二つに折れたので、今回はその片割れの1本だったのですが。
ある意味買い換える良いきっかけとも言えるでしょう。
冬季バリエーションといえ、命に関わるほどのルートと思ってなかったのが慢心でした。やはり相手は自然なので、慎重な計画、行動、判断が大事だと改めて気付かされました(^_^)
バイさん こんにちわ
わたしもちょっと前に行った仙ノ倉山〜
似たようなルートですが、沢と尾根ではまったく違いますね〜
バイさんが行かれると凄い登山ですね
わたしはもうこの界隈には大変そうだから行きたくないなと思っております
動画で見る風、かなりヤバいですね
そして雪庇
ストックだけバイバイで非常に良かったです
すっかり雪洞泊もプロフェッショナルですね
お疲れ様でした〜
まきさん、こんにちは〜☆
いやいや、あの沢筋を滑るなんて…(@_@)
っとドローン映像を思い出しながら歩きましたよ😅
毛渡沢沿いの下山ルート、ありゃあキツかったことでしょう!!!
燃え尽きたまきさんのお姿を想像しちゃいました(^q^)
ストックバイバイで、本当に良かったと思えます。視界が利かないと、怖いものですね。
動画にはでてませんが、あの暴風をものともせずに滑っていたBCの方たちがいらしたんですよ…
やはりBCのお方たちは、凄いと思いました〜(*_*)
こんにちは。
ついにやりましたね!!
日曜日、長釣尾根から真っ白な北尾根を眺めていました。
踏み抜き、ホワイトアウトの中よくぞご無事で。
夏になったら身代わりになってくれたストックを回収しに行かないとですね(笑)
チャンスがあれば狙いたいと思います。
詳細レコとても参考になりました。
ありがとうございました。
taka69さま、こんにちは!
だいぶ雪の量も減ってきて、さらに強力なパーティーと同行させていただいたので、湿雪もなんのその。登ったというよりは、登らせてもらいましたって感じでした(^_^)
レコで見た、徹夜での除雪作業、ブリザードの一夜を乗り越えたtakaさんとcheeさんの胆力は本当に凄いと思いました。
ある意味では登頂よりも達成感があると思いました。
ところで、お二人はこの尾根を下ったのですね😅
あの傾斜はかなり怖かったのではと思います。
長釣尾根にいらしたのですか!
計画通り日白山まで縦走してれば、そこも検討してました。
惜しい(>_<)
biさん、怖すぎます。。。
想像しただけで悪夢にうなされそうです。
ましてやbiさん、単独行。
おねがいしますよぅ。。
山岳会の人たちより先に進もうとしたのはなぜですか?時間が早かったから?
maamさん、こんばんは〜
雪洞の中で、紅茶を飲んでホっとしてから、雪庇崩落の瞬間が頭の中を反芻し身震いしました(*_*;
あそこまで周りが見えなくなる白さって、実は初めてでしたので恐怖でした。
先に進んだのは時間が早かったせいもありましたが、そのときはまだ視界がいくらか利いていたのと、山岳会の方達はテントでしたので適地を発見次第すぐに設営されておりましたが、
僕は雪洞の適地が見つかるまで〜なんて思っていたら見る見るホワイトアウトしてしまい、こんな事になりました
このときの最善の行動は、きっと「自分のトレースを戻る」ことでしたが、凄い傾斜の雪壁を登ってきた直後だったので、下るのが怖いのと「せっかく稼いだ標高を落とす」のが嫌だったのかなぁ、と思います。
単独という事を改めて自覚して、気を付けますσ(´ x `;
bicycleさん こんばんは、はじめまして
sarari22と申します。
ホワイトアウトの中、あの細い雪稜を登ったのですね。
雪庇踏み抜きの怖さがとても臨場感あふれるレコでした。
シッケイノ頭を超えた後の北面台地の景色。
去年自分がいった時には、疲労感が大きかったのでぐったりして感動を味わいきれなかったです。
写真で見てあらためて、素晴らしい所だったなと実感し、思い出させてもらいました。ありがとうございます。またのレコ楽しみにしてます
sarari22さん、初めまして。
コメントをありがとうございます。
先ほどsarari22さんの北尾根のレコを改めて拝見いたしました。
以前にも読ませていただいた記憶があり、単独・雪洞で仙ノ倉かぁ〜って驚嘆したことがありました。
奇しくも、まさに今回の自分が同じ計画になっていたようです(笑)
自分の場合は、1,600m付近までラッセルを交代できたことが大きかったですが、単独ラッセルだともっと時間がかかり、体力も消耗してしまったと思います。
シッケイノ頭から先の雪原は、上信越2,000m級山岳の中でも、格別な場所のように思えました。
地形図よりも遠く大きく感じてしまうあの風景は、忘れ得ぬ思い出になりますね(^_^)
自分に置き換えて色々想像してしまったものですから。。ホワイトアウトで雪庇踏み抜きそうになったら、動けなくなっちゃうかも。落ち着いて行動されたようで、さすがです。
ところで、写真素晴らしいですねえ。実際の景色はもっと美しいでしょうね。それだから雪山やめられないですよね。
わたしらのレコにコメントいただきありがとうございます。ビレイ姿を褒めてもらいましたが、実は、登ってる姿はカットされちゃったんですよう。氷に猫パンチしてんの?と言われましたわ(*_*)
maamさん♪
再コメありがとうございます(^^ゞ
あのときは、冷静でいたつもりですが、それなりにパニクっていたんだと思います(笑)
ツエルトを張るためのストックも紛失してるので、とにかく掘れそうなところでビバークしました。
そーなんですよっっ(>_<)
もっと腕があればあの美しさを再現できるのに〜!せめて、広角レンズを持っていけば良かったと悔しがってます(^-^;
いよいよ雪シーズンも終盤ですね。
そろそろ、本気で余分な肉を落とさねば…😖
氷に猫パンチ!(ФωФ)
その動画、カットしないで欲しかったなぁ…うふふ
次回は岩を攀じってるmaamさん、リクエストです(^o^)/
コメント失礼します。
1日目をご一緒させていただいた山岳会の者です。同い年の。
こちらのパーティーでは、2日目もちょくちょくbycycleさんの話をしながら登ってました。
この山をソロで登られているし、強いなぁと思ってたら、ヤマレコで名前見たことある方だったようで。降りてからわかりました。
またどこかの山でお会いしましょう。ありがとうございました。
rockwellさん
おはようございます。
コメントをありがとうございます。
こちらこそ、その節では大変お世話になりました。
皆さんとご一緒できて、とても楽しかったです。そして、頼もしかったです。ありがとうございました。
2日目の雪壁は、やはり晴れているときに取り付くのが大正解でしたね!良い写真で羨ましい!
北アを、一気通貫されていたrockwellさんでしたか。
さすがの豪脚に惚れ惚れしてました。
また、どこかの山でお会いしましょう。
では、また。
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