地蔵峠〜ヒジキ滝〜釣瓶岳☆奥比良の森に滝と巨樹を訪ねて
エイチび〜
kol-yosioka
山猫
yamaizu
体力度について
- GPS
- 04:47
- 距離
- 9.4km
- 登り
- 913m
- 下り
- 1,068m
アクセスを調べる
標高グラフを拡大コースタイム
| 天候 | 曇り時々雨 |
|---|---|
| 過去天気図（気象庁） | 2019年06月の天気図 |
| アクセス |
利用交通機関：
自家用車
もう一台は下山口となる栗木田谷出合に |
| コース状況／ 危険箇所等 |
登山口〜地蔵山、イクワタ峠〜釣瓶岳以外は一般登山道なし ヒジキ谷右岸尾根は一部に馬酔木の藪はあるものの全般的に歩きやすいルート 栗木田谷右岸尾根は倒木多数、バリルートとしても難易度は高いと思われる（詳しくは感想にて） ヒジキ滝の周辺はyoutoushaさんが綺麗に整備して下さっておられる（以下のレコ参照） 御本人の同意のもと、感謝と敬意を込めて https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-1873051.html |
写真
拍手
踏みつけなくてよかった〜(ya)
このあたりは武奈ヶ岳西南稜、小女郎峠周辺と並んで比良山屈指の稜線が美しいところ（H)
この時は雨も止み、雲の晴れ渡っていたのだが・・・
感想
先週のkol-yosiokaさんとyamaneko0922さんとで行かれた比良14座、私も誘われていたがドタキャンとなってしまった。お二人のレコを読んで、いいなぁ、仕事をほっといてでも行けばよかったなぁ、と思っていた。そんなところにyamaneko0922さんから畑集落の棚田を見がてら奥比良に行きませんかとのお誘い。
「行きます行きます。絶対行きます。」と即答したかったが、先週に引き続いて今週もドタキャンになる可能性がある。
なかなか返事できずにいたが、金曜日夕方になってようやく「行けそうです」と連絡することができた。今回はドタ参である。
ところが滋賀北部の天候は曇り時々雨の予報、今度は天候の心配をしなければならない。
京都出発時はどんより曇り、滋賀に入り一時晴れ間も見えたが、高島から国道を離れて西に進むと、再び雲が低く垂れ込め小雨が降ってきた。さて今日の天気はどうなることやら。
9時に黒谷口に集合。yamaneko0922さんの車とkol-yosiokaさんのバイクを栗木田谷分岐にデポして、私の車に4人乗り横谷トンネル手前の地蔵山登山口へ。
登山口50mほど手前の展望所は、畑地区の棚田が一望できる絶景ポイント。棚田とその中に点在する民家や杉林が、雨後の洗われた空気によりはっきりと望める。太陽による陰影がなく、まるでジオラマのように見える。
地蔵峠への道は、むかし高島方面と朽木栃生を結ぶ、物資を運ぶための重要な生活路であったのだろう、多くの人が往来したことをうかがえる、しっかりと踏み固められた道だ。雨の後ではあるが、湿度はそれほど高くないらしく快適に歩ける。
日が射さないためしっとりと落ち着いた雰囲気の植林と自然林が入り交じる森の中を、yamaneko0922さん先導で流石のハイペースで高度を稼ぐ。yamaizuさんは、遅れるかもしれないからと最後尾を歩かれるが、いやいやご謙遜を、涼しい顔で普通についてこられている。
地蔵峠からは程なく地蔵山。畑の棚田は見えないが、鹿ヶ瀬方面の棚田とその背景に屏風のように広がるリトル比良の山が木々の合間から姿を覗かしている。
きょうは釣瓶岳までのお手軽ハイクの予定だったが、時間も体力にも余裕はあるので、ヒジキ滝に寄り道していこうということになる。谷への下り口は不明瞭ということで、kol-yosiokaさんが常に通るというルートを先導してもらい駆け下る。道なき急斜面を平地を歩くように、いやそれよりも速く、迷いもなく下って行かれるのには毎度のことであるが感心する。林道を突っ切り一直線であっという間に猪谷源流に下り立つ。
ここからはyamaneko0922さん先頭で、しばらくサワグルミやトチ、カツラの大きな木が見られる谷を左右に流れを渡り返してなだらかに下っていく。道標のある地点で道は左岸に渡り、トラバースルートに変わる。トラバースルートを見逃しそのまま谷を下っていくと滝場となり行き詰まる。過去にも遭難事故の起きているところ。
やや登りのトラバースルートを進み尾根を左に回り込むと谷音が近づいてきて、ロープが設置されている難所を越えるとヒジキ滝がその姿を現す。19年ぶりに再会するヒジキ滝の一筋の白い水流は非常に眩しく神々しく感じられる。鳥肌が立つ。
滝は昨日の雨の影響で水量が多く見応えがある。ここでしばし滝鑑賞の休憩。滝に寄ることは予定外だったので、先日ダイソーで買った500円の三脚を持って来そびれた。手持ちでギリギリぶれないシャッタースピードを設定して露出アンダーでシャッターを押す。
滝からはyamaneko0922さんの提案で、ヒジキ谷右岸尾根を登り縦走路に戻ることに。支尾根から取り付くと食事後なのかお腹が大きく膨らんだマムシが出迎えてくれた。最初こそ急坂で、降り出した雨で足を取られがちだが、すぐに勾配は落ち着き快適な尾根へと変わる。
雨が強くなってきたのでレインウエアをつけ、さらに登っていくと左手に大きなスギの木を発見。みなさんレインウエアのフードで視界が狭くなっている加減で、すぐ近くまで来てようやくのこの木の存在を知ることになる。かなりの巨木で傷んでいるところもなく、樹勢旺盛で見応えのあるすばらしいスギだ。比良山系でも最大級の大きさではないだろうか。比良山を知り尽くしたkol-yosiokaさんをもっても、こんな所にこのような巨木があったなんてと驚かれている。こういう発見こそがバリエーションルートをたどる楽しみのひとつだ。
さらに尾根を登ると道が横切る。笹峠へと延びる道だろう。このルートも19年前に歩いているが何も覚えていない。この道をまたぎ、だんだんと下生えのシダが増えてくると、縦走路のある主尾根は近い。主尾根手前に小さなピークがあり視界が急に開ける。ここからは晴れていると正面に堂々とした蛇谷ヶ峰が見えるはずだが、今日は上部が雲の中。それでも山腹や手前の尾根を西から東へと高速で駆け抜けていく霧の風景は、まさに幽玄の世界というもの。雨と風の悪天候ならではの絶景だ。
この展望ピークからは程なく縦走路で、少し登るとイクワタ峠北峰につく。北東方面には遠く琵琶湖も望め、南に目をやると美しい山容の釣瓶岳が見えるが、相変わらず蛇谷の山頂は姿を見せない。雨は止んだので雲が切れることを期待するものの、雲もなかなか期待通りには動いてくれない。それどころか、釣瓶岳への最後の登りにさしかかると、視界の悪さは増して、とうとうわたしたちも霧の中の人となった。
釣瓶岳山頂で立ながらの昼食。しばらく気づかなかったが、山頂にはごく小さな黒い虫が異常発生。木の根元に置いていたザックにも群がってきた。
帰路もyamaneko0922さんの提案で、栗木田谷と八池谷の合流地点へとのびるバリエーション尾根ルートを辿ることに。一旦ナガオへと進み尾根が右へ90°折れる地点から東へとのびる尾根に入る。
最初は尾根っぽくいないのでGPSを頼りにyamaneko0922さん先導で下る。この尾根は急傾斜で雨の後で濡れているということもあり滑りやすい。yamaneko0922さんはどんどん下って行かれる。それに続けとyamaizuさんも平然とついて行かれる。もちろんkol-yosiokaさんも余裕。わたしも少々爪が痛むが後を追う。
あっという間に高度を下げ傾斜は緩やかに、尾根もやっとそれらしくなってきた。このあたりになると昔の仕事道だったのだろうか、最近は踏まれていない道跡が明瞭になってくる。
ここで、まだ時間もたっぷりあるので一度休憩をとる。ちょうどその場所に自然の箱庭があった。古いカエデの木の洞に水がたまり、その周りに雨に濡れた瑞々しい苔とモミジの新芽が見事なバランスで配置されている。ここに鹿威しがあれば完璧。なんとも日本情緒溢れる、ワビサビ世界がそこに展開されているのだ。これもまた雨という天候がなせる偶然の産物。
今回の山行はこの箱庭や霧の流れる山腹風景などなど、雨ならではの風情を感じさせる風景がいくつも見られた。雨の山もまたいいものだと改めて感じることができた。
いやいや、ここできょうの山行を振り返って感想を言っている場合ではない。まだまだ下っていかなければならない。実際ここからが倒木やアセビなどの藪が増え、支尾根も多く、なかなか手強くなってくるのである。さらに再び雨は本降りの様相。
yamaneko0922さんが先頭でGPSを頼りに、その後ろからkol-yosiokaさんが地形図と方位磁石を手に現在地を確かめつつ、それでもルートから外れることもあり、その都度修正をして下っていく。これはバリ道歩きの醍醐味であり実に楽しいわけだが、なかなかそれをわかる人は少ないのではないだろうか。今日はお二人にルートファインディングは任せっきりである。
植林地帯に変わってくると、傾斜もなおゆるやかとなり、雨も止み、倒木や藪はなくなり歩きやすくなる。今では植林され成長したスギが立ち並ぶ旧棚田地帯を歩くと、八池谷の岩を食む水の音が大きく聞こえるようになり古道と出会う。これを辿り苔むした橋を渡ると、そこにはyamaneko0922さんの車がわたしたちの帰りを待っていてくれるのだった。
今回は初めて歩くバリ道もあり、19年ぶりのヒジキ滝、スギの巨樹との出会い、霧を纏う蛇谷ヶ峰の幻想的な姿、偶然の産物自然の箱庭発見、それにマニアックではあるが雨の中の倒木くぐりアスレチック、天候は悪いながら十分に楽しめた山行だった。計画し誘っていただいたyamaneko0922さんご夫妻、ヒジキ滝へ案内くださったkol-yosiokaさん、いつもながら感謝です。
今回は少しだけ足の爪を痛めてしまいました。急な下りで靴紐の締め具合がゆるく、靴の中で足が動いて、つま先が当たったようです。途中で紐を締め直しましたが、そこまでで既に痛めたようです。下り坂にさしかかる前に調整しなければと反省です。
奥比良にyamaneko0922さん・HB1214さんが行かれる。一緒にどうですかと誘われる。
奥比良は、マイナーコースで私が以前挙げたレコの訪問者は、とても少なかった。ビワ一のトレイルランナーか縦走者が殆どで畑や黒谷側からの入山者は少ない。
yamanekoさんは、未知のコースにとても関心を持たれている。今回も、ヒジキ谷東側尾根（右岸尾根）や、釣瓶岳北東支尾根を研究されて来ていた様だ。GPSで的確に先導された。
未知の尾根は意外な出合があったりする。今回も立派な芦生杉に出逢った。釣瓶岳北東支尾根は倒木が多い箇所もあり、通行は少し大変だったが、これがバリ道歩きのある意味での楽しさでもある。
天気は、雨が昼前から降ったり止んだり。風も少しある。でも雲が風で流れ、濡れた木々の葉と相まって違う景色を見せてくれる。ヒジキ滝も水量が増え、迫力が増す。
とても新鮮で楽しいバリ道歩きが出来ました。
でもこのコースの関心は一般の登山者の方には薄いと思われるのでゆっくりと、この感想を書いています。
下山して栗木田谷出合で帰る準備をしていると、手の甲に蛭が一匹付いている。慌ててタオルで取ったが、未だ吸血前でした。他にもいないか体をチェックしたが、どうやらその一匹だけ。栗木田谷出合にいたらしい・・・出合まで尾根を下って来たので遭わなかったのでしょう。蛭の季節となりました。
ヒジキ滝の前後の米買道には、真新しい虎ロープが付けられている。レコで拝見していたので、youtousyaさんが一人で付けられたものと直ぐ判りました。安全に滝見が出来ました。一言お礼を・・有り難う御座いました。
yamaneko0922さん先導、ご苦労様でした。HB1214さん・yamaizuさんお疲れ様でした。私と同年配のおばちゃん（お姉ー様と言わないと怒られる？）と歩くと、こんなにテンポ良く行きません。それに慣れていたのですが、今回の様にサクサクと行程が捗ると実に快適です・・・
楽しい山行有り難う御座いました。
前回、kol-yosioka（以下yosiokaさんと略）さんとの比良の1000m級の山14座の一筆書き登山にご一緒する予定であったHB1214（以下HBさん）が直前にお仕事で都合がつかなくなってしまったこともあり、改めてご一緒にということで、この日に山行を計画することとなった。勿論、yosiokaさんもお誘いして・・・前回の一筆書き登山は殊の外、ハードな山行であったので、今回はゆるーい山行を前提で計画しましょうということになる。
折しも畑集落の棚田が美しい頃合いかと思われたので、下山後に畑を訪れることにしてこのあたりでの山行をと相談する。車が二台あるので、一台は栗木田谷出合に我が家の車をデポした上で、林道鵜川村井線の地蔵峠への登山口へアクセスすることが可能となる。当初は地蔵峠から釣瓶岳へと登り、イクワタ峠から林道終点を経て栗木田谷出合に下山するプランとなる。確かに極めてゆるいコース取りだが、このまますんなりとこのようなコースを歩くことになるかというと・・・
登山口から林道をわずかに戻ると好展望地があることに気がつく。林道からは畑の棚田が眼下に広がる。意外にも棚田を展望するのに格好のビュー・ポイントであった。林道からは最初は植林地の中をジグザグと歩くことになるが、すぐに自然林の中をゆく掘割の古道となる。「コメカイ道のこちら側の道だったのでしょう」とyosiokaさんが教えて下さる。
地蔵峠からは一息で地蔵山に辿り着く。事前に山行計画を相談していた際はヒジキ滝に訪れるというオプションもありうるが、今回は雨上がりなのでヒルの危険性が高いので止めておきましょうという話になる。しかしHBさんがyosiokaさんに「ヒジキ滝への道は危険なのですか？」と聞いたところ、ヒルの危険性なんのその、全員一致でいざヒジキ滝へということになる。早速にも、期待通り、バリ道へのコースアウトである。
地蔵山へはyosiokaさんの先導で植林の尾根を下り、猪谷の源頭部へと下る。谷沿いには左岸の斜面にサワグルミの巨木が目に入る。しばらくは谷沿いの明瞭な踏み跡を辿る。やがて道は左手の斜面のトラバース道へと続く。沢沿いにも踏み跡があるように思われるが、「この道はどうなんでしょう？」とyosiokaさんにお伺いすると、「ここを辿ると糞詰まりになる」。たしか昨年、ご夫婦が遭難し、遺体で発見されたのはこの沢沿いではなかっただろうか。
トラバース道を辿り、ヒジキ滝の手前に来ると危険箇所には真新しいトラロープが張られている。ロープがなければ通過に難儀したことと思われるが、ロープのお蔭で無事、通過して滝の下に出る。ヒジキ谷の左岸の斜面にも同じトラロープが張られている。登山道を綺麗に整備して下さっているのはyoutoushaさんではなかろうかと思って、帰宅後youtoushaさんの山行記録を確認すると、やはり最近、このあたりを整備して下さったようだ。整備には頭が下がる思いだ。
うす暗い谷奥には緩やかに屈曲しながら落下する二段の滝が目に入る。滝は雨の後で水量も増えているのだろう。静かな谷間に滝の音が響き渡る。形のよいV字の谷を振り返ると、両側の斜面にはトチノキの巨木が聳えている。Yosiokaさんによるとこのあたりは立派なトチノキの巨木が多く見られるようだ。
ヒジキ滝を後にすると・・・イクワタ峠に向かうのに「ヒジキ谷右岸を登るのは如何ですか」と提案させて頂くと、意外なことにyosiokaさんがこの尾根は歩かれたことがないと仰る。この比良山系の中でyosiokaさんが歩かれたことのない谷や尾根を探すほうが難しい。
トラバース道が尾根を横切る地点まで戻るのがいいのだろうが、登りやすそうに見えたので、滝のすぐ手前の支尾根から登り始める。登り始めるとすぐにも尾根の上で蠢くものがいる。蝮だ！動いているので同定が容易であったが、そうでなければ植林の林床では保護色となり、気づかない可能性がある。
最初は急登ではあるが、登るにつれて徐々に傾斜も緩やかになってゆく。しかし、尾根に取り付き始めた時には小降りであった雨がいよいよ本降りになったところで各人レインウェアーを着る。
再び尾根を辿り始めると尾根上には比良では珍しい芦生杉の巨樹が次々と現れる。Yosiokaさんが「これ程のものは滅多に見んな〜」と仰るので、確かに立派な巨樹なのだろう。雨に濡れてつややかに黒味を帯びたその樹肌には、その昔、杉の木が貴重であった時代に杉材を求めてこの奥深い尾根まで登り、台杉の成長を見守ってきた杣人の眼差しが刻み込まれているのだろう。森を抱くように大きく支幹を広げるその畸形の姿には畏怖の念を抱かずにはいられない。
尾根上には時折、馬酔木が密集した藪を形成してはいるものの概ね歩きやすく、上部に至ると山毛欅や楓からなる自然林のなだらかな尾根となる。尾根上にはところどころに色鮮やかな苔の絨毯が現れる。
先程までは本降りであった雨もいつしか上がったようだ。地蔵峠からイクワタ峠に至る主稜線の手前では北側に斜面が開け、蛇谷ヶ峰の山容が大きく視界に飛び込む。残念ながら山頂部のみは雲に覆われているが、雲のせいで景色の壮大さが際立つ。
視界の開けた主稜線に出ると、正面に釣瓶岳が山頂部まで秀麗な姿を見せている。蛇谷ヶ峰の山頂部にかかる雲も徐々に薄くなり初めているようだ。このあたりは裏比良と呼ばれる森山岳と白滝山のあたりと共に比良の中でもお気に入りの場所である。この山域は奥比良と呼ばれることをyosiokaさんに教えて頂く。
「蛇谷ヶ峰の雲が晴れることを期待して釣瓶岳まで行きましょう」と先へ進むことにする。しかし、山の天気は気まぐれである。背後に見える蛇谷ヶ峰を覆う雲がますます濃くなったかと思うと、釣瓶岳への登りも一瞬にして霧に包まれる。おまけに再び雨が降り始める。
釣瓶岳にたどり着き、小雨の中で昼食休憩とする。時間を見ると12時過ぎ、丁度一週間前のこの時間にyosiokaさんと釣瓶岳に辿り着き、一筆書き登山を14座まで行こうかどうしようかと協議しながら行動食を口に頬張っていたのだった。
釣瓶岳からはナガオに入り、北東へと伸びる最初の尾根を下ることにする。尾根の上部が広くて下降点がわかりにくかったが、左手に進むと植林の明瞭な尾根筋となる。地図の密集した等高線が示す通りにそれなりの急下降となるが、掘割の古道が尾根上には出現する。古道は随所でコアジサイに覆われ、コアジサイの藪を漕ぐところもあるが、お陰でルート・ファインディングに気を使う必要はない。コアジサイは大部分がまだ蕾の状態であるが、下るにつれて、ところどころで薄紫色の霞のような花が散見する。
杉の植林地が切れて自然林が広がり始めたところで、古道の脇の楓の樹の洞にに水が溜まり、周囲に紅い若葉が芽吹いているのを見つける。まるで小さな盆栽である。この楓の若葉を愛でつつ、小休止する。
このあたりから尾根の形が非常に複雑だ。古道は左手の植林の尾根へと下ってゆくが、栗木田谷の出合まで尾根を辿るべく右手の自然林の尾根へと進む。しかし、急に尾根上の倒木が目立つようになる。気が付くとp575へと連なる尾根の一本、左手の尾根へと入り込んでいる。はて、右手に分岐する尾根は見当たらなかったが・・・と思いつつ尾根を登り返すと、尾根が目に入らなかった理由をすぐに理解する。というのも、尾根の分岐部は積み重なった多数の杉の倒木が視界を塞いでいたのである。杉の倒木を越えて尾根を進むが、p575までの間はひたすら倒木を跨ぐか潜るかであった。
p575峰を過ぎると尾根の形は不明瞭となり、なだらかではあるが複雑な形の斜面を下ってゆく。1/25,000の地図につけられた破線を目標に東の方角へと進む。というのも、この道の先に八地谷の沢を渡る橋があることを期待していたからである。
やがて平坦な植林地の中にいくつもの段と苔むした石垣が出現する。かつての棚田がここにあったのだろう。成長した杉の状態からすると何十年も前に打ち捨てられたものだと思われる。地図通り、棚田跡の東の縁には廃道と思われる道の跡を見つける。道も倒木や小さな崩落でかなり荒れてはいるが、やがて八地谷の沢に辿り着くと、苔むした小さな鉄橋が目に入る。橋を渡って林道を進むとすぐに駐車地に帰り着くのだった。
ゆるーい山行の筈であったが、最後の小さなスリルと倒木に満ちた栗木田谷右岸尾根は云うに及ばず、迫力ある滝と巨樹が深い印象を残した山行であった。何よりもHBさんとyosiokaさんと一緒でなければヒジキ滝もヒジキ谷右岸尾根を辿ることはなかったと思うので、今回の山行のハイライトに出遭うこともなかっただろう。前回もそうであったが、非常に楽しく、充実した山行の機会を与えて下さったお二人に感謝である。
こっそり拍手
コメント
この記録に関連する登山ルート
この場所を通る登山ルートは、まだ登録されていません。
ルートを登録するこの記録で登った山／行った場所
関連する山の用語
山行記録を公開しました
X
Facebook
リンク取得
メール
ブログパーツ
情報提供のお願い
山行記録を投稿して、ヤマレコのコミュニティに参加しよう！
この山行記録の写真
釣瓶岳の最新記録
地蔵山の最新記録
皆様、お疲れ様でした。ヒジキ滝へのトラロープが役立ったとの事、有難う御座います。ヒジキ滝右岸よりの稜線に、立派な芦生杉が存在する事は、2017/12/03 滋賀山友會の「朽木栃生 コメカイ道を辿って」で、知識としてはありましたが、今回、何枚かの画像で、見る事が出来、感謝です。いずれ、笹峠道の状態の確認に参るつもりですので、その時に、立ち寄りたいと考えています。新たな芦生杉に遭える、楽しみが増えました。有難う御座います。
youtoushaさん ご丁寧なコメント有難うございます。それ以上に登山道の整備、感謝に堪えません。トラロープを見て、お遭いした時の思い出が脳裏に蘇りました。
ヒジキ滝は私は始めて訪れたのですが、このヒジキ谷のあたりは谷の雰囲気が実に魅力的なところですね。また季節をかえて歩いてみたいものだと思いますが、youtoushaさんのお陰で安心して歩くことが出来そうです。
また奥比良の森のどこかでお遭い出来ますことを願っております。
youtoushaさん、はじめまして。
youtoushaさんのレコ拝見しました。ルートの整備、大変感謝しております。
随分前に一度行きましたが、その後ルートは荒れて通行困難と聞いており、再訪を躊躇していましたが、今回久しぶりにヒジキ滝と再開することができました。これもyoutoushaさんのおかげです。
わたしも比良をウロウロしております。武奈ヶ岳やびわ湖バレイ周辺のポピュラーな場所と違い、奥比良の静けさと美しさはとても魅力的で、これからもたびたび訪れることとなると思いますので、どこかでお会いできることを願っています。
HB1214さん、初めまして。ヒジキ滝右岸のトラロープが役立ったとの事、有難う御座います。奥比良山系の急斜面に設けられている「コメカイ道」は、現在の世の中とは、異質の存在だと感じています。
「コメカイ道」は、昔の山里の人々が、生活の為に、切り開いた難路です。木炭を背負子に載せて、畑集落へ。米を背負って、朽木栃生へ、或いは、葛川へ戻る。昔の山里の人々の想いが、「コメカイ道」に浸み込んでいる様で、廃道になる事だけは、何とか、食い止めたいと考えています。これからも、合間をみて、出掛け、少しずつ、整備を行いたいと、考えています。
みなさん、達者ですね〜 特にyamanekoさん、レコがいっぱいですね。
近江高島からコミュニティーバスに乗って畑BSまで行くのがお気に入りです。黒谷BSで降りたら栗木田谷へも上がれますしね。
ヒジキ滝へは難度の高いルートですが、ヒジキ谷右岸尾根は使えそうなルートですね。笹峠からイクワタ峠の間に取付くんですね。イクワタ峠辺りも静かで好きな場所です。
釣瓶岳の北東枝尾根ルートは知りませんでした。地形図の等高線は密ですが、古道もあるそうな。枝尾根が多そうなので下りは注意が必要ですね。上りで一度使ってみないと。八ツ淵の滝 滝道入口までの地形図記載ルートに出てくるみたいですね。そのルートも廃道なのか未確認でした。
早速、２ルートをカシミール３Ｄに登山道追記完了です。
ののさん
コメント有難うございます。今回通った釣瓶岳からの北東支尾根は感想に書きましたが、p575を通る尾根は倒木でかなり難儀することになります。さらに尾根の下部では尾根の形は全く不明瞭で、GPSに頼らざるを得ませんででした。古道を辿ってその西側の尾根を通り林道に着地する方がはるかによいものと思われます。以前、kol-yosiokaさんがそのルートを辿っておられます。
ヒジキ谷右岸尾根は歩きやすく、魅力的な尾根だと思います。
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する