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Yamareco

記録ID: 2000459
全員に公開
無雪期ピークハント/縦走
白馬・鹿島槍・五竜

杓子岳、鑓ヶ岳(富山百山 7、8座目)

2013年07月20日(土) [日帰り]
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GPS
--:--
距離
17.1km
登り
2,084m
下り
2,074m

コースタイム

日帰り
山行
12:36
休憩
1:08
合計
13:44
2:48
65
3:53
3:56
0
3:56
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119
5:55
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27
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ゴール地点
過去記録の転載です(2019.9.1転載)。
過去編については写真解説以外のすべての文章を感想欄に転載します。
過去天気図(気象庁) 2013年07月の天気図
アクセス
クレバス地帯を過ぎると堂々たる大雪渓となった。
クレバス地帯を過ぎると堂々たる大雪渓となった。
大雪渓はそれなりに危険地帯なのでほぼノンストップで登りきった。
大雪渓はそれなりに危険地帯なのでほぼノンストップで登りきった。
真っ先に出迎えてくれた高山植物はこの黄色い花。多分ミヤマキンポウゲ。
真っ先に出迎えてくれた高山植物はこの黄色い花。多分ミヤマキンポウゲ。
杓子岳(綺麗な台形)と鑓ヶ岳
杓子岳(綺麗な台形)と鑓ヶ岳
馬岳直下には巨大な白馬山荘が要塞のように
馬岳直下には巨大な白馬山荘が要塞のように
ハイシーズンの大雪渓は「蟻の行列」状態
ハイシーズンの大雪渓は「蟻の行列」状態
登山道にお花が咲いていると気が楽になる。
登山道にお花が咲いていると気が楽になる。
歩いて歩いて、ようやく鑓ヶ岳に到着
歩いて歩いて、ようやく鑓ヶ岳に到着

感想

昨年秋に白馬岳を日帰りした時、自分の想定より早く行動できたこともあり、「次は白馬三山日帰り縦走」が頭にちらついて今年の目標にもしていたところである。
前回は「大雪渓」を味わえなかったので今回は大雪渓をがっつり登ることとなるハイシーズンに行くことにした。事前の情報収集では「今年の大雪渓は危険度高め」だそうだ。
http://genjoe.way-nifty.com/blog/2013/07/post-4588.html

昨年に引き続き登山口で車中泊とする。早めに事務所を仕舞い17時30分に家を出て車を出そうとしたらETCカードが見当たらない。いつもと違うところにあって危うく忘れるところだった。車を出して3分後にちょっと違和感。車中泊用のマットを忘れている。また取りにもどって結局予定より10分遅れて出発。小谷村のコンビニで食糧を買い込む(高速を降りてからのコンビニは糸魚川、小谷村、岩岳入口からちょい先、八方交差点と4個所。思ったより少ない)。猿倉荘からちょっと下の登山者用駐車場に車を入れる(そこそこ埋まっている)。
今回の車中泊は最初は窓を少し開けひざ掛けをかける程度だったがやはりそこは山、寒くなって覚醒し窓を閉めて寝袋を掛布団代わりにすることとなった。
2時に設定どおりアラームがなる。起き出してごそごそ準備したり忘れ物(懐中電灯、実はこれに気付いたのがあとで効く)を取に戻ったりして猿倉荘出発は予定より18分遅れとなった。満天の星空である。

好き者は自分以外にもいるもので健脚らしい登山者数人に抜かれる。林道に出てしばらくすると自分のヘッデン光が暗くなっていることに気付いた。一度通ったことのある広い林道なので暗くても良いのだがこりゃ電池切れだなと気付いたので電池交換のため一時行動休止。懐中電灯を持ってきて良かった。なければ真っ暗の中で電池交換する破目になるところだった。この間に2人組の男性パーティーに抜かれる(この二人組は本日記では以後数回登場)。
明るくなったヘッデン光で行動再開。
順調に白馬尻小屋に到着。小屋前の広場にテントが数張り。昨年訪れたときには何もなかった所に立派な建物群があってへえー、と思う(というかこちらがシーズン中の姿なのだが)。自分が小休止していたのは喫煙コーナーだったが早起きの宿泊者が喫煙しに来た。その直後、小屋の食堂に明かりが灯った。どうやら4時が一日のスタートらしい。
白馬尻を出発して歩きながらのんびりおにぎりを食べていたらいきなり雪渓の入口に到着して若い男性登山者がアイゼンを装着中だった。これにはたまげてしまった。少なくともケルン辺りまでは普通の登山道だと思っていたので完全に想定外。慌てておにぎりを食べつくす。若い登山者と少し言葉を交わしながらアイゼン装着して出発。しばらく行くと先程の2人組がクレバスの前で止まっていた。一人目がジャンプして飛び越えたが、勢いづいているのでそのまま転倒。その際、何かが雪渓を滑り落ちクレバスに飲み込まれていった。自分は雪の塊でも落ちたのかと思っていたがヤマレコによるとペットボトルらしい(二人組のお一人がヤマレコに投稿しておられる。ちなみにクレバスの写真に写っているのはまだ通過していない2人目と先程の若い男性登山者。自分は通過した後だと思われるのでフレームに入っていない)。

http://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-323117.html

自分も少し助走をつけジャンプ一番で飛び越える。無事に着地して先へ行く。先のヤマレコにもあるようにどうやらこちらはクレバスが広がる前のルートで安全なルートは他にあったらしい(というか自分も「杓子側に大きく寄ればクレバスの幅は小さい」とわかっていたが今度は落石が怖い)。結果オーライだったにせよこういうことはやらない方が良いのかも。
クレバス地帯を過ぎると堂々たる大雪渓となった。
大雪渓はそれなりに危険地帯なのでほぼノンストップで登りきった。昨年秋の雪渓通過時間は15分足らず、今回は1時間30分余り。全然別の山ですなこれは。
真っ先に出迎えてくれた高山植物は黄色い花。多分ミヤマキンポウゲ。その他にもいろいろあった。
どうせ次に小雪渓だから、とアイゼンを外さずに登高(渓流用Xアイゼンなので普通の登山道でも使える。しかし登山道の木枠などを踏まないように気を付けた)、小雪渓はきちんとステップが切ってあり、離合用のスペースも掘り出してある親切設計だったので小雪渓は結果的にはノーアイゼンで良かったと思う。それに自分が思っていた以上に大雪渓と小雪渓の距離はあった。大雪渓終了の時点でアイゼンは外すべきだったな。
小雪渓のすぐ先に避難小屋があった。昨年来たときには小雪渓がなかったのでやっぱり秋と今の季節では「別の山」だな。
避難小屋で昨年の通過時間との比較をして驚いた。今回は異常にペースが速い。自分が避難小屋を出るのと同時に先程の二人組が到着して休憩のようだ。試練はここからスタート。雪渓という危険地帯を抜けて安心した途端、足に筋肉痛。ここから頂上宿舎までの道のりがペースガタ落ちになり、一度途中でへたり込むほどになった(花の写真を撮るふりをすれば大丈夫・・・笑)。例の二人組に抜かれたのもこの区間。この時点で「今日は三山は無理だな。白馬岳を省略して二山にして帰りに鑓温泉にでも浸かろうか」と計画を変更する。
村営頂上宿舎前で少し休み、四辻分岐(来た方向から時計回りに大雪渓方面・杓子岳と鑓ヶ岳方面・旭岳と清水岳方面・白馬岳方面)まで登る。そこで朝自分を抜いて行った女性登山者と言葉を交わす(ザックを避難小屋へデポして登ってきたそうだ)。ここでも三山全部より二山にするようやんわりをアドバイスをもらう(というか計画の短縮を自分で納得するために言葉を交わしたのかも)。
残念だが今回は白馬岳はパス。まあ、昨年来ているし実は来年以降また来ようと思っている。朝日岳、雪倉岳を狙うとしたら周回コースに白馬岳も入るし、清水岳も富山県側から狙う場合は別として白馬岳はほぼ通過点になるのだ。そして今回の判断は結果的に「吉」だったかと思う。冷静に考えても三山丸ごとは自分の限界を超えていたと思う。

稜線に出てしばらくして行く手の杓子岳(綺麗な台形)と鑓ヶ岳を眺める。振り返って白馬岳直下には巨大な白馬山荘が要塞のようにでんと構えている。
しばらく行くと大雪渓を真上から見下ろすポイントがあった。ハイシーズンの大雪渓は「蟻の行列」状態というがまさしくそうだった。写真ではわかりにくいかもしれないが雪渓下部から上部に至るまで一筋の線が見えるかと思う。大雪渓を登り降りする人々の列である。
杓子岳への登りはガレ場で強烈だった。とにかくゆっくりゆっくり登る。かなり後ろにいたはずの男女二人パーティが追いついて来たが慌てずにゆっくり登る。縦走のみを目的をする場合は巻道があるのでそちらを利用する人も多いだろうな。
杓子岳の頂上からは(越中)駒ヶ岳の稜線越しに富山平野が見えた。そしてブナクラ峠越しに大熊山と大辻山が見えた。こういうところに注目するのも自分が富山県人だからだろう。
杓子岳から鑓ヶ岳までは降下した後、また登り返しがある。稜線歩きって結構大変だ。そんな中でも登山道にお花が咲いていると気が楽になる。
歩いて歩いて、ようやく鑓ヶ岳に到着。団体さんがおられたがしばらくすると杓子岳の方向に向かって行かれた。目が行くのはやはり剱・立山方向。杓子岳にせよここにせよ、頂上でわりとゆっくり時間をとることできるので行程の短縮はやはり「吉」だったとみるべきだろう。
さて、帰るとしよう。鑓温泉分岐で稜線とお別れして本格的下山に入る。途中で雪渓のトラバースがありアイゼンの脱着で時間を取られる(鑓温泉までは2個所、1個所目の短いやつはノーアイゼンで可能だったと思うが念の為アイゼン装着)。更に気を付けるべきは鎖場、「なんか見覚えがあるなあ」と思い慎重に通過。今、確認したらいつも読んでいる豊後ピートさんのブログに要注意と記載されていて記憶の片隅にあったんだな。

http://blog.goo.ne.jp/bongo-pete/e/b6bd8122141060944f74524492bfc18f

鑓温泉では「温泉入ろうか」と迷ったのだが右足親指の豆がふやけてきている感じで「地雷」になりそう。下山後の温泉で豆が潰れてもえらい事にはならないがここではまずい。恐らくこの判断も「吉」だったかと思う。鑓温泉からの下山は「まだなのか、まだなのか」状態だったのでここで時間をつぶしていたらえらいことになっていただろう。鑓温泉からの下山でものすごく変な雪渓トラバースがあった。一旦降って隣の谷に移動してちょっと登り気味トラバースにコースが取られていた(多分雪面の状態によってその都度コースが変えられるのだろう)。このコースは竹棒に赤布をつけた目印が立てられているのだがガスがかかっていると見落としやすいだろうな。
ここで3リットル分のハイドレーションが水切れになった。トラバースはまだ続きそうなのでこのままではまずい。傾斜が緩やかになるところで水の補給をしたのだがこれは失敗だった。こうなる前に手を打っておくべきだった(鑓温泉でやっておけば良かった)。トラバース終盤にはキックステップが疲れてきておざなりなったところで転倒。滑落するような斜度ではないので大したことはなかったが雪が途切れるところに登山者らがいて衆人環視状態だったので恥ずかしいったらありゃしない「雪深い富山県の登山者です」などと口が裂けても言えないなこりゃ。この後もトラバースがあるそうのでアイゼンを履いたまま進行して最後の(斜度がそれなりにある)雪面をトラバースしてようやくアイゼンはお役御免。

鑓温泉からの下山はしんどい(精神的に)と聞いていたがまさにそんな感じ。ほとんど水平に近い道が延々と山の斜面をトラバースしている。時たま登りもある。
うんざりするほど「トラバース、トラバース、またトラバース」である。

小日向のコルが見えると一旦下って登り返す登山道がくっきり見えて心が折れる。ひょいと後ろを振り返ると鑓温泉の山小屋が見えてまだ殆ど高低差のないところにいる。こんなに歩いたのに高度を下げていない事実にますます心が折れる。
このルートは山の斜面を「トラバース、トラバース、またトラバース」でもういやになる。
鑓温泉のルートは往路に使うか、復路に使う場合は温泉に浸かる目的がある場合がよろしかろうと思う。

ついに小日向のコルを登りきることができずに休止を取る。シャリバテ感があったのでおにぎりを食べて休憩。なんとか体制を立て直して歩き始めるとすぐにコルだった。
あとは樹林帯の中、特徴のない登山道をひたすら下山。「まだなのか、まだなのか」と思いながらの大変な下山。そういえば鑓温泉から下は追い越すことも追い越されることもなかった。登ってくる人には数組出会ったが。いわゆる「静かな山行」だ。

足が棒のようになり、ほうほうの体で猿倉に戻ってきて山荘前でへたり込み、水をがぶ飲み。やはり計画の短縮は「吉」だったな。
今回、当初の目的だった三山大駆けはできなかったが二山中駆け程度にはこなせたし、課題も見えてきたので満足である。今のコンディションで早月尾根日帰りは「時期尚早」である。秋までに体をつくるか、剱岳は一泊で行くかだな。

備考
・装備は昨年の薬師岳日帰りに準じて軽量化。さらにツェルトをカット(軽アイゼンは追加)。スパッツ装着していったが不要だったかもしれない。
・食糧はコンビニのおにぎり8個を用意、うち7個を山中で消費。飴は9個消費。予備のアミノバイタル粉末とゼリー飲料、スナックバーは手つかずだった。早月尾根をやる場合はおにぎりを減らしてゼリーを消費するようにしたらよいかもしれない。
・水は5.5リットル用意(途中に水場はあるが早月尾根の予行演習的な意味があるので必要分をすべて担ぎ上げる訓練とした)。消費したのはおよそ4.5リットル。恐らく三山縦走していたら5リットルほど消費していたことになろうかと思う。
このことから早月尾根をやる場合はすこし涼しくなった時期を狙い4.5リットルをハイドレーションやプラティパス水筒に入れて予備のペットボトルに500ml入れていくのが良さげである。
・出発前に日焼け止めを塗るのだが腕への塗りが不十分だったため強烈に焼けてしまい痛いくらい。気をつけねば。
・雪渓の登高は自分の実力からは明らかにオーバーペース。危険地帯なので早く抜けたいという気持ちがあってのことだが後に波及するので痛し痒しだがここは多少時間をかけてもゆっくりペースで雪渓を登るべきだっただろう。
・猿倉荘発着のコースタイムは13時間44分だった。もし三山全部やっていたとしたら15時間15分ぐらいだろうか。だとすれば自分の力では早月尾根も15時間15分と見ておけばよさそうだ。
・もう少し体重を減らさなければならないのと歩荷訓練をやらないといかん。
・行動時間が10時間を超え始めると足が悲鳴をあげ始めペースが上がらなくなる。自分は「休憩含めてコースタイムで歩ける」ぐらいだがロングだとそうはいかないことを認識しておかなければならない。

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